おやぢの部屋2
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BEETHOVEN/Works for Flute・2
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瀬尾和紀(Fl)
上野真(Pf)
児玉光生(Fg)
NAXOS/8.573570


先日の「1」に続いて、瀬尾和紀さんによるベートーヴェンのフルート作品のアルバムの「2」が登場しました。今回は、前回と同じメンバーはファゴットの児玉さん、そして、ピアノの上野さんが新たに参加しています。
前回は瀬尾さんの最近のポートレイトをご紹介しましたが、たまたま来月仙台市内で瀬尾さんと、ギタリストの大萩康司さんのコンサートが開かれることになっていて、そのチラシを手にしたら、大萩さんの方も年相応の貫録が付いていたことが分かりました。
これがデビューしたころの大萩さんのCDのジャケット。
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これが、最近のポートレイトです。
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瀬尾さん以上に印象が変わってしまっていますね。
ということは、お二人とも長年にわたって順調にキャリアを築き上げてきている、ということになるのでしょうね。これからも、末永いご活躍を期待したいものです。
今回の「2」では、最初の曲は、なんと前回と同じ「セレナード」でした。ただ、前回はフルート、ヴァイオリン、ヴィオラという編成だったものが、今回はフルートとヴィオラに変わっていますし、作品番号も「Op.25」だったものが「Op.41」になっています。
この時代は作曲家自身が自分の作品に番号を付けるということはなく、この番号は、言ってみれば商品の品番のように、出版社が付けていました。ですから、この「セレナード」の場合も、ベートーヴェンが以前の作品に手を入れて新しい作品として出版したのではなく(それだったら、作品番号も「Op.25a」みたいにするはず)、出版社が勝手に旧作に手を入れて、より需要の高い編成に直し(フルートではなく、ヴァイオリンで弾いても構わないようになっています)さも新しい作品であるかのように、新たな作品番号を与えて出版したのです。現に、ベートーヴェンは出版社に対して、「これは私の作品として出版してはいけない」と抗議していますからね。
まあ、そんな経緯は関係なく、今ではとても貴重なベートーヴェンによるフルートとピアノのためのレパートリーとして、リサイタルでは重宝されています。オリジナルの編成ではなかなか手軽に演奏できませんからね。
一応、この「編曲」は、オリジナルのフルートのパートはそのままに、残りのパートをピアノに弾かせるようにしているようになってはいます。ただ、フルートのパートは全く同じではなく、編曲者の裁量で少し変わっている部分がないわけではありません。例えば、第2楽章では、オリジナルが冒頭からフルートが優雅なメヌエットのテーマを演奏しています。
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しかし、この編曲ではその前半はピアノだけで演奏されています。そして途中からフルートが本来のパートを吹き始めるのですが、
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その音が、こんな風にオクターブの跳躍で始まっています。せっかくのフルートの美しいメロディをピアノに横取りされたうえに、こんな乱暴な入り方を強いられるのですから、これはとてもダサいセンスですね。
それと、第4楽章のスケルツァンドでも、トリオに入るところで、同じようにピアノがフルートのとてもおいしい旋律を持って行ってしまっています。
続いて演奏されているのが、「フルート・ソナタ」ですが、これは今では完全に偽作とされていますから、単にベートーヴェンの同時代の作曲家の何ということはない作品という以上の感慨はありません。
ただ、最後の「三重奏曲」は、きちんとベートーヴェンの自筆稿が残っているので、真作であることは間違いありません。これも編成は特殊で、正式なタイトルは「クラヴィチェンバロ、フルート、ファゴットのためのトリオ・コンチェルタント」というのだそうです。これは、自らがファゴットを演奏し、息子はフルート、娘はピアノを演奏するヴェスターホルト伯爵一家のために作られたのだそうです。これは、その3人に成り代わったこの録音での3人の名人芸をいかんなく堪能できるとても楽しい作品です。ここには確実に一過性には終わらない魅力があります。

CD Artwork © Naxos Rights US, Inc.

