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BEETHOVEN/9 Symphonien
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Herbert von Karajan/
Berliner Philharmoniker
DG/479 3442(CD, BA)




カラヤンが196112月から196211月まで、ほぼ丸1年をかけて録音した、DGでの最初のベートーヴェン交響曲ツィクルスが、まとめてセットになってリイシューされました。別にそれ自体は珍しいことでもなんでもないのですが、その際に5枚のCDの他に、全9曲が1枚に収められたBAも一緒だったので、迷わずに購入です。もちろん、BA24/96のハイレゾPCM音源です。
このツィクルスのハイレゾとしては、以前シングルレイヤーSACDで3番と4番のカップリングの国内盤を聴いていました。その時の、「同じスペックで全曲聴いてみたい」という願いが、これでかなったことになります。あの時には「4番」の前半と後半で全然音が違っていたのは、録音時期の違いによることがハイレゾでよく分かったのでしたが、今回全曲を聴いてみると、全体にわたって音の傾向がはっきり2種類に分かれていることが分かりました。「1年かけて録音した」とは言っても、実際のセッションは196112月から1962年3月までの間と、1962年の10月から11月にかけての2つの時期に集中しています。つまり、この間に半年以上のブランクがあるのですよ。そして、双方の時期に録音されたものが、見事に別の音になっているのですね。前半はちょっとおとなし目、ヴァイオリンなどはとてもすっきりした音ですが、後半ではヴァイオリンの高音が強調され、それぞれの楽器の音像もくっきり浮かび上がるという、かなり派手な音に変わります。この半年間に、ギュンター・ヘルマンスが「腕を上げた」ということなのでしょう。
ところが、そんな中で「5番」だけが、データでは前半に録音されたことになっているのですが、聴いてみると明らかに後半特有の「派手」な音に仕上がっているのですよ。確かに、このセットに載っている「録音記録」の現物にははっきり3月9日と3月11日の日付が入っていますから、セッションが行われたのは間違いないのですが、もしかしたら、後半の時期に録り直しをしていたのかもしれませんね。なんたって、この曲は全集の目玉ですから、カラヤンとしては物足りなくなって「新しい」音で録音したくなったことは十分あり得ます。
こんな比較は、やはりBACD900STで聴いたために、容易に出来たのでしょう。ついでにシングルレイヤーSACDとも聴き比べてみましたが、今回のBAよりはワンランク落ちる、芯のぼやけた音でした。これは、メディアの違いもあるのでしょうが、そもそものマスターが別物だということもあり得ます。つまり、こちらに書いたように、ほぼ同じ時期に出た全く同じ音源による国内盤SACDと輸入盤BAが、SACDは最初の2小節が欠落しているという不良品だったにもかかわらず、BAでは何の異常もなかったのですから、明らかにそれぞれのマスターが別物だったことがはっきりしますたー
この全集はかつてLPで出ていた時に入手していました。その時と同じデザインのケースを見たら、なんだか涙が出そうになりましたよ。この独特のフォントが、当時は「宝物」だったレコードの記憶をよみがえらせてくれます。ただ、悲しいかな、当時の安物の再生装置では、「第9」の合唱などは音が歪んでまともに聴くことはできませんでした。しかし、このBAは違います。最も後期に録音されたものですから、音の輝きはものすごいものがあります。そんな中で合唱はかなり注意深く録音されていたことが分かります。ちょっと音圧的には不満が残りますが、音楽として必要な音はしっかり収録されていますし、この「楽友協会合唱団」が、特に男声はかなりのレベルの高さだったことも分かります。
以前のシュトラウスのBAや今回のように、ボックスセットを出す時には一緒に24/96BAもついてくる、というのが一般化するとうれしいのですがね。このスペックだと、10枚分ぐらいは収まるはずですから、40枚のCDボックスにはBA4枚・・・夢ですね。
by jurassic_oyaji | 2014-07-29 23:33 | オーケストラ | Comments(0)