おやぢの部屋2
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MENDELSSOHN/Symphonies 1-5
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Karina Gauvin, Regula Mühlemann(Sop)
Daniel Behle(Ten)
Yannick Nézet-Séguin/
RIAS Kammerchor
Chamber Orchestra of Europe
DG/479 7337


フィラデルフィア管弦楽団と、メトロポリタン歌劇場という、アメリカを代表するオーケストラとオペラハウスの音楽監督を兼任、まさに現代の若手指揮者の筆頭に躍り出た感のあるヤニック・ネゼ=セガンですが、ヨーロッパ室内管弦楽団とはDGのモーツァルト・オペラ選集などの録音もあり、この団体の桂冠指揮者に任命されています。今回は、RIAS室内合唱団とソリストも参加した「賛歌」も入っているメンデルスゾーンの交響曲全集を、この室内オーケストラと録音してくれました。
これは、2016年2月の20日と21日の2日間にわたって、フィルハーモニー・ド・パリで行われた交響曲ツィクルスのライブ録音です。1日目は「3番(スコットランド)」と「2番(賛歌)」、2日目には「1番」、「4番(イタリア)」、「5番(宗教改革)」が演奏されています。録音データでは、その次の22日もクレジットされていますが、おそらくその日には、本番でミスをした部分を録り直したのでしょう。いや、「本番」の方も、客席のノイズがほとんど聴こえていないので、大半はゲネプロの段階で収録は完了していたのかもしれません。
この新しいツィクルスで特徴的なのは、新しい原典版の楽譜が使われているということです。1番と2番はブライトコプフ&ヘルテル版、3、4、5番はクリストファー・ホグウッド校訂のベーレンライター版という表記があります。ブライトコプフでは、最新のメンデルスゾーン全集が刊行されていますが、ベーレンライター版はホグウッドが亡くなってしまったために、交響曲はこの3曲しかありません。
そして、楽譜とともに重要なのが、ブライトコプフ版の全集に含まれている、2009年に刊行された「メンデルスゾーン作品目録(MWV)」による作品番号が、おそらく市販CDとしては初めて採用されていることです。MWVは、正式には「Felix Mendelssohn Bartholdy: Thematisch-systematisches Verzeichnis der musikalischen Werke」という長ったらしい名前ですが、この全集の「交響曲第1番」の校訂を行ったラルフ・ヴェーナーによって編纂されたもので、メンデルスゾーンの作品(Werke)をジャンル別、作曲年代順に整理した目録(Verzeichnis)です。
この目録では、全作品が「A」から「Z」までの26のカテゴリーに分類されていますが、「交響曲」は14番目の「N」のカテゴリーに入っています。これによって、今まで使われていた単に出版順につけられていた番号が、きちんと作られた順に呼ばれるようになりました。ただ、その中にはいわゆる「弦楽器のための交響曲」も含まれているので、今までの「交響曲第1番」は「MWV N 13」になっています。そのほかの交響曲のMWV番号は、5番→N 15、4番→N 16、3番→N 18です(13と17は未完の交響曲の断片)。なお、「交響曲第2番」は、交響曲ではなく「大編成宗教声楽曲=A」にカテゴライズされて「MWV A 18」という番号が与えられています。タイトルも「交響的カンタータ『賛歌』」と変わりました。詳細はこちら
ブライトコプフ版は現物を見ていないので分かりませんが、ホグウッドが校訂したベーレンライター版では改訂が行われた作品では、改訂前と改訂後の楽譜を同時に見ることが出来るようになっています。ですから、「ホグウッド版」という表記があっても、それがどの稿による演奏なのかは分かりません。ここでは、ネゼ=セガンは全て「初稿」の形で演奏しているようです。もっとも、「3番」と「4番」は普通に演奏されるのが初稿なので、特に変わったところはありません。しかし「5番」は現行版が改訂後の「第2稿」なので、「第1稿」は非常に珍しく、多分これが2番目か3番目のCDなのではないでしょうか。
「第2稿」との最大の違いは、第3楽章と第4楽章の間に長大なフルート・ソロがフィーチャーされたカデンツァが入っている点です。これを吹いているのはクララ・アンドラーダ・デ・ラ・カッレでしょうか。とても渋い音色が魅力的です。

