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楽器博士 佐伯茂樹がガイドする オーケストラ楽器の仕組みとルーツ
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音楽の友編
音楽之友社刊(ONTOMO MOOK)
ISBN978‐4‐276-96278-1


「ONTOMO MOOK」と言えば、かつては全て書き下ろしの原稿を使って作られていたような気がします。カラヤンの全ディスコグラフィーや、すべてのコンサートのデータまで収録されていたという、ものすごいものもありましたね。
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それから、何度か刊行されたオーケストラや指揮者に関する膨大なリストも、ある一定の時期の世界のオーケストラ事情が的確に反映されているものとして、未だに「資料」としての価値を失うことはありません。
ただ、最近は、この出版社が発行している雑誌が、目に見えてページ数が減っているように感じられます。もしかしたら、それはこの出版社自体の体力が次第に弱ってきているせいなのかもしれませんね。
ですから、このムックにしても、かつてのような勢いが失われて、以前雑誌に掲載されていたものを、特定のテーマに沿って集めて一つの本にするというような、まあCDで言えば「コンピレーション」のような手法によって作られるものが非常に多くなっているな、という印象を強く受けるのですね。これであれば、一度発表されたものをそのまま使えますから、経費も手間もかかりませんからね。
ただ、そのようなネガティブな側面だけではなく、雑誌に長期で連載されたものなどをまとめたものでは、通常はその雑誌に目を通すことが無いような人に対してはとても親切なものが出来上がるかもしれません。
今回のムックが、まさにそのようなものです。ここでは佐伯茂樹さんが「音楽の友」という雑誌に2年半にわたって連載していたコラムを、まとめて読むことが出来ます。
正直、この「音楽の友」も、同じ出版社から刊行されている「レコード芸術」(これが、先ほどのページ数がみるみる少なくなっている雑誌)も、毎月購入するような習慣はとうの昔になくなっていました。こういう本はあまりに内容が薄いので、とてもお金を出して読むだけの価値が見出せないのですね。
とは言っても、ごくたまに本屋さんで流し読みをしていると、中にはちょっと目を引くような読み物に出会えることもあります。佐伯さんの連載が、そんなものでした。彼の著作はそのとことんマニアックな楽器の話で非常に魅力のあるものですから愛読していますが、それは主に管楽器に対する知識が膨大だという点での魅力でした。ですから、そのような興味とはちょっと離れたところにある「音楽の友」での連載というのがちょっとミスマッチだったのですが、たまたま見かけた号で「キーボード・グロッケンシュピール」のことを語られていたのですよ。この楽器に関しては、かつてかなりのところまで調べたことがあったのですが、資料がなくて一部は分からないところが残ってしまっていました。佐伯さんのその記事は、そんな疑問点に見事に答えてくれていたのです。それは、彼に対するイメージが、単なる「管楽器オタク」から、「すべての楽器のオタク」に変わった瞬間でした。
それっきり、雑誌連載を読む機会はありませんでしたが、それが全て1冊にまとまってムックになったというのですから、これは買うしかないじゃないですか。そこには「楽器博士 佐伯茂樹」という、まさに彼にぴったりの肩書まで付いていましたからね。
しかし、確かに、「マリンバ」と「シロフォン」との違いについての記述では、あの「キーボード・グロッケンシュピール」と同等のサプライズを与えてもらえましたが、それ以外の大部分はこれまで別のところで読んできたことの焼き直しだったのには、軽い失望感を覚えてしまいました。
それと、連載にはなかった、まさに「書き下ろし」のフルートとバセットホルンの話が巻頭に追加されているのは良いのですが、そこに使われている歴史的フルートの写真のあまりの解像度の低さには、もろに、この本を作るスタッフの熱意のなさを感じてしまいました。

Book Artwork © Ongaku No Tomo Sha Corp.

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by jurassic_oyaji | 2018-03-01 20:57 | 書籍 | Comments(0)