今年も「おやぢの部屋2」をご覧いただいて、ありがとうございました。年末恒例の「ジュラシック・アウォード」の発表の日がやってきました。例によって、部門ごとの今年のエントリー数の集計と前年との比較です。
- 第1位:合唱(今年51/昨年51)→
- 第2位:オーケストラ(42/49)→
- 第3位:現代音楽(21/6)↑3
- 第4位:フルート(19/19)↓1
- 第5位:オペラ(14/13)→
- 第6位:書籍(9/18)↓2
現代音楽がこんなに増えたのは、なぜなのでしょう。おそらく、「現代音楽」というくくり自体が変わってきているのでしょう。
■合唱部門 今年も多くの合唱曲を聴きましたが、とびぬけて印象に残るというようなものはほとんどありませんでした。そんな中で、久しぶりにブルックナーのモテット集が2種類もリリースされたことが、とてもうれしいことでした。その、3月の
ファーガソン盤と12月の
ショート盤は、ともにスケールの大きいブルックナー像を示していたことで、それぞれに大きな感動を与えれくれました。
■オーケストラ部門 生誕150年ということで多くのアイテムがリリースされたシベリウスですが、なんといってもリントゥの最新の映像による
交響曲全集が、映像ならではの情報量の大きさで圧倒されました。これを「大賞」にしたいと思います。この部門での次点として、クリュイタンスの
ベートーヴェンの交響曲全集のSACDによる復刻盤を挙げさせて下さい。半世紀以上前の録音が見事に生々しい音によってよみがえっています。
■現代音楽部門 昨年の悲願だった
ペンデレツキの自作自演による交響曲全集をやっと聴くことが出来ました。これが部門賞です。唯一「8番」の改訂版が聴けるということと、「1番」でさりげなく行っている改訂が大きなポイントです。もちろん、それは音楽としてのクオリティが高いからではなく、それによって作曲家の心根までもがまざまざと露呈されているからにほかなりません。
■フルート部門 なんと言っても、ウィーン・フィルの首席奏者カール=ハインツ・シュッツが録音した
モーツァルトの「フルート四重奏曲」を部門賞に挙げないわけにはいきません。ここでは、単に彼が卓越したフルーティストであるだけでなく、ピリオド楽器の登場で演奏様式がガタガタになってしまったこの時代の音楽に、モダン楽器としてとるべき一つの回答が得られているというあたりにも、重要な意義を認めることが出来ます。
■オペラ部門 ヤーコブスの
「後宮」は、相変わらずの一本芯が通った制作態度が、今のレコード業界に喝を入れてくれるものでした。次点は待望久しい
「炎の天使」のリイシュー盤です。
■書籍部門 バッハの「ロ短調ミサ」の、全く新しい資料に基づく
原典版が出現したこととともに、それがいとも簡単に入手できるような状況であることに感謝したいものです。ブルックナーの「交響曲第7番」のコールス版などは、いつになったら普通に買えるようになるのでしょう。
「戦火のシンフォニー/レニングラード封鎖345日目の真実」も、今年は何かと縁があったということで次点に。
ということで、某「レコード・アカデミー賞」とは全くかぶっていないというのが、ささやかな誇りです。来年も、たくさんのレコードを紹介していきます。