おやぢの部屋2
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EMIがWARNERに
 「EMI」という由緒あるレーベルが、「ユニバーサル」に買収されたのは、2011年の11月でした。それでも、CDなどの製品はそのまま「EMI」というロゴマークを入れて発売されていましたし、販売も「EMI Records」と、それまでと変わらない会社が行っていました。まあ、資本は変わっても、それぞれのレーベルは今まで通りの活動をしているのだな、という感じでしたね。ただ、EMIの日本法人は、2013年の4月1日付で完全にユニバーサルに吸収され、CDの販売元からも「EMI」の名前は消えていました。それでも、レーベルの名前としての「EMI」はきちんと残っていましたし、あの真っ赤のマークもジャケットからなくなることはありませんでした。
 ところが、きのうあたりのクラシック関係のブログや通販サイトで、「ラトルの新盤がワーナーから出る」と大騒ぎしているのですね。なぜユニバーサルではなく、ワーナーなのか、本当に戸惑っているような感じでした。確かに、そのラトルがラフマニノフを演奏した新しいCDは、だいぶ前から販売予告があって、それはもちろん「EMI」のレーベルでユニバーサルから発売されることになっていました。国内盤だけハイブリッドSACDなどという情報もありましたね。そこで使われていたジャケットの画像が、これです。
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 しかし、それが、いざ発売になった時には、このように「ワーナー」のマークが入ったものになっていたのですね。
EMIがWARNERに_c0039487_21335293.jpg

 それに伴って、今まで「EMI」として出るという案内を出したページでは「販売中止」という案内に変わっていました。メーカーにしても、この辺の対応に混乱気味なのがうかがえる対応です。
 ところが、ワーナーがEMIを買収した、というニュースは、すでに今年の2月には伝えられていたのですよ。正確には、「EMI傘下のParlophoneレーベルを、ワーナーが買収」という内容でした。パーロフォンというのは、かつてはあの「ザ・ビートルズ」が所属していたレーベルですよね。それが、今ではカイリー・ミノーグやペットショップ・ボーイズなどを擁するだけでなく、EMIのクラシック部門であるEMI Classicsや、Virginといった、まさにクラシックのレーベルのほとんどすべても管理下に収めていたのですね。ですから、このニュースはクラシック関係者にとっては「EMIのクラシック部門が全てワーナーに買収された」というとてもショッキングなものだったのですが、その当時そんな話を流していたジャーナリストは、私が知る限り誰もいませんでした。それが、実際にこんな風にラトルというビッグネームの新譜という形で明らかになって初めて、大騒ぎしているのですね。「2月」という情報も、その際にあちこち探して見つけ出したものなのでしょう。
 しかし、今回は、なんせマークまでしっかり変えてしまったのですから、ものすごい「大鉈」を振るったものです。過去にワーナーは、エラートやテルデックを買収した時にも、しばらくはそのレーベルそのものは残していたものですが、もはやそんな感傷に浸っていることなど出来ないほどに、「ビジネス」は非情な状態に置かれているのでしょうか。一夜にして「EMI」という長い歴史を持つレーベルが消えてしまったのは、なんともさびしく、やりきれないことです。もっとも、EMIの日本法人などでは、クラシック部門の制作はだいぶ前から下請けに出されていたということですから、もはや「EMI」そのものが実体のないものと化していたことが、このような形で顕在化した、と言えなくもないのかもしれません。
by jurassic_oyaji | 2013-08-04 21:34 | 禁断 | Comments(0)