おやぢの部屋2
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世良公則は地毛?
 「下町ロケット」はだいぶ好評のようですね。あ、ドラマの話ですが。でも、原作はずいぶん前に書かれたもので、そのあと1回WOWOWでドラマ化されていたのですが、いずれも全く興味がなかったので読んだり見たりはしていませんでした。でも、今回のドラマはあちこちで話題になっていますし、キャスティングも興味があったので、ちょっと見てみたいという気になっていた時、「『2』が始まります」という情報が伝わってくると同時に、朝日新聞にその書き下ろしの原作が連載され始めましたよ。なんでも、単行本で出版される前に連載が始まるということ、そんなことをしたら肝心の本が売れなくなってしまうのではないか、と心配してしまいます。
 その連載が始まった時には読むのも面倒くさかったので読んでなかったのですが、そんだけ盛り上がってくると読んでみたくなります。幸い、連載の1回目分からの新聞はリサイクルしてなかったので、全部切り抜いて読み始めました。土日だけに載るので、16回分ありましたね。それっぽっちですから、すぐに読めてしまいます。でも、読んでいるうちになんだか変な感じになってきました。ところどころでそれまでとは何の脈絡もない文章が出てくるのですよね。「〇〇社とのこともあるし」などと書いてあるのに、その「〇〇社」というのはそれまでに全く登場していないのですよ。それ以外にも、なにか「小説」としては描写が薄いというか手抜きのようなところがかなり多い気がします。まあそれは、それぞれの作家の資質ですから何とも言えませんがね。逆に晩年の井上ひさしのように、まわりの描写だけが細かすぎて、肝心の物語がちょっと拍子抜け、みたいな人もいますからね。そうは言っても、これはあまりにも薄すぎます。
 そのうち、ドラマが始まりました。それは、新聞の連載とは全く違っていたのです。小説のオープニングのシーンがいつまで待っても出てきません。そこに、まずさっきの「〇〇社」のエピソードが入っていたではありませんか。やはり、新聞ではかなりの部分が割愛されていたのですよ。
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 それを確かめるために、発売になった単行本を本屋で調べてみることにしました。ところが、本屋さんに行っても「下町ロケット2」というポップ(「インフォ」とはちがいます)は立っているものの、肝心の本は1冊もありません。いや、正確には平積みは1冊もなくて、かろうじて棚の中に1冊だけありました。それを、あくまで商品としての価値を損なうことなく部分的に文字を追ってみると(「立ち読み」とはちがいます)、やはり、中身は新聞のとは全然違ってました。必要なエピソードは全部そろっているし、それが伏線となって話が先に進んでいくのもよく分かります。これだったら、まっとうな「小説」ですよ。新聞のものは、それの「ダイジェスト」、いや、それ以下の代物ですね。「digest」には「消化する」という意味もあります。原作の内容を十分に「消化」したうえで、本筋を変えずに文章を短くするというのが正しい「ダイジェスト」、だれがやったのかはわかりませんが、こんな短縮版をでっち上げたライターには、こんな仕事をする資格はありません。まさか、ご本人がやったんじゃないでしょうね。
 次の日、別の本屋さんに行ったら、ちゃんと大量の「下町ロケット2」が平積みになっていました。奥付を見たら、それは「第2刷」、増刷が間に合わないほどに売れていたんですね。
 ドラマの方は、まあそれなりの出来なのでしょう。主人公の滑舌が悪く、何をしゃべっているのが分からないのも、この人のいつものことですから気にすることはありません。ただ、サブタイトルにもなっている「ガウディ計画」というプロジェクト名の由来が、これは新聞版でもちゃんと書いてあったのにドラマでは何の説明もなくいきなり出てきたのは、ちょっとまずいのではないでしょうか。
 そういえば、今日の朝ドラで、はつの「お琴」は大八車に積んだのでしょうか。
by jurassic_oyaji | 2015-12-04 21:25 | 禁断 | Comments(0)