CD Artwork © Deutsche Grammophon GmbH

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# by jurassic_oyaji | 2017-07-29 22:28 | オーケストラ | Comments(0)
タワレコのインストアライブを見に行きました
 最近、テレビに米倉涼子さんがよく出てますね。これは、もうすぐ「シカゴ」が始まるので、その番宣なのでしょう。実は、この間渋谷のシアター・オーブに行った時には、そのポスターがでかでかと貼ってありましたから、そういうのもあるんだな、と思っていました。彼女が5年前に単身ブロードウェイに乗り込んで、このミュージカルの主役をあちらの劇場で演じてきたことは知っていましたが、今年もそのキャストで再演があって、それをそのまま渋谷に持ってきたものが、来月から始まるということなのですね。ためしにチケットぴあで調べてみたら、すでに全公演が満席になっていて、1枚も買うことが出来ない状態になっていました。それだったら、別にこんなに宣伝することなんか必要ないと思うのですが、もうすでにテレビ出演のスケジュールが決まっていて、今さらキャンセルはできなかったのでしょうか。読みが甘かったんですね(逆の意味で)。
 でも、私が行った「ウェストサイド・ストーリー」では、間近になっても売れていなかったようですし、当日券もしっかり販売してましたから、やはりこれは「日本人が本場で成功している姿を日本で見てみたい」と思っている人がたくさんいた、ということなのでしょうね。私はこのミュージカルの映画版は見ましたが、正直そんなに面白いものではありませんでした。まあ、チケットが手に入った人は、楽しんできてください。
 考えてみたら、私がそこに行ってきたのはほんの2週間前だったんですね。なんか、ずっと前のことのような気がしてしょうがありません。仙台に帰ってきて、なんだか毎日忙しい思いをしていたせいでしょうか。いや、普通の仕事だけではなく、家族のことでもちょっとイレギュラーな時間がとられてしまうことがあったからかもしれませんね。いずれは辿る道なので、おろそかにはできませんから、真正面から立ち向かわないことには。
 渋谷に行った時には、お昼ご飯は同じ「ヒカリエ」の中にあるトンカツ屋さんで食べようと思っていました。実は、ここがオープンしてすぐぐらいに一人でここに来たことがあって、かつ丼が信じられないほどおいしかった記憶があるものですから、それをもう一度味わってみたかったんですよね。それで、念のためフロアマップで調べたら、まだちゃんとそのお店はあったので安心したのですが、そこで「酢重」も同じフロアにあることが分かりました。このお店は東京駅の新丸ビルにもあって、そこのサバの塩焼きは絶品だと聞いていて食べに行ったら、それは平日だけのメニューでがっかりした、ということがありましたが、こちらの方は普通にメニューにもあるみたいですから、それだったらそこに行こうと思いました。
 着いたのは開店直後だったのですが、すでに窓際の席は満席になっていましたね。まあ、別に渋谷駅周辺の乱立したビルを見てもしょうがありませんけど。ほんとに、このあたりは収拾がつかないほどみっともないことになっていますね。
 これが、目指すサバの塩焼き定食。身がとても柔らかでとても満足しました。ご飯とみそ汁のお代わりが出来るので、どちらももう1杯ずついただきました。アブラゲの味噌汁もいいですね。
 注文した後で店員さんがやって来て、「シアターオーブにいらっしゃいますか?」と聞いてきました。そういえば、ネットで調べた時に、チケットを見せるとレストランでサービスを受けられるようなことが書いてあったので、それをやってみようと思っていたのに、すっかり忘れていましたよ。聞かれなければ、せっかくのサービスが無駄になってしまうところでした。
 それで、食後に出てきたのがこのみつまめです。量は少ないですが、あっさりしていておいしかったですね。
 それからエレベーターで6階から11階まで登ったところがホールの入り口ですが、本当の入り口はそこからさらに2階分エスカレーターで登らなければいけません。
 公演が終わると、このエスカレーターは下りに変わります。そこにはお客さんが殺到するだろうと思ったので、少しでも早く出ようと最初のカーテンコールが終わったらすぐ席を立ったのですが、結局カーテンコールはそれしかなかったので、他のお客さんもすぐに出てきてしまって、それほどのアドヴァンテージはなかったですね。「劇団四季」だったら、延々とオケが演奏していたものですが。まあ、そんなあたりに、お客さんに対するサービス精神の違いを見てしまったんですね。なんか、なめられてるな、と。「シカゴ」ではどうなのでしょうか。
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# by jurassic_oyaji | 2017-07-28 22:51 | 禁断 | Comments(2)
ジャジャジャジャーン!
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田中マコト著
講談社刊(マガジンエッジコミックス KCME21/76
ISBN978-4-06-391021-6/978-4-06-391076-6


