おやぢの部屋2
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MacMillan/Trombone Concerto, Knussen/Horn Concerto, Ali-Zadeh/Nasimi-Passion
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Jörgen van Rijen(Tb), Félix Dervaux(Hr)
Evez Abdulla(Bar)
Iván Fischer, Ryan Wigglesworth, Martyn Brabbins/
Netherlands Radio Choir(by Klaas Stok)
Royal Concertgebouw Orchestra Amsterdam
RCO/RCO 17004(hybrid SACD)


ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団による現代音楽のシリーズ「HORIZON」の最新アルバムです。2017年に行われた3つのコンサートから、ジェイムズ・マクミランの「トロンボーン協奏曲」とフランギス・アリ=ザデーの「ナシミ受難曲」のそれぞれの世界初演、そして、1994年に作られていたオリヴァー・ナッセンの「ホルン協奏曲」が収録されています。
マクミランの「トロンボーン協奏曲」は、このレーベルとしては初めて出会ったDXDによる録音でした。正確なデータは記載されてはいませんが、最低でも24biti/352.8MHzという、この間の2Lレーベルでお馴染みのものすごいPCMです。
この協奏曲は、コンセルトヘボウ管弦楽団の首席トロンボーン奏者のヨルゲン・ファン・ライエンからの要請に応えて作られたものです。それは、単なる協奏曲というよりは、ほとんど「オケコン」のような、オーケストラの個々の楽器やセクションがソリスティックに大活躍するという作り方になっています。なにしろ、曲の最後近くに入っているカデンツァでは、もちろんソリストが即興的なフレーズを演奏するのですが、それに呼応してこのオーケストラのトロンボーン・パートの人たちも参加してバトルを繰り広げる、といったスリリングな場面まで用意されていますからね。この時は、ソリストのファン・ライエンは客席に背を向けて、トロンボーン・セクションと一緒にインプロヴィゼーションのやり取りを行っていたんだそうです。
それ以外に印象的なのは、曲が始まってすぐに登場してトロンボーンにとてつもないハイテクで迫るフルートです。おそらくこれを吹いているのはエミリー・バイノンでしょう。
まるで映画音楽のように山あり谷ありのスペクタクルな音楽(サイレンまで入っています)は、どこを取ってもとても魅力的でした。こういうものこそ、しっかりサラウンドで聴きたいものです。金管のコラールで安らかに迎えるエンディングも感動的です。
これらの複雑に入り組んだオーケストラのテクスチャーが、まさにDXDならではの精緻な音で迫ってきます。正直、BD-Aならいざ知らず、SACDでここまでのものが聴けるとは思っていませんでした。
もう一つの世界初演は、アゼルバイジャンの作曲家アリ=ザデーがこの年のイースターのために作った「ナシミ受難曲」です。
このオーケストラには、初代指揮者のメンゲルベルクの時代から、この時期にバッハの受難曲を演奏するという伝統がありました。それは代々の指揮者に受け継がれ、一時アーノンクールが「HIP(=historically informed performance)」で演奏していたこともありました。最近では、バッハの受難曲だけではなく、何年かに一度は現代に作られた受難曲を演奏するようになっていて、2009年にはジェイムズ・マクミランの「ヨハネ受難曲」、2013年には、フランク・マルタンが1949年に作ったオラトリオ「ゴルゴタ」が演奏されていました。そして、2017年に演奏されたのが、この「ナシミ受難曲」です。
「ナシミ」という馴染みのない言葉は、この受難曲で通常の新約聖書からの福音書の代わりにテキストとして使われている、14世紀のアゼルバイジャンの詩人イマードゥッディーン・ナシミに由来しています。もちろん、それはアゼルバイジャン語で書かれたものでした。
彼女の作品は、伝統的な西洋のクラシック音楽と、中東の民族音楽とを融合したものと言われていますが、それはとても高い次元でのクロスオーバーがなされていて、決して安直なオリエンタリズムに陥ることはありません。バリトンのソリストとして起用されている、アゼルバイジャン生まれで世界中のオペラハウスで活躍しているイヴズ・アブドゥーラが、テキストに命を吹き込んでいます。
この曲と、ナッセンの「ホルン協奏曲」は、96kHzPCMによる録音だからなのでしょうか、DXDによるマクミランとは明らかにワンランク下がった音に聴こえます。その違いがここまではっきり分かるとは。

SACD Artwork © Koninklijk Concertgebouworkest

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by jurassic_oyaji | 2018-04-28 21:05 | 現代音楽 | Comments(0)