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# by jurassic_oyaji | 2018-06-23 22:58 | フルート | Comments(0)
竹藪は蚊の大群でしょう
 久しぶりに青空を見たような気がしますが、気温も結構上がりましたね。職場では、1回出したものの、しばらく使っていなかった扇風機が稼働を迫られていました。外は暑くても、部屋の中だったら窓を開けて扇風機で軽く風を受けるだけで、もう快適そのものです。
 そんな中で今度の「かいほうげん」のページを作っているのに熱中していると、目の端でなんだか虫のようなものが動いた気配がありました。さらに、なんとなく右腕の肘のあたりに軽い触感が。もしや、と思ってそっと首を回すと、いましたよ。あの夏の昆虫が。
 でも、なんだか動きが鈍いですね。おそらく、まだ刺されてはいないような感じ、それをつぶそうとそっと左手を動かしていくと、いつの間にかいなくなってました。でも、あの様子ではそんなに遠くには行けなさそうなので、また近寄ってくるかもしれませんね。
 また作業に戻ってしばらくすると、やはり同じところにノコノコとやって来ましたよ。今度は用心して、慎重につぶしにかかります。軽くたたくと、まだ亡くなってはいないようで、少し足を動かしていますが、もう飛んではいけないようになっていました。
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 この後、しっかりつぶして捨てたのですが、別に赤いものは出てこなかったので、刺されてはいなかったようです。でも、また来たらいやなので、窓は閉めておきましょう。さすがに山の中ですから、もう出てきているんですね。今年初めての蚊との遭遇でした。
 その仕事部屋には、私のCDを収納する棚を置いてあるのですが、おととしの3月に新しい棚を導入して、大幅にCDの場所を入れ替えた時がありました。それは、今まで雑然と置いていた合唱関係やオペラのアイテムを、きちんとレーベルごとに並べ替えるという作業でした。その結果、なにかを取り出したいと思ったら、即座にそれが出てくる、となるはずだったのですが、実際にやってみるとそんなにうまくは行かなかったようですね。結局、前と同じように1枚1枚見ていかないと、なかなか目的のものは見つからないという状態のままだったんですね。でも、いいんです。とりあえずパンク寸前の棚が、多少の余裕が持てるようにはなりましたからね。
 ただ、中には、いくら探しても見つからないというものがあるようになりました。それは、バーンスタインがDGに録音した「カルメン」を、PENTATONEというレーベルで新たにSACDにしたものです。この前も書きましたが、これはオリジナルは「4チャンネル」で録音されていたものですが、結局DGからはそのフォーマットで出ることはなく、SACDのマルチトラックでやっとそれが聴けるようになったというものですね。これを買った時にはまだサラウンドは聴けなかったので、普通にステレオで聴いていたものを、ちゃんとしたサラウンドで聴いてみたいと、探してみたのですが、それが何回探しても出てこないんですよ。もう、オペラの棚は徹底的に探しましたし、別のところでこのレーベルが置いてあるところもしっかり探したのですが、どこにもありません。もしかしたら棚に入れないでその辺にあるかもしれないと思って、あちこちの平積みになっているCDの山もくまなく探したんですけどね。
 それが、ひょんなことから見つかりました。なんと、それはワーグナーの棚にあったのですよ。ワーグナーだけは数が多いのでオペラとは別のところに置いてあるのですが、そこに「ラインの黄金」と一緒になっていました。なんでこんなところにしまってあったのか、不思議ですね。
 さっそく聴いてみましたが、最初のシーンの子供の合唱で、しっかりリアの右側から子供たちが歌いながら歩いてくるのが分かりましたね。まあ、それこそ子供だましのようなものですが、ちょっと感動してしまいました。
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 前回、ブーレーズの「オケコン」をオリジナルのサラウンドで聴きたいと書きましたが、調べてみるとこれはちゃんとSACDのマルチトラックで発売されていたんですね。さっそく注文したのですが、レビューなどを見るとこれはどうやらオリジナルの4チャンネルではなく、普通の2チャンネルのマスターテープに残響成分を合成した「偽サラウンド」のようでした。ですから、あわてて注文を削除しましたよ。SACDの出初めの頃には、そんな詐欺まがいのことをやっていたんですね。
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# by jurassic_oyaji | 2018-06-22 21:36 | 禁断 | Comments(0)
Hans Zimmer Live in Prague
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EAGLE ROCK/EVB 335709(BD)


