おやぢの部屋2
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FANTASIA
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Deems Taylor(MC, dubbed by Corey Burton)
Leopold Stokowsky/
The Philadelphia Orchestra
WALT DISNEY JAPAN/VWBS1225(BD)


ディズニーが1940年に公開したアニメ、「ファンタジア」は、視覚的にも聴覚的にもその当時の最高の技術を結集して作られています。その頃は、オーディオの世界ではまだ「SPレコード」の時代でしたから、もちろん1チャンネルで周波数レンジもそれほど広くはなく、ノイズも多いというものでした。そんな中で、映画のサウンドトラックに使われる光学録音ははるかに高音質で、しかもマルチチャンネルにも対応していたのですね。経費は掛かりますが(それは「高額録音」)。ですから、映画館に来たお客さんは、そこで「ステレオ」どころではない「サラウンド」の音響を体験することが出来たのでした。
ただ、それを実際に聴くことが出来たのは、そのようなマルチトラックのサウンドトラックをきちんと再生できるごく限られた映画館だけでした。そして、それが1991年にパッケージとなって「お茶の間」でも見られるようになった時でも、そのVHSで出来たのは普通の2チャンネルステレオで聴くことだけでした。
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しかし、公開60周年を記念して2000年にアメリカで発売されたDVDでは、その音声モードはしっかりサラウンドに対応していました。
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さらに、このDVDでは、映画館で公開されたものと同じ長さ(124分)になっていたのです。それまでの映像ソフトの長さは119分、つまり、この映画の監修にあたった作曲家のディームス・テイラー(彼は、当時は選曲面では、作曲されてからまだ十数年しか経っていなかった「現代音楽」である「春の祭典」の採用に関わっています)のナレーションのシーンが大幅にカットされていたのです。それがここでは復元されているのですが、映像は残っていても音声がもはや修復できないほど劣化していたため、彼のナレーションは全て東京ディズニーランドの英語案内なども担当している声優のコーリー・バートンによって吹き替えられています。
ですから、それまでのソフトではテイラーは冒頭に登場するだけで、そのあとの曲目紹介は冒頭のオーケストラのシーンが使いまわされているバックで声が聴こえるだけだったものが、この新しいDVDではきちんと彼が燕尾服姿で、異様にテンションの高い明瞭な声でしゃべっているシーンを見ることが出来ます。「春の祭典」の前説で、打楽器奏者がチューブラー・ベルを倒してしまったためにナレーションが中断する、といった「くすぐり」も、ここで初めて見ることが出来ました。
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ただ、この修復が日本国内で販売されるソフトに反映されることはありませんでした。アメリカ盤は日本国内では普通の機器では再生できなかったので、一般のユーザーがこの「アンカット・バージョン」を見ることが出来るようになるには、2011年に新編集のDVDとBDがリリースされるまで待たなければいけませんでした。
今頃になってサラウンド再生の環境が整ったので、その最新のフォーマットに対応しているBDを、遅まきながら購入してみました。映像はDVDの段階でほぼ満足のいくものだったのですが、やはりBDでワンランク上がったような気がします。
肝心のサラウンドですが、確かに周りを取り囲む音場にはなっていますが、基本的には2チャンネルステレオの延長のような左右の拡がりと移動だけで、前後での動きはほとんど感じられませんでした。
余談ですが、最初のオーケストラのウォームアップのシーンでは、当時のフィラデルフィア管弦楽団の首席フルート奏者のウィリアム・キンケイドが指慣らしをしているところが見られますが、本編ではおそらく当時は主流だった細かいビブラートがかなり耳障りですね。
BDのボーナストラックで、今まで知らなかった特殊効果エンジニアのハーマン・シュルタイスの仕事を知ることが出来たのは、最大の収穫でした。アニメなのですべての原画を書いていたのだとばかり思っていたのですが、実写で様々な効果を出していたのですね。どうりで、「春の祭典」のオープニングなどは、CGよりも美しいわけです。

BD Artwork © Disney

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by jurassic_oyaji | 2018-03-17 20:45 | 映画 | Comments(0)