久しぶりの本格クラシックマンガ、まずは「帯」に注目です。こういうものにはよく「推薦コメント」というものがあって、関係業界の名士による歯の浮くようなコメントが読めるようになっているものですが、ここにはそういうものは一切なく、代わりに、「クラシック業界関係者黙殺!?/いくつもの推薦コメント依頼に返信まったくなし!(第1巻)」とか「クラシック業界関係者激怒!?/推薦コメント依頼にNGの嵐!(第2巻)」といった、とてもインパクトのあるコメントが並んでいます。いや、ヘタな太鼓持ちコメントより、こちらの方がずっと読者の食指を誘うものになっていますね。
このマンガは、少年マガジンエッジ(アダルト誌ではありません・・・それは「少年マガジンエッチ」)に2015年から2017年にかけて連載されたもので、単行本は第1巻が去年の7月、第2巻が今年の7月に刊行されました。もう連載は終わっているので、この2巻で完結のようです。
作者の田中さんは、女性です。彼女はそもそもミュージカル歌手を目指して武蔵野音楽大学音楽学部声楽学科に入学するのですが、まわりの人たちのあまりのレベルの高さに、音楽家への道を断念しかけます。そんな時に「のだめカンタービレ」の作者、二ノ宮知子さんが大学に取材に来て、彼女は「その姿に触発されて」マンガ家を志すようになったのだそうです。それから修行に励み、10年以上の下積みを経て、晴れて世の中に認められるようにようになったというのですから、経歴自体がすでにマンガですね。そうか、「のだめ」ってそんな昔のことだったんですね。
そんな、音大卒マンガ家が世に問うた、クラシック・ギャグマンガが面白くない訳がありません。ギャグそのものはかなりスベってはいるものの、まずはデフォルメされまくっている大作曲家の「絵」には感動に近いものがあります。特に秀逸なのはシューベルトと滝廉太郎。シューベルトの顔の汗と、右手は最高ですね。そして、滝廉太郎。先ほどの帯コメントが事実だったとしたら、推薦コメントが断られたのは絶対この人の描かれ方のせいでしょう。なんたって、「日本のクラシック音楽の開祖」と祀られて、この国の音楽アカデミズムの中枢ではこんな銅像まで飾られているという人ですから、これはまずいです。だから、面白いんですけどね。
とは言っても、やはり先輩格の「のだめ」同様、気になるところはたくさんあります。
そもそも、毎回のタイトルの「第〇楽章」としたあたりで、普通のクラシックファンの感覚とは微妙にずれていることを感じないわけにはいきません。最後は「最終楽章」で何の問題もありませんが、そのひとつ前が「第21楽章」ですって。このぐらいの楽章数の作品がないわけではありませんが、それはかなり特殊なものですからね。
楽器はピアノ以外はほとんど登場しないので大丈夫だと思っていると、そのピアノでいきなりこんなのが出てきました。なんか、ボディのデッサンがおかしいですね。
それは、こちらの天板と比べると、はっきり分かります。
校歌を作るエピソード(第4楽章)では、モーツァルトくんが作った「怒れ!!」という歌詞が登場しますが、これは「レクイエム」の中の「怒りの日」を元ネタにしたものですね。それはなかなか面白いのですが、それに対するベートーヴェンのネームから、それが旧約聖書からの「引用」であることが示唆されています。しかし、このテキスト自体は聖書から取られたものではありませんから、これはベートーヴェンの勘違い。
そして、音楽大学が登場する「第17楽章」では、滝廉太郎が「音楽大学と銘打っているだけでも10校以上、一般大学の音楽科なども含めたら40校以上はあります」と言っているのも事実誤認。こちらを見ると、日本には優に100校以上の「音楽大学」があることが分かります。滝くんはWIKIのいい加減なデータを鵜呑みにしたのでしょう。

