おやぢの部屋2
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2~4日目
3月12日(土曜日)
 朝は、外が明るくなると目が覚めてしまいます。トイレなどは、貯水槽にまだ水が残っていたようで、一応流れていますから助かりました。自宅へ帰る途中でセブンにたくさん車が止まっていたので、「もしや」と思い行ってみると、「閉店」の張り紙がしてあります。さらに、店の中が見えないように、ガラスの外壁はすべて内側に新聞紙を貼ってありました。仕方がありませんね。外国だと、こんな時には「暴動」や「略奪」が平気で起こるのですから、これも身を守るために必要なことなのでしょう。しかし、そこで大問題が発生。車から降りようとした時に、背中に激痛が走ったのです。これは腰痛をぶり返す前兆、もしここであのひどい腰の状態になってしまったら、家の片づけで力仕事なんかできません。箪笥はまだ倒れたままのもありますし、エレベーターも止まっていますから、そもそも7階まで歩いて登ることも出来なくなってしまうかもしれません。
 しかし、不思議なことに、家でそんな作業をしようとしたら、なんの支障もなく出来るようになっていました。「火事場の馬鹿力」という奴なのでしょうね。娘の部屋の本棚を起こしたり、箪笥の引き出しを全部抜き出して本体を起こしてからまた元に戻す、といったような重労働も、なんの苦もなく出来てしまいます。ただ、問題は水ですね。飲み水は前に一箱買っておいたのがあるので大丈夫なのですが、トイレに流す水がありません。と、上から下を眺めていると、管理人が水を入れたバケツを持っていくのが見えました。貯水タンクから、水を抜いて運んでいるようです。水道の供給は止まっても、タンクの中にはまだ水が残っていたのですね。行ってみると、蛇口にホースが付いていて、簡単に水が抜けるようになっていました。助かりました。これで、トイレの水は解決です。家中にありったけのバケツやら鍋を持って、1階から7階までの階段を何回往復したことでしょう。もう、足はパンパンです。
 この日は、愚妻と娘が買い出しに行ってきました。10時ごろ出かけたのに、帰ってきたのは午後の2時、交代でコンビニやスーパーに並んだのだそうです。どこへ行っても長蛇の列、それでもなんとかカップ麺などを手に入れてきました。なんせ、電気が来てませんから、夕方になるともう暗くなって、片づけなどは出来なくなってしまいます。ですから、早々にまた実家へ向かいます。寒く暗い中で、余震に怯える一夜がまた始まります。

3月13日(日曜日)
 また朝早く自宅へ帰って来て、掃除や片づけが始まります。そろそろ電気が来てもいい頃、娘が携帯で集めた情報だと、駅のあたりは昨夜あたりももう明るいところがあったそうですからね。いつかの地震の時にひっくり返って灰をぶちまけた仏壇は、やっぱり盛大に水が混じった(お茶を上げてありました)灰を撒き散らしていましたから、まずはその掃除です。ベランダの掃除に使っていた箒とチリトリを使って、灰を掃き集めます。でも、もう畳の目の中に入ってしまっていて、到底この上に布団を敷いたりは出来ませんね。やはり今夜も実家行きです。しかし、こんなことを繰り返していたら、ガソリンもなくなってしまいます。自宅のすぐ向かいにはガソリンスタンドがあるのですが、いつの間にかそこに車の列が出来ています。電気が来れば開店出来るのでしょうから、それを待っているのでしょうか。でも、見ていると先頭の車はずっといますが、その後ろはすぐいなくなるので、どうやら確かな情報があるわけではないようですね。
 夕方になって車で出発すると、ずっと消えていた道路の信号が点いています。ということは、このあたりにも電気が通ったようですね。でも、出てくる時はまだ家には来ていませんでしたから、家庭用はまだなのでしょう。でも、走って行く途中で、あかりが点いている家が見えてきました。そして、実家に着くと、煌煌と電気が点いていました。これで一安心、今夜からは会館に泊まることにしていたのですが、あそこはエアコンがありますから、電気さえ来ていれば寒さもしのげます。
 話を聞いてみると、もう午後3時ごろには電気も、そして水道も来るようになっていたのだそうです。このあたりは、いくらか中心部に近い分、早かったのでしょうね。実は、通り道のコンビニで、揚げ物を限定で販売していたので、それが夕食、久しぶりに暖かい部屋で暖かい食事にありつけそうです。勇んで会館の小さな和室に行って、まずエアコンのスイッチを入れます。この部屋だったら、すぐに暑すぎるぐらいになるはずです。ところが、いくら経っても温風は出てきません。そのうち、なんだかエラーが出て止まってしまいました。いや、考えてみたら、このエアコンはガスを使ったヒートポンプだったのですね。ガスが来てないのですから、温まるわけがありませんでした。仕方なく、実家からストーブを借りてきて暖をとります。

3月14日(月曜日)
 おそらく自宅にももう電気や水道は来ているでしょうから、もう自宅で寝ることが出来るはずです。娘は、仕事があるので実家から歩いて出勤、私は愚妻と自宅へ向かいます。途中、きのうのガソリンスタンドの様子を見て行こうと思ったら、やはり、開店していましたね。もう、その前は大騒ぎになっていました。これはチャンスと、私も並ぼうと思ったのですが、どこまで並んでいるのか分かりません。その辺の人が「坂の上まで続いてるよ」とか叫んでいます。確かに、それはずっと「坂の上」まで続いているようでした。こうなったら、最後尾まで行ってみようと車を走らせますが、行けどもいけども車の列は途切れません。信じられないことですが、それは、2キロ以上も続いていたのです。右下がスタンド、左上が最後尾です。
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 ここまで来たのでは、後には引けません。とにかく、待ってみようと思い、列に加わります。しかし、車は止まったまま、全く動く気配はありません。もちろん、エンジンは切っておかなければ、並ぶ意味がありませんから、本当にたまに動くときだけエンジンをかけて、止まったらすぐエンジンを切る、という繰り返しです。こうなると、前後の車でなんだか連帯感のようなものが生まれてくるから不思議です。交差点などで間を空けて止まっていると、そこに割り込む車がいたりしますから、そんな時はみんなで排除します。結局、4時間半待った揚句、満タンに給油してもらえました。なんとも異常な体験でした。その間に愚妻は車から降りて、あちこちに行ってお弁当などを仕入れてきましたね。私も、止まったところに最中やさんがあったので、箱いっぱい最中を詰めてもらいましたよ。これは非常食。
 家へたどり着いたら、電気も水道も来ていました。何よりうれしいのは、掃除機を使えることです。あんなに大変だった灰の始末も、掃除機を使えばいとも簡単に吸い取ってくれます。ほんとに、掃除機というのは偉大な発明だな、と実感です。マジメな話、あの原子力発電なんかより、素晴らしい発明なのでは、と思ってしまいます。そもそも、原子力を安全に使いこなせるほど、人類はえらくはありません。
by jurassic_oyaji | 2011-03-18 22:20 | 禁断 | Comments(0)