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山下達郎のBrutus Songbook/最高の音楽との出合い方
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ブルータス2018年2月15日号
株式会社 マガジンハウス刊
雑誌コード 27753-2/15


マガジンハウス社に「ブルータス」という隔週誌があります。黄色を緑にするんですよね(それは「ブルー、足す」。今年の2月1日に発行した号では山下達郎の特集を組んでいました。それは、彼がDJを務める東京FMの全国ネット番組「Sunday Songbook」が放送25周年を迎えたことを記念して企画されたもので、その番組の中でOn Airされたすべてのデータが網羅されているものだ、とされていました。
いや、それは単なる勘違いだと後に分かるのですが、最初にその新聞広告を見た時には、すごいものが出たのだな、と思ってしまいました。その時に買っておけばよかったのですが、その後達郎自身がその番組の中でそのことについて語りはじめる頃には、それは書店からは姿を消していました。もちろん、ネット書店であるAmazonでも同じ状況、入手できるのはぼったくりに近い価格が付けられた中古本だけでした。
その達郎の番組では、毎回その雑誌の特集がらみの特集を組んでいて、そこで紹介される雑誌を買ったリスナーたちの反応を聴いていると、これは絶対入手しなければいけないと思うようになってきましたね。何しろ内容がとても濃いようで、それを収めるためにとても小さな字で組まれているのだそうです。多くの人が、「これでは読めない」というほどの小ささ、いったいどんだけの情報が詰まっているのでしょう。
そうしたら、最新の放送で「増刷されたそうですね」と言っていたではありませんか。即刻Amazonで入手したのがこれです。もちろん定価の680円(税込)でしたよ。こういう隔週誌で増刷というのはかなり異例のことのようですが、なんでもこれが「ブル史上3度目」なんだそうですね。
めでたくゲット出来たその雑誌を見てみると、そこには軽い失望感がありました。言われているほど「濃く」はないのですね。それは25年のすべてのデータを再現したものではなく、番組の中で時折行われていた「特集」をいくつか集めただけのものだったのです。考えてみれば当たり前の話で、そもそもそんな膨大なものがこんな雑誌1冊に収まるはずもないのですね。
気を取り直して、その「特集」の再現を読んでみると、非常にコンパクトにまとまってしまっていますが、それらは達郎が番組の中で事あるごとに強調していたタームばかりでした。確かに、こうして1ケ所に集まっていると、その精緻さは尋常でないことに気づきます。これは、ポップ・ミュージックの成り立ちを幅広い視野で語った、恐るべき資料です。
そのタームは、音楽のジャンルについてのものと、それらを支えた個人についてのものに分かれています。圧巻は、主にプロデューサーなどが登場する「個人」の部分、それらは、ほとんどこの番組を通して知った名前ばかりですが、音楽シーンを支えていたのは間違いなく個別の人間なのだということがよく分かります。というか、ポップ・ミュージックではヒットした曲だけにとかく注目が向きがちですが、そこに製作者のサイドからの視点を盛り込むことはとても斬新に感じられます。
というか、その手法は馴染みのあるクラシック音楽では常套手段だったことにも気づかされます。達郎と言えばクラシック音楽には無縁のように思われがちですが、長年この番組に付き合っていると、そちらの方面でも彼はしっかりとした審美眼を持っていることも分かります。なんたって、彼の最大のヒット曲「クリスマス・イブ」は、パッヘルベルの「カノン」が下敷きになっているのですからね。
それに関しては、「Sunday Songbook」のプロトタイプとも言うべき、その前にNHK-FMで3年間放送されていた「サウンドストリート」の中で、この曲が出来たばかりの時に「パイヤールが演奏した『パッヘルベルのカノン』を聴いて、作った」というようなことを言っていたことを思い出しました。クリスマスとは縁もゆかりもなかったこの曲を、クリスマスの定番にしてしまったのは達郎だったのです。

Magazine Artwork © Magazine House Co., Ltd.

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by jurassic_oyaji | 2018-04-05 21:07 | 書籍 | Comments(0)