おやぢの部屋2
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オペラ2題
 小澤征爾のニュースが、新聞に載っていましたね。今時、普通の日刊紙をにぎわすことのできる音楽家と言ったら、この人しかいないのでしょうね。あ、もちろん「クラシック」の音楽家、ということですが。今年の「サイトウキネン・フェスティバル」で上演されたオペラを全曲指揮して、完全復帰を果たした、というような記事でしたね。
 確かに、「オペラ全曲」を演奏したというのは、体力的にも大変なことでしょうから、それだったらニュースになってもおかしくありません。でも、よく読んでみると、その「オペラ」というのはバルトークの「青ひげ」なんですって。確かにこれはまぎれもない「オペラ」ですが、出演者は2人だけ、演奏時間も1時間ちょっとと、マーラーの交響曲よりも短いものですから、そんなに大騒ぎをするほどのものでもないような気がしますが。つまり、メディアというのはそういうものなのですよね。本当によく知っている人にとっては「?」なことでも、おおげさに伝えて読者に感動を与えるという手法です。おそらく、原発の報道などでも、同じような手法を駆使しているのでしょうね。
 それはともかく、その時の写真を見ると、出演者が2人しかいないにもかかわらず、指揮者と、その2人のソリストの後ろにはなんだかずいぶんたくさんの人が写っていますね。
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 これは、合唱なのでしょうか。この作品の中には、1ヶ所「ため息」みたいな声が聴こえるところがありますから、そこだけのためにこれだけの人が集まった、と。でも、調べてみると、この演出ではバレエが入っていたそうですね。というより、いくら「オペラ」とは言っても1時間っぽっちで終わってしまうのでは、高いチケットを徹夜して手に入れたお客さんに失礼ですので、その前に同じバルトークのバレエ「不思議な宦官」をやったのだそうですね。そのバレエのチームが、オペラにも出てき「モトカノ」の役で踊っていたのでしょう。それならば納得です。もちろん、バレエの指揮者は小澤ではない別の人、どこが「完全復活」なのでしょう。
 小澤は絶対に出演することはないバイロイトのオペラの生中継は、放送されてから1週間たってやっと全部見ることが出来ました。なんと言っても、BDで保存できる、というのがうれしいことです。途中で雷のため回線が中断された時にはどうなる事かと思いましたが、オペラ自体は何の事故もなく無事全曲「完全」中継されていましたね。これが2年目というノイエンフェルス演出の「ローエングリン」が「生」で見られるというのですから、たまりません。
 しかし、正直この演出はあまり感心しませんでした。演出の意図はあまりにもはっきりしていて、それについては「そうですか」とうなずくしかないのですが、そのために用いた手法が、なんとも生理的に受け付けるのが困難なのですね。「ネズミ」はともかく、最後に出てくる「巨大な胎児」は、私にとっては「反則」以外の何物でもありません。というか、それまでは「こうもり」でのインパクトが忘れられないこの演出家の演出なのだからと、なんとか納得させようとしていたのですが、あれですべてがぶち壊しになってしまいました。2年目の演目にもかかわらず、カーテンコールでブーイングが飛び交っていたのも、やはり「許せない」聴衆が多かったからなのでしょう。
 去年はカウフマンが歌っていたタイトルロールが、今年はフォークトになっていましたね。私は、最初にこの人の「大地の歌」を聴いて「冗談だろう」と思った口ですから、ワーグナーなんてとんでもない、と今でも思っているのですが、なぜかみんなべた褒めなんですね。「悪貨が良貨を駆逐する」というのは、こういうことなのでしょう。
 ダッシュは昔から好きでしたから、こんなところにまで進出しているのは本当にうれしいのですが。
by jurassic_oyaji | 2011-08-22 21:36 | 禁断 | Comments(0)