今年も押し迫ってきましたが、月末も近くなると毎月購読している「レコード芸術」が発売になります。ふつうは20日なのですが、今月はその日が日曜日なので、今日19日が発売日になりました。愚妻がジャスコに買い物に行くというので、私もその中の本屋さんで「1月号」をゲット、愚妻が買い物している間に車の中で読んでいましょう。
その中の「広告」まがいのグラビア記事で、ハタと目を見張らせられるものがありました。あの「ショルティのリング」がSACDになった、というのですよ。もちろん、これは録音史に永遠に残るであろう、ジョン・カルショーが制作したワーグナーの「リング」の全曲録音のことですね。なんせ、半世紀近く前の録音ですから、最初はLPで出たものです。それは、当然今までに何回かCDとなってリリースされていたのですが、なぜか最初聴いたLPが持っていた生々しさが決して伝わってくることのないものだったのです。それはやはりCDのスペックの限界だったのでしょうね。そのことは最近、実際に自分でLPをデジタル化してみて切実に感じるようになっていました。最低でも96kHz/24bitのPCMでないと、LPの持っている情報を充分に移し替えることは出来ないのですよ。CDの規格である44.1kHz/16bitでは、とてもそこまでのことは出来ません。ですから、現行の規格では、96kHz/24bitのPCMと同等のクオリティが得られるとされる圧縮なしのSACDでしか、「LP並み」の音を出すことは出来ないのです。
要は、録音を行ったDECCAがSACDで「リング」を出してくれればそれは簡単に実現するのですが、なぜか、このレーベルを統括しているUNIVERSALは、SACDの生みの親であるにもかかわらずもはやこのフォーマットから完全に撤退してしまっているように見えます。したがって、「リング」のSACDが出るなどということは、永遠にかなわない夢だと思ってあきらめていました。しかし、その「夢」が突然かなうことになったではありませんか。なんでも、ハイエンド・オーディオブランドの「エソテリック」(これが「ティアック」のブランドだったことを、今回初めて知りました)が、DECCAのマスターテープにまでさかのぼってマスタリングを行った、というのですね。そういえば、以前秋葉原のヨドバシに行ったときに、そんなSACDを見かけたことを思い出しました。なんともすごいことをやってくれたものです。
普通のレコード店では扱ってなく、一部のオーディオショップでしか手に入らない、というのも分かりましたが、「レコ芸」からは、それ以上の情報は得られませんでした。そこには価格すらも書いてありませんでしたし。まあ、家へ帰ってからゆっくりネットで調べてみようと、その時は思いました。
それから行ったのが泉の「タピオ」です。ここにもやはり本屋さんがありますから、そこで、今度は「ステレオサウンド」を立ち読みです。オーディオメーカーの製品ですから、オーディオ誌だったら、もっと詳しい情報があるでしょうからね。確かに、お目当ての記事はありました。そこには、実際にマスタリングを行ったのは、あの杉本一家さんだとも書いてあります。いやぁ、杉本さんのマスタリングだったら間違いはありません。というか、こうなればなにがなんでも手に入れたくなってしまいます。見ると、「12月21日発売予定、限定1,000セット」とあるではありませんか。これを待ち望んでいた人はとても1,000人しかいないとは思えませんから、早く買わないとなくなってしまうかもしれません。いっそ、予約をして、確実に買えるようにしておいた方が良いのかも。
さいわい、仙台には私が今使っているスピーカーを買った「のだや」という有名なオーディオショップがあります。ここだったら間違いなく扱っているでしょうから、予約も受け付けてくれるのでは、と、その場で「ステサン」の広告で番号を調べて電話をかけてみます。そうすると、電話口では「昨日入荷したところです」という返事でした。やはり、発売日の前にお店には届くのですね。これで一安心、すぐ買いに行こうと思ったら、「実は、2日前にメーカーから『完売した』との通知があって、今回入荷した8セットは、全て予約のお客さんのものになっています」ですって。なんでも1ヶ月前から予約を受け付けていたというのですね。なんということでしょう。普通のルートに乗っている商品だったらまずカバー出来るのですが、こちらにまでは手は回りませんでしたよ。私の「夢」ははかなく消えました。
と思ったら、「社長が買った分がまだ未開封なので、それでよろしかったらお譲りしますが」と言ってきましたよ。もちろん、それでOKです。一足早い私自身への
クリスマス・プレゼント、明日になれば手に入るはずです。