オリンピックを東京に招致しようという運動が行われているのだそうです。私は全く関心がありませんし、東京ではもうすでに1回やっているのですからなんでもう1回やろうとするのかが分からないので、ずいぶん無駄なことをやっているような気がします。それと、このタイミングでオリンピックではないだろう、という思いもありますね。そんなことにお金を使うのなら、もっと別のことに使った方が絶対いいのではないか、という思いです。そんなことは誰でも分かりそうなものなのですがね。でも、いくらこちらでやりたいと思っても、決めるのは東京都ではありませんから、どうせこの間みたいにダメになるからいいのですがね。
しかし、その招致運動の激しさは、なんだか常軌を逸しているような気がしませんか?この間東京に行った時には、本当に街中に「オリンピックを東京に!」みたいな旗がはためいていましたよ。まさか、東京の人たちが全員そんなバカではないはずですから、やはりご近所に気を使ってしぶしぶ飾っている人もいたのでしょうね。
そして、この間まで、そんな決定に重要な要因となるはずの、主催者のお偉方の視察がありましたね。なんだかずいぶん手の込んだ「おもてなし」を行ったそうで、見ていても涙ぐましいほどの真剣さが伝わってきます。なにしろ、一国の総理大臣までも、幼少の頃の思い出を交えて、記憶のかなたにある「オリンピックの歌」を披露してくれているのですからね。
メロディが全く別物だったのに、しっかりこの
「海を越えて友よ来たれ」という曲を見つけ出して、すぐテレビで流した放送局の勘の良さには感心しましたが、もちろん私はあの活舌の悪いデタラメなメロディの歌からも、すぐにこの歌だと分かりました。同時に、これは確か仙台市在住の作曲家が作った曲だったのではないか、という思いにも駆られました。
そこで、すぐ調べてみると、その人が作ったのはこれではなく、
こちらの方だったことが分かりました。なんせ小さい頃の記憶ですから、ごっちゃになっていたのですね。これは間違いなく「この日のために」という、当時仙台で指導的な立場の作曲家、福井文彦さんが作った曲です。さっきの、総理大臣が歌った曲よりも、なにか垢ぬけてスマートだったな、という気がしたことも思い出しました。
今になってこの曲を聴いてみると、もう福井さんの作風丸出しであるのが分かります。「悔いなく競う」という部分のコード進行などは、そんな一例、そして、もっと特徴的なのが、独特のリズム感です。この曲をカウントしながら歌ってみると、なんだか途中から小節の頭がずれているようには思えませんか?実は、4拍子で始まったこの曲は、途中で2拍子の小節が1つ入って、まるでプッチーニの「ネッスン・ドルマ」みたいになっているのですよ。ただ、そのあとでもう1小節2拍子があるので、最終的には全部4拍子のようになるのですが、その途中の部分はなんだかビートが合わなくて居心地が悪くなっていますね。
福井さんは、合唱曲なども作っていましたが、校歌などもたくさん作っていました。実は、私が卒業した中学校の校歌も福井さんが作曲しています。それが
こちら。MIDIがリンクされていますから、聴いてみてください(ブラウザによってはMIDIファイルがダウンロードされてしまうかもしれません)。これも、やはりカウントしながら聴いていると、途中で合わなくなってしまうはずです。こちらは、なんと4拍子の曲の中に、1小節だけ3拍子が入っているのですよ。まさに福井さんならでは、です。なんでこんなことを覚えているかというと、私は、全校生徒の前でこの校歌の指揮をさせられたことがあって、その時に音楽の先生から、この3拍子の部分の振り方を特訓されたからなのですよ。