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MENDELSSOHN/Symphony No 5 'Reformation'
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John Eliot Gardiner/
London Symphony Orchestra
LSO LIVE/LSO0775(hybrid SACD, BD-A)




ガーディナーとロンドン響によるメンデルスゾーンの第2弾、「交響曲第5番(宗教改革)」と、2曲の序曲のカップリングです。第1弾では「交響曲第3番(スコットランド)」とシューマンの「ピアノ協奏曲」とのカップリングでしたね。その時と同じように、ここではSACDの他にブルーレイ・ディスクが同梱されています。ただ、以前のブルーレイ・ディスクは音声だけのBD-Aと、画像も入ったBDが一緒になったものだったのが、今回のものからは画像がなくなっていました。さすがに、あまりに大盤振る舞いだと思ったのか、何か画像に問題があったのかは分かりませんが、これはちょっと残念です。その代わりと言ってはなんですが、デジタル・データがダウンロードできるようなリンクが設けられています。ただ、BD-Aに収録されているのは24/192のPCMなのに、ダウンロードできるのが24/98というのがちょっと不思議、さらに、DSDは分かりますが、16/44.1のWAVと、320kbpsのMP3なんて何の意味もないファイルがダウンロードできるというのも不思議。というか、ここまでハイレゾにこだわっていたレーベルが、こんなことをするなんて。こんなものより、画像の方がよっぽど価値があったのに。
なぜ画像にこだわるかというと、レコーディングの時のメンバー表によると、「オフィクレイド」と「セルパン」の奏者が参加しているからなのです。下着じゃないですよ(それは「ガラパン」)。それぞれ、現代のオーケストラからは姿を消してしまった低音の管楽器ですが、メンデルスゾーンのスコアにはちゃんとこの楽器が指定されていて、ガーディナーはそれに忠実に従っているのですよ。実際耳で聴いただけではそれぞれの楽器の音はまず聴こえてはこないので、ぜひ映像でその奇怪な姿を見てみたかったものです。もう一点、「スコットランド」では「当時の習慣に従って」チェロ以外の弦楽器奏者が立って演奏している様子が分かったのですが、今回もそのようなことをやっているかどうかは、全然わかりません。
もっと残念だったのは、この「宗教改革」では現行の「第2稿」以外にも、改訂される前の「第1稿」も出版されているのに、そういうことにかけては積極的であったはずのがーディナーはそれを使ってはいなかった、ということです。以前「交響曲第4番(イタリア)」を録音した時には、その「改訂稿」を世界で最初に取り上げたというのに。
このアルバムで交響曲とカップリングされている「序曲」は、交響曲と同じコンサートで演奏された「静かな海と楽しい航海」と、別の日に演奏されていた「ルイ・ブラス」です。トラックの順番としては、最初にこの「ルイ・ブラス」、そして、「静かな海」、「宗教改革」という形でオーサリングされています。それを頭から聴いて行ったのですが、最初に出てきた「ルイ・ブラス」の金管のアンサンブルのとてもなめらかな音色と、上品なフレージングには、今まで聴いてきたロンドン響の録音とはちょっと格の違うものを感じてしまいました。それに続く弦楽器の音も、とても豊かな質感と、繊細なテクスチャーが伴った素晴らしいものでした。
ところが、次の「静かな海」から先、つまり、別の日の録音では、このような卓越した感じの全くない、ごく普通の音に変わってしまっていましたね。本当に、ライブ録音のセッティングというのは微妙だという実例です。
ガーディナーの演奏は、前回と同じ、とても伸び伸びとオケを歌わせるものでした。少なめの編成の弦楽器は、実に細やかな表情を聴かせてくれています。ただ、やはり「第1稿」を聴いてしまった後では、最後の楽章の冒頭に「Ein feste Burg」のコラールがフルート1本で演奏される部分がとても唐突に感じられてしまいます。やはり、その前に長々とフルート・ソロの「前振り」があってこそのこのコラールなのではないか、と、強く思ってしまいました。

SACD & BD-A Artwork © London Symphony Orchestra
by jurassic_oyaji | 2015-05-29 21:12 | オーケストラ | Comments(0)