どうしても「ハンス・ツィンマー」と呼びたくなってしまいますが、一応アメリカ式に「ハンス・ジマー」と呼ぶのが慣例になっているので、それに従いましょう。そんな名前でも分かる通り、生まれたのはドイツ、その後ロンドンに移住してさらにアメリカに渡り、今では世界的な映画音楽の作曲家になっている人ですね。
彼の作る音楽は、とても骨太でダイナミックなものから、繊細なものまでかなり幅広いような印象がありました。その中で、生のオーケストラと電子音(シンセサイザー)との絶妙なバランスによる独特なサウンドは、それまでの映画音楽のグレードをワンランク高めたものなのではないでしょうか。
そんなジマーが、2016年にプラハで行ったコンサートの模様が、2017年にBDなどでリリースされていました。
会場は、プラハのO2アリーナという、収容人員18,000人の屋内競技場です。そこを埋め尽くした聴衆の前で、ジマーはオープニングから度肝を抜いてくれました。まずはジマーが一人で現れて「Driving Miss Daisy」のテーマをピアノで弾き始めます。そのピアノも普通のアップライトではなく、もう少し小振りのスピネットタイプのおもちゃみたいな楽器ですから、なんかジマーのサウンドとはミスマッチ。そこに、クラリネット奏者が登場して、デュエットになります。そのクラリネットがすごく上手、あとで調べたらリチャード・ハーヴェイという、やはり映画音楽などを作っている作曲家でした。
さらに、セクシーなボンデージ・ファッションのヴァイオリンが2人と、スケルトン・チェロ(ヤマハ)が一人加わってひとくさりアンサンブルが披露されますが、少しリズム感がタイトになってきたな、と思った瞬間、後ろのカーテンが上がってそこに並んだドラムスとパーカッションがいきなり現れました。
曲は「Sherlock Holmes」に変わり、ジマーはなんとバンジョーを弾きだしましたよ。それが一旦暗転でブレイク、ベースのソロで「Madagascar」のリフが始まり、ジマーは燕尾服を脱いでシャツ姿になり、ピアノに向かいます。そして、そのリフが盛り上がってきた瞬間、さらに後ろのカーテンが上がって、ストリングスとブラス、そしてコーラスが現れました。これには客席も驚いて、スタンディング・オベーションですよ。このメンバーはチェコ・ナショナル交響楽団と合唱団ですって。
それからは、聴いたことのあるジマーの曲たちのオンパレード、オーケストラを駆使した重厚なサウンドから、ほとんどEDMといった感じのテクノ・サウンドまで、幅広いジャンルを網羅したジマーの世界が広がります。
演出も、照明がとても多彩で目がくらむほど。そして、最大の魅力がそのサラウンドのミックスです。いまや、映画のサウンドトラックはサラウンドが当たり前になり、単なるオーケストレーションではなく、しっかり音場まで設計されたアレンジが行われています。時には、それが的確な表現となって、映画全体のコンセプトを伝える大きな要素ともなりえています。そんな「思想」までが、このBDのサラウンド・ミックスでは見事に反映されているのです。
具体的には、オーケストラと合唱はリアに定位、フロントにバンドが広がるという、まるでステージのど真ん中にいるような定位になっています。ただ、ドラムスやパーカッションはシーンに応じて定位が変わり、前からも後ろからも迫ってきます。
スケルトン・チェロは、常にフロントでソリスティックな演奏を繰り広げています。この人は中国系のティナ・グオというチェリストで、クラシックのチェロや、二胡までも演奏します。なんでも、五嶋みどりとトリオを協演したこともあるのだとか。ただ、何カ所か、間違いなくソロを弾いているのに、音が全然聴こえないところがありました。これは音響のミスなのでしょう。
「動く」ジマーを見たのはこれが初めて、かなり老けた外観はちょっと意外でした。でも、このライブのサウンドには圧倒されました(あっとおどろくことばかり)。