Book Artwork © Kodansha Ltd

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# by jurassic_oyaji | 2017-07-27 20:40 | 書籍 | Comments(0)
「涼宮城」が命取り
 先日の仙台市長選挙、私は正直言ってそれほど関心はありませんでした。というか、現職の市長と宮城県知事までが全面的に応援していて、経済界のバックもしっかりしているS候補には、いくら市民連合で現職の国会議員をかつぎだしても勝てないだろうと思っていましたからね。それが、よもや東京都議会議員選挙と同じ展開でK候補が勝ってしまうとは。
 ですから、選挙期間中もその運動の様子には全く無関心でした。それで、終わってからテレビでそういうものをゾロゾロ放映してくれたのでそれを見ていたら、県知事あたりはとんでもないことをやっていたんですね。なんか、自分の立場が分かっていないというか、あまりにも露骨な応援活動には完全に引いてしまいますね。そして、最近明らかになったのが、S候補が震災後に行った土地の不正取得問題です。なんでも、「半壊」になったビルを土地ごと買うことになって、ビルの解体費用を差し引いて売買契約を結んだのに、その契約を締結する直前までに売主に無断で再度調査を行って評価を「大規模半壊」にしてもらい、契約通りの価格で買った上に、解体は公費で行った、というのですから、これはヤバいですよね。こんな人がもしかしたら市長になっていたかもしれないなんて、ゾッとします。
 一応S候補は公約で「音楽ホールの建設」を謳っていました。ですから、それに釣られて投票してしまった人も私のまわりにはいたようですね。確かに、この人はそういう運動の一翼を担っていたような気はしますが、前にも書いたように、その全体像がいまいち見えてきていないところがありました。それこそ知り合いの音楽家たちが役員として名を連ねている団体とはどのような関係にあるのかは、いまだによく分かりません。そこにこんなことが明らかになってしまったのでは、ホールは出来たけれど、そこには得体のしれない金の亡者のスキャンダルが絡み付いていた、なんてことにもなりかねませんでしたよ。
 いろんな見方はあるかもしれませんが、今回の仙台市民の選択は、立派だったと思います。もちろん、私もK候補に投票しました。
 ただ、音楽ホールに関しては、確実に実現からは遠のくでしょうね。それとも、もうすぐ行われる県知事選挙では、現職の対立候補に、その方面に積極的な方を担ぎ上げるとか。今の知事は、おそらく壇蜜愛を貫いた結果、自滅してくれるでしょうからね。
 東京には、「2000人収容の音楽ホール」なんかいくらでもあります。ちょっと小さめですが、1600人収容で非常に良い音のする東京オペラシティのコンサートホールで毎年コンサートを行い、常に満員のお客さんを集めていた合唱団が、このたびそのラスト・コンサートをそこで開催しました。あいにく私はニューフィルの指揮練があったので行けなかったのですが、音楽監督のPさんからその時の模様を収録したCDが送られてきました。さっそくそれを聴いて、お礼のメールをPさんに送ったら、「ハイレゾもありますよ」という返事が来たので、もちろんお言葉に甘えてDLさせてもらいました。CDでは2枚組でしたが、そのデータは24/192のLPCM(.WAV)だったので、全部で8.5Gにもなりましたね。最初は自宅のWI-FIでやっていたのですが、とてつもなく時間がかかりそうなので、LANケーブルにしたらすぐDL出来ました。
 それをちゃんと聴くには、職場のシステムが必要なのですが、待ちきれなかったのでとりあえずPCでCDと聴き比べてみましたが、それでもきちんと違いが分かりましたね。ですから、翌日ちゃんとUSB-DACを通して聴いてみたら、もうその違いは歴然としていました。いや、CDでもかなりのクオリティで、市販のCDよりもはるかに良い音で聴こえていたのですが、ハイレゾは別物でした。CDで聴いてちょっと不満が感じられていたところが、ことごとく意味を持っていたことが分かるんですよね。
 最後のステージでは、このホールのオルガンも使われていました。その音が、CDでは電子オルガンのように聴こえていたものが、ハイレゾではきっちりパイプオルガンの音になっていた、と言えば、その違いがはっきりするでしょうね。エンジニアは小貝俊一さん、このコンサートの1回目から彼が録音を担当されています。すべてが「一流」でした。この合唱団は。
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# by jurassic_oyaji | 2017-07-26 23:00 | 禁断 | Comments(0)
MAHLER/Symphony No.5
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Osmo Vänskä
Minnesota Orchestra
BIS/SACD-2226(hybrid SACD)


