おやぢの部屋2
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愛のメモリー
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松崎しげる
AG/HUCD-10107



今から10年近く前、2003年に、グリコから「青春のメロディーチョコレート」というシングルCDが「おまけ」に付いているチョコレートが発売されました。それに関してのトークはこちらにあります。
そのCDは、1960年代から1970年代にかけてリリースされた「シングル・レコード」を忠実に復刻したもので、大ヒット商品となりました。その中に入っていたのが、この松崎しげるの「愛のメモリー」です。本命は10、二股相手は3(それは、愛の目盛)。
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このシングルのオリジナル(↑)は1977年にリリースされました。今年が、その時から35周年ということで企画されたのが、この「マキシ・シングル」です。「シングル」と言っても、収録トラックは全部で14、収録時間は68分、優に「アルバム」に相当するボリュームです。それで税抜き価格は952円、さっきのオリジナル・シングルが600円でしたから、なんというお買い得。実際は、2つのトラックはカラオケですから、曲としては12曲、そのうちの2曲が、今回新たに録音されたものです。つまり、この中にはこの35年間に録音された、12種類の「愛のメモリー」が入っているのですよ。
すでにお気づきでしょうが、このCDのジャケットはオリジナルのパロディになっています。さりげなくスカイツリーなどを取り込んで、「今」を演出しています。これで、ご本人が昔と同じポーズをとっていれば完璧なんですがね。せっかく衣装まで同じにしたのですから。
もう一つ違っているのが、左上にあるレーベルです。オリジナルにはニッパー・マーク、当時のビクター音楽産業の商標が付いていましたが、現在は「ハッツ・アンリミテッド」という会社からCDを出しているようですね。なにしろ35年ですから、そもそもいつまでも同じレーベルにいられるわけはありません。リストを見てみると、これまでにビクター→EMI→ソニー→ロック・チッパー→ジェネオン、そしてハッツと渡り歩いてきたようですね。それぞれのレーベルでベスト・アルバムなどを作るときに、新たに録音していれば、このぐらいのバージョンは集まってしまうのでしょう。この中にはDVDのサントラから取ったライブ・バージョンもありますし。
ただ、その中に、「愛の微笑」という、タイトルまで違っているのがありました。これは実は、1975年に作られた、いわば「愛のメモリー」の「原曲」なのだそうです。当時のヨーロッパの音楽祭に「出品」するために作られたもので、実際は晴れて「第2位」となったのですが、国内では全くヒットしなかったものが、山口百恵と三浦友和が共演したCM(グリコ!)に使われたことで一挙にブレイク、新たにタイトルを変えてシングルとしてリリースされて、大ヒット曲となったのでした。
ということで、正確には37年のスパンの中で行われた様々なアレンジを、まとめて聴くことができるという、この手のものが好きな人にとっては何よりのCDが出来上がりました。確かに、時代によってその時々の流行のサウンドが取り入れられているのがよくわかります。1988年には「チョーッパー・ベース」とか。変わったところではチェコ・フィルを起用してのシンフォニック・バージョン、なんてのもありましたね。でも、やはり一番安心して聴けるのは聴きなれた最初のバージョンです。いや、実は意外なことに、録音もこのアナログのものが一番心地いいのですね。「グリコ」のマスタリングはひどいものだったので今まで気が付かなかったのですが、今回最新のマスタリングで聴くと、アナログ録音の可能性がきちんと伝わってきて、下手なデジタル録音のものよりずっといい音なのですよ。
それと、一番新しいアレンジは、何か原点に返ったような、とても素直なもののように感じられます。巡り巡って、最終的に元のものに立ち返ったということ、やはり最初に新しいものを作り出す時のエネルギーは、アレンジにも反映されるのでしょうね。

CD Artwork © Hats Unlimited Co., Ltd.
by jurassic_oyaji | 2012-06-26 23:27 | ポップス | Comments(0)