BD Artwork © Eagle Rock Limited

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# by jurassic_oyaji | 2018-06-21 20:17 | ポップス | Comments(0)
前曲はデュカスとラヴェルになりそうです
 そもそものきっかけは、買い替えたブルーレイ・レコーダーが今まで使っていたアンプにつなげるための出力を持っていなかったことから、仕方なくHDMI対応のAVアンプを買ったことだったのですが、そこから芋蔓式(とは言わない?)に作ってしまったのが我が家のサラウンド・システムです。これがもはや、私が自宅で映画を見る時には、欠かせないものになってしまいましたね。なによりもすごいのは、そんなサラウンドの音声がそのまま放送で流れていて、それを録画すればその場でサラウンド対応のソフトが出来てしまうということです。
 しかも、映画の場合、音声をサラウンドで作るようになったのはかなり前のことなんですよね。ですから、かなりクラシックな作品でも、きちんとサラウンドになっているので、録画したいと思うものの大半はサラウンドで楽しむことが出来ます。
 ですから、極端な話、もう映画は劇場に行って観る必要がなくなってしまったと思えるぐらいですね。だって、私にとってわざわざ映画館まで行くことの意義は、そういうサラウンドを体験できることだけでしたからね。まず、あの大画面は、正直でか過ぎますよ。私は劇場ではまず最後列に座ることにしていますが、それでも大きすぎますからね。それがアクションシーンだったりすると、もう視界の中で物を見る許容範囲を超えてしまいますから、疲れるのなんのって。そもそも、人間の顔があんなに大きいのって、気持ち悪くないですか?
 あとは、画質、というか、明るさが不足していることがよくありますよね。昔行っていたMOVIXは、かなりそういう感じで、もう我慢が出来ないぐらい暗い時もありましたし、今行っているTOHOシネマだって、少しは良くなってますが、まだ不満を感じることはありますからね。
 あとは、エンドクレジットで、必要な情報を得る前にもう流れてしまって見えなくなってしまう事。自宅だったらポーズにすれば、しっかり細かいところまで見られますからね。
 そして、最大の欠点は、まわりに赤の他人がいっぱい座っていることです。最近では、映画に合わせて一緒に歌を歌ったり、踊ったりすることがあるのだそうですが、そんなところには絶対に行きたくありませんね。
 そんな、映画館の欠点を、すべて解決してくれるのが、自宅でのサラウンドなんですよね。もちろん、これはあくまで私の個人的な感想ですから、無視していただいて結構ですよ。
 サラウンドは、映画だけではなくオーディオの世界でも広がっています。まあ、ピュア・オーディオを信奉している人には、それは外道だと否定されてしまうかもしれませんね。私も、かつてはそうでした。でも、試しに、今まで買っておいたハイブリッドSACDのマルチトラック・レイヤーを聴いてみると、なかなか楽しい発見がありました。そもそも、今から何十年も昔に同じことをやっていた「4チャンネルステレオ」の音源が、そのままサラウンドになって発売されたりしていますから、これはたまりませんね。
 そんなもので、私が聴いてみたいと思うのが、かつてやはり4チャンネルに熱心だったCBSの音源です。たしか、ブーレーズがバルトークの「オケコン」をしっかり4チャンネルのための配置で録音したものがあったはずなので、これをサラウンド付きのハイブリッドSACDで復刻してくれないものでしょうかね。タワーレコードあたりで。
 ただ、その、昔の「4チャンネル」は、スピーカーはこんな風に設置することになっていました。
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 しかし、今のサラウンドで推奨されているのは、こういう置き方です。
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 私の職場でも、自宅と同じ機材を使ってサラウンドを聴いていますが、そのリア・スピーカーを、場所の関係で最初は上のように置いていました。でも、なんだかそれだといまいちサラウンド感が不足しているので、頑張って下のように置き換えてみたら、俄然リアの定位がくっきりとしてきました。これで聴き直してみたいSACDは、まだまだたくさんあります。
 そういえば、きのうの夜、来春のニューフィルの定期演奏会の前曲の候補曲を絞って、それを団長が今日になって篠崎さんに送ったのですが、その返信も1時間も経たないうちに届いたのだそうです。それこそサラウンドで聴きたいような曲が満載のコンサートになりました。
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# by jurassic_oyaji | 2018-06-20 22:56 | 禁断 | Comments(0)
BACH, TELEMANN/Suite for Flute & Orchestra
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Julius Baker(Fl)
Anthony Newman/
Madeira Festival Orchestra
VOX/MCD 10008


