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BRAHMS/Symphony No.3, Choral Works
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John Eliot Gardiner/
The Monteverdi Choir
Orchestre Révolutionaire et Romantique
SOLI DEO GLORIA/SDG 704



2007年から始まった、ガーディナーとオルケストル・レヴォルショネール・エ・ロマンティークのコンビによるブラームスの交響曲ツィクルスは、録音はすでに完了しているようですね。番号順にリリースを重ねて、今回が「第3番」の登場です。今までのCDと同じように、交響曲と同時にブラームスなどの合唱作品も演奏するというユニークなコンサートでのライブ録音で、カップリングは合唱曲です。演奏しているのは、もちろんガーディナーの手兵、モンテヴェルディ合唱団、オーケストラのコンサートにもかかわらず、無伴奏の合唱曲まで聴けるというあたりが、合唱ファンにとっては嬉しいところでしょう。
最初に入っているのが、そんな無伴奏の男声合唱「私は角笛を苦しみの谷で鳴らす Ich schwing mein Horn ins Jammertal」です。この合唱団を支える男声の素晴らしさを堪能できる演奏、若々しい声が心地よく響きます。音楽はあくまで前向き、決して停滞することはなく、サクサクと小気味よく運ばれます。
メインの交響曲が、まさにその男声合唱と全く変わらないテイストで演奏されているというのが、このような形のコンサートを敢行することの意味を良く理解させてくれるものです。第1楽章冒頭の管楽器によるイントロは、澄み切った男声合唱のような力強さにあふれたもの、それは、曲全体に満ちあふれている若々しさを高らかに叫び上げるものでした。そこには、ブラームスと聞いて思い浮かべるような重苦しさはかけらすらも見られません。速すぎるかな、というほどの軽快なテンポに乗って、そこにはまるでメンデルスゾーンのような前期ロマン派の香りが漂います。
オーケストラはもちろんオリジナル楽器を使っている団体です。そこで自ずと比較したくなるのは、ノリントンの最近の一連の録音でしょう。彼が、モダン・オーケストラにもビブラートを使わせないで、独特の「ピュア」なサウンドを目指しているのとは対照的に、ガーディナーはピリオド楽器であるにもかかわらず、弦楽器にはたっぷりとビブラートをかけさせているように聞こえます。ノリントンによる禁欲的なアプローチは、響きの純粋さとともに、時折音楽が「死んでいる」と感じられる瞬間が有ったものですが、こちらの方は、なんのストレスもなく生理的にすっきり感じられます。第3楽章の有名なテーマも、やはりこのようにたっぷりしたビブラートとともに聴きたいものだ、と、再確認です。このテーマがホルンで現れるときの、ナチュラル楽器ならではのちょっとした音程の不均一さあたりこそが、ピリオド楽器による演奏の本当の醍醐味なのではないでしょうか。
したがって、これだけ速いテンポの中では、メカニカル的にモダン楽器には遅れを取っている木管楽器が、ちょっと辛い思いを味わわなければならないことになってしまいます。彼らは、コラールなどのアンサンブルではとても溶け合った見事なハーモニーで暖かい響きを作り上げ、全体の演奏に貢献しているものの、細かい音符のフレーズでソロを吹いたり、お互いが掛け合いを行ったりしている部分では、ちょっとみっともないな、と思えなくもありません。ただ、それは「オリジナル」ならではの味であると思えるギリギリの許容範囲ではありますが。
このCDには、会場の異なる2種類の録音が含まれています。オーケストラ伴奏による「悲歌
Nänie」だけが、合唱のメンバーとオーケストラの編成が違うので別の場所でのセッションだとは分かります。管楽器の聞こえかたなどが全く違っているので、ちょっと興味のあるところなのですが、いったいどちらがどこなのか、このクレジットでは分からないのが残念です。
女声合唱によるカノン「もの憂い恋のうらみ Einförmig ist der Liebe Gram」は初めて聴きましたが、シューベルトの「冬の旅」の終曲と同じメロディだったのにはびっくり。こういうのも盗作になるのかのん

CD Artwork © Monteverdi Productions Ltd
by jurassic_oyaji | 2009-09-26 09:35 | オーケストラ | Comments(0)