フィンランドの指揮者、オスモ・ヴァンスカは、今ではアメリカのオーケストラの音楽監督に就任して、インターナショナルな活躍をしています。ただ、このBISレーベルからリリースされているCDでの彼のレパートリーは、お世辞にもインターナショナルとは言えません。やはり、なんと言っても突出しているのはシベリウスでしょう。かつての手兵だったフィンランドのラハティ交響楽団との共演では、シベリウスに関してはかなりマニアックなものまでレコーディングを行っていましたし、交響曲ではラハティ、ミネソタ両方のオーケストラとの全集を完成させていますからね。なんたって、その中には双方に「クッレルヴォ交響曲」まで含まれているのですから、これはそうとう画期的。
ただ、その他の作曲家では、交響曲全集を完成させたのは同じ北欧のニルセン(BBCスコティッシュ管)とベートーヴェン(ミネソタ管)しかなかったような気がします。そんなところに、いきなりマーラーの交響曲のツィクルスを始めたという情報が入ってきました。その第1弾として登場したのがこの「5番」です。
もちろん、オーケストラのコンサートでは今までにマーラーを取り上げたことはあったことでしょうし、1994年には室内楽版(シェーンベルク版)で「大地の歌」を録音していますから、別にマーラーが苦手だったわけではないのでしょうね。
この曲では、冒頭でのインパクトで、どれだけお客さんを引きつけられるかが、最大のポイントなのではないでしょうか。たった1本のトランペットから始まったものが、瞬時にとてつもない音響にまでたどり着くという場面、これは指揮者の腕の見せ所でしょう。そのトランペットのソリストは、素晴らしい音でその「運命のモティーフ」を吹いていました。そこには、どんな奏者でも見せるようなナーバスなところは全く感じられません。それどころか、まるでそれはニニ・ロッソの「夜空のトランペット」のようなリラックス感さえも持っていたのです。いかにもアメリカのオーケストラらしいという気はしますが、もうちょっと緊張感があってもいいような。
そして、すぐに最初のクライマックスがやってきます。この部分は、最近生で何度も聴いているので期待していたのですが、そのあまりのしょぼさには完全に失望させられてしまいました。SACDのダイナミック・レンジだったら、バスドラムの低音などはもっと重量感をもって聴こえてくるはずなのに(そういう音源はたくさん知っています)この、いかにも安全運転然とした録音はいったいなんでしょう。
そのあと、ヴァイオリンとチェロで現れるゆったりとしたテーマも、なんか薄っぺらな音で、ハイレゾならではの質感が全く伝わってきません。最近のBISの録音では、こういう弦楽器がとてもおざなりなものがよくあるのですが、これもそんな傾向が強く出てしまった、あまり感心できない録音なのでしょう。
ヴァンスカの指揮ぶりも、そういう録音のためなのかもしれませんが、なんか受け身に回ってしまった消極性のようなものが感じられてしまいます。あまり自分の主張を出さずに、もっぱらプレーヤーの自主性に任せる、みたいな感じ。
第2楽章も、同じようになんとも気の抜けた、戦闘意識の全く感じられない演奏です。第3楽章も、変に整っていて、マーラー特有の「汚なさ」が見られません。録音のせいもあるのかもしれませんが、クセのあるへんてこなメロディをあっさりと隠してしまっているので、とてもお上品になってしまっています。そして、第4楽章も、陶酔感からは程遠い乾いた音と歌いまわし、第5楽章も、何か居心地がよくありません。正直言って、こういうマーラーは嫌いです。
この後には「6番」と「2番」が控えているのだそうですが、とても購入する気にはなれません。というか、この程度の音だったらSACDでなくても構わないので、NMLで聴くぐらいが相応なのでは。

SACD Artwork © BIS Records AB

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# by jurassic_oyaji | 2017-07-25 23:12 | オーケストラ | Comments(0)