「VOX」というのは、1945年、まだSPレコードの時代にアメリカで創設されたレーベルです。LPの時代になると、主に廉価盤を中心に活発にリリースを行っていました。サブレーベルである「TURNABOUT」とともに、オールド・ファンには懐かしい名前なのではないでしょうか。
しかし、このレーベルはいつの間にか別の会社に身売りをしてしまい、今ではもはや新しい録音は全く行っていません。それが最近、なぜか「新譜」として数アイテムが発売されました。その中にこんなジュリアス・ベーカーが1981年に録音したアルバムが入っていたので、購入してみました。オリジナルは聴いたことはありませんでしたから。
そこで現物を見てみると、「VOX」の他に「MMG」というロゴも入っています。たぶん、過去のVOXのカタログの権利を持っているレーベルなのでしょうね。そして、このCDのコピーライトを見てみると「© Vox Classics/Naxos Music Group」とありました。どうやら、いつの間にかそんなVOX関連のレーベルが、まとめてあのNAXOSの傘下に入っていたようですね。
一応、バックインレイには「An Original Digital Recording」というコメントがありますから、この頃始まったばかりのデジタル録音だったことは分かります。ただ、このCDを聴くと、デジタル録音らしからぬグラウンド・ノイズがかなり入っています。
音源がこれと全く同じCDで、1986年に「VOX ALLEGRETTO」というレーベルからリリースされたもの(ACD 8194)がNMLで見つかったので聴いてみたのですが、そこでも同じようなノイズが派手に聴こえてきました。ということは、おそらく、オリジナルのエンジニアがプロとは言えないようないい加減な耳の持ち主だったのでしょう。
しかし、そんな劣悪な音でも、その中から聴こえてくるベーカーのフルートの凄さはきっちりと伝わってきます。音の粒はあくまで滑らか、そして彼の最大の魅力である強靭なソノリテは、低音から高音までとてつもない存在感を誇っています。
ベーカーがこれを録音したのは65歳の時、まだニューヨーク・フィルの首席奏者は務めていて、引退するのはこの2年後になります。その後も、たとえばバーンスタインが1984年に自作の「ウェストサイド・ストーリー」を録音した時には、スタジオ・ミュージシャンとして参加して、その健在ぶりをアピールしていましたね。
これは、ポルトガルのマデイラ島で行われた音楽祭で録音されたものです。ノイズはあるものの客席の音は全く聴こえませんから、おそらくライブ録音ではなく、セッション録音なのでしょう。
まずはバッハの組曲第2番。これはフルートとオーケストラのための作品として有名ですね。さすがに、この頃になるとバッハなどのバロック音楽に対する演奏家の姿勢もそれまでの重々しいものからもっとしなやかなものに変わっていますから、ベーカーの演奏もバッハの最初の序曲などはかなり早いテンポになっています。もちろん、フランス風序曲として、楽譜では付点音符で書かれていても、もっと長めに演奏することも徹底されています。さらに、自由な装飾を付けるのも推奨されるようになった時代ですから、時折聴いたこともないようなフレーズが聴こえてくることもあります。一番すごいのは3曲目の「サラバンド」で、繰り返しの時にフルートが完全にオリジナルの旋律を吹きはじめることでしょうか。現在では、いくらなんでもここまでやる人はいないでしょうから、これはとても貴重な「記録」です。シンバルまでは入っていません(それは「サルバンド」)。
続いてテレマンの組曲イ短調です。オリジナルはリコーダーとオーケストラという編成ですが、フルートで演奏されることもあり、ベーカー以前にもランパルやゴールウェイが録音していました。ここでは、この作曲家特有の技巧的なメリスマを、いとも涼しげに吹いているのが聴きもの。その流れにオーケストラが付いていけなくなるようなところもあって、とてもスリリングです。それにしても、ベーカーのブレスの長いこと。

CD Artwork © Vox Classics/Naxos Music Group

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# by jurassic_oyaji | 2018-06-19 23:57 | フルート | Comments(0)