おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
GADE/Sinfonie Nr.3, Mendelssohn/Reformations Sinfonie
c0039487_20585517.jpg


Julia Sophie Wagner(Sop)
Martin Petzold(Ten)
Gregor Meyer/
Gewandhaus Chor, camerata lipsiensis
QUERSTAND/VKJK 1712


メンデルスゾーンの「宗教改革交響曲」がメインのアルバムです。そのように書いてあるだけで、どこにも「交響曲第5番」という表記がありません。その代わりに「MWV N 15」という作成年代に忠実な表記を採用しているだけではなく、ライナーノーツでは「『5番』という番号は誤解を招く」とまで言い切っているのは商品CDとしては画期的。爽快ですらあります(そうかい)。
さらに、この録音にはもう一つサプライズがあって、2017年が宗教改革の500年記念に当たるということで、それに向けて新たに作られた楽譜が用いられています。それはトルステン・シュテルツィクという人によって編曲されたものでした。彼は1963年に生まれたオルガニストで教会音楽の指揮者なのですが、作曲にも興味があって2012年にこの編曲を完成させ、それが2016年にブライトコプフ&ヘルテルから出版されています。
c0039487_20585545.jpg
この楽譜は、第3楽章と第4楽章だけのヴォーカル・スコアです。彼が行った「編曲」は、元の楽譜(もちろん、現行の「第2稿」)のオーケストレーションは変えることなく、そこにソプラノとテノールのソロと、合唱を加えることでした。その際に、ほんの少し声楽の出番を増やすためにそれぞれの楽章でリピートを設けています。
具体的には、第3楽章ではまずソプラノのソロでファースト・ヴァイオリンによるあの切ないメロディが詩篇46「神はわたしたちの避けどころ」の歌詞で歌われます。それはやがてオーケストラにはないメロディも用いられ、練習記号「A」(33小節目)の前からリピートして頭に戻り、今度はテノールとソプラノのデュエットになります。
そして、この楽章の最後の3小節をカットして、すぐに第4楽章に入りますが、本来はフルートのどソロで始まるところに合唱が加わって、ルターの「神はわが櫓」を歌い始めます。それが24小節続いたところでまた頭に戻り、今度は声楽なしのオリジナルの形で繰り返されます。それはそのまま次のAllegro vivaceへと続き、そこからは合唱とソリストたちがオーケストラのどこかの声部をなぞって、常に賑やかに歌い上げるということになります。
これは、なかなか楽しいアイディアですね。第3楽章のテーマなどは、それこそ歌謡曲(昭和歌謡?)にそのまま使えてしまえそうなキャッチーなメロディですから、それを実際に歌手が歌ったって何の違和感もありません。第4楽章はそもそもコラールが元ネタなのですから、それが合唱で歌われれば、さらにその意味がはっきり伝わってきます。楽譜も簡単に手に入りますし、これからはこの形の演奏があちこちで聴かれるのではないでしょうか。この楽譜はオルガンと声楽のためのリダクションですので、その編成だったらなおさら簡単に演奏できるでしょうね。
このCDでは、ピリオド楽器のオーケストラが演奏しています。弦は8.8.6.4.2という小編成なので、とても細やかなアンサンブルが楽しめます。第1楽章では、ワーグナーの「パルジファル」でも使われる「ドレスデン・アーメン」でのガット弦のピアニシモは絶品です。第2楽章の木管のアンサンブルも完璧、とても颯爽としています。
そして、後半の楽章では、声楽が入るところでは見事に溶け合い、オーケストラだけのところとの対比をきっちり聴かせてくれています。
これだけだと30分もかからずに終わってしまいますから、カップリングでメンデルスゾーンとはとても深い関係のあったデンマークの作曲家、ニルス・ゲーゼの「交響曲第3番」が演奏されています。この曲は以前聴いたことがありましたが、それとはまるで別の曲かと思えるほどのアプローチの違いがありました。何よりテンポがとても速いので、メンデルスゾーンとの関連性がよりくっきりと伝わってきます。第4楽章などは「イタリア」の第1楽章や第4楽章の精神が見え隠れするようです。

CD Artwork © querstand

[PR]
by jurassic_oyaji | 2018-04-17 21:00 | オーケストラ | Comments(0)