毎週月曜日は、利府のMOVIXはメンズデー、今日のように祝日でもこれはきちんとやっていますから、久しぶり、なんの練習もなくなったお休みの日なので、行ってくることにしました。見に行ったのはアニメの「ウォーリー」。といっても、絵本の「ウォーリーをさがせ」がアニメになったものではなく、「WALL・E」という、700年後に人類がいなくなってしまった地球で、ひたすら空き缶などを集めてキューブに圧縮、それをきれいに積み上げる仕事を続けているというロボットが主人公(主ロボット公)のお話です。「ファインディング・ニモ」や「カーズ」が本当につまらなかったのに、前作の「レミーのおいしいレストラン」では見事にカムバックを果たしたディズニー・ピクサーの最新作、アメリカでも日本でも大ヒットしているという噂でした。ですから、期待はしていたものの、劇場に行ってまで見ることはないかな、と思っていました。WOWOWで放送されるまで待っていてもいいと。しかし、
CLASSICAさんのブログをつい読んでしまったから、いけません。こんなすごいものなのだったら、即刻劇場で見ないわけにはいきませんよ。
確かに、そのテーマは、実に分かりやすい音楽とともに繰り広げられていました。なにしろ、あのハ長調のファンファーレが、「その瞬間」に高らかに鳴り響くのですからね。ただ、もちろんこれはいかにもディズニーらしいご都合プロットの中で展開されるものですから、本家の持っていたメッセージとは似て非なるものになっているのは明白です。ですから、私にはパロディというよりはかなり安直な引用のようにしか感じられなかったのですが、どうでしょう。
引用という面で見てみれば、冒頭の摩天楼の俯瞰シーンなどは、まさに「ウェストサイド・ストーリー」からの引用でしょうし、「ID4」の印象的なシーンも見られますね。そして、何と言っても圧巻なのが「2001年」がらみというわけです。WALL・EとEVEが「ダンス」を踊るシーンなどは、本家のもっと悲惨なシーンの、それこそ「パロディ」なのでしょうね。
そんな、とても贅沢な「引用」を楽しみつつ、スケールの大きなドラマをこの上なく丁寧に作られたCGアニメで楽しむというのが、私にとっては相応な見方だったのでしょう。なまじ先入観があったため、どれほどのものかとちょっと力が入った分、肩すかしにあってしまったという、ちょっと残念な結果になってしまいました。
それでも、キャラクターの不思議な可愛らしさと、多少強引ではありますがしっかり「泣かせる」手慣れたテクニックには見事にはまってしまいましたよ。主役の2人(2体)はもちろんですが、私にとっての一番のお気に入りは、せっせとあちこちを磨き上げているお掃除ロボットでした。そんな非生命体が見事に個性的に振る舞っている中では、「人間」はいかにも無能に見えてしまうというのが、もしかしたら本当の「恐ろしさ」だったのかもしれませんね。
エンドロールのバックが、秀逸でした。絵画の技法の変化を、人類の進歩にシンクロさせて表現しているものですが、それがゴッホあたりで終わってしまっているのが、なにか暗示的なものを感じさせられます。本編のプロットが、これに呼応出来るほど緻密なものであったら、真の「テーマ」がしっかり伝わってきたのかもしれません。