おやぢの部屋2
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BACH/Brandenburgische Konzerte
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Helmut Rilling/
Oregon Bach Festival Chamber Orchestra
HÄNSSLER/LP 98.025(LP)




HÄNSSLERから、さりげなくこんなLPが出ていました。ブランデンブルク協奏曲の全曲ですから2枚組、それでも、普通のCDとほとんど変わらないぐらいの価格設定ですから、ダメモトで買ってみます。味噌ではありません(それは「マルコメ」)。この間のように、大枚はたいてクズをつかまされるというのがLPの世界ですが、もし何かあったとしてもこの価格だったら楽々許せますからね。
パッケージは、普通2枚組であればボックスとまでは行かなくてもダブルジャケットぐらいにはなっているものですが、これはなんと、普通のシングルジャケットに紙の中袋に入ったLPが2枚入っているという、とんでもないものでした。
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長いことLPと付き合ってきましたが、こんなパッケージには初めて出会いました。いや、それでも、ジャケットすらなかった(折った紙に挟んだだけ)さっきのリンクのユニバーサルのLPに比べれば、まだマシなのかもしれませんが。
想像していた通り、中身は新録音ではなく、1994年に録音されたもので、CDでは、例えばこのレーベルのバッハ全集の中にも入っていたりと、幾度となくリリースされてきたものでした。ただ、LPで発売されるのは今回が初めてのようです。録音データはしっかりライナーにクレジットされているのですが、不思議なことにソリストの名前が誰一人として明記されていません。調べてみたら、最初にCDで出た時点でも、指揮者とオーケストラ以外のソリストの名前は全く記載されていなかったようですね。「4番」のブロックフレーテなどはたまに載っていないこともありますが、「5番」での3人のソリストの名前が見当たらないというのは、普通は考えられないことです。この「オレゴン・バッハ音楽祭室内管弦楽団」というのは、教育的な意味も持っているアンサンブルなのでしょうから、いちいち名もない若いソリストの名前などは記録されることはなかった、ということなのでしょうか。
まず、手元には「1番」の最初の楽章だけが入っていたコンピレーションCDがあったので、それとLPとの音の比較をしてみましょうか。番号順にカットされていますから、これは1枚目の最外周ですので、CDとは比較にならないほどの瑞々しい音を楽しむことが出来ます。弦楽器の高音は滑らかですし、特に管楽器のソリストたちの音がしっかり「立って」聴こえてくるのは、たまりません。CDだと、全てが平面的でメリハリがなくなっている、というのは、こういう比較の時には必ず感じられることです。
さらに、このLPはそんなに重量もないごく普通のグレードのものなのですが、盤質はその何倍もの値段のさっきのLPよりも良好なのですから、本当に聴いてみるまでは分からないものです。実際、聴いていてスクラッチ・ノイズで音楽が妨げられて不快感を抱いたということは全くありませんでしたから、これはとんだ「掘り出し物」でした。
ただ、リリンクの音楽の魅力は、やはり声楽が加わった時に最大限に発揮されるもののようで、このような純粋なインストものではかなり物足りない仕上がりになっています。この「ブランデンブルク」が録音されたのと同じ年に録音された「マタイ」では、すでにピリオド寄りの表現を積極的に取り入れていたリリンクだというのに、ここではいまだ過去のスタイルに固執しているようにしか思えません。「5番」でフルート・ソロを担当しているフルーティストも、ビブラートたっぷりのロマンティックな奏法で頑張っています。それにしても、リリンクのまわりにこういうタイプのフルーティストはいなかったような。この時期、リリンクとよく共演していたジャン=クロード・ジェラールとは全然タイプが違いますし、「学生」にしては存在感があり過ぎ。いったい誰だったのでしょう。
(8/14追記)
CDのクレジットでは、このフルーティストはキャロル・ウィンセンスとの表記があるという情報を、Facebookへのコメントで頂きました。

LP Artwork © hänssler CLASSIC im SCM-Verlag GmbH & Co. KG
by jurassic_oyaji | 2013-08-13 20:37 | オーケストラ | Comments(0)