おやぢの部屋2
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TOUCHED BY THE STRINGS/Chorwerke mit Solovioline
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Ida Bieler(Vn)
Michael Alber/
Orpheus Vokalensemble
CARUS/83.481


今回のアーティスト、オルフェウス・ヴォーカルアンサンブルはこのレーベルにはよく登場していますが、実際に聴くのは今回が初めてです。でも、彼らがこのレーベルにふさわしい最高の合唱団だということには再考の余地はありません。それは最初の音を聴いただけで分かりました。なんたって、合唱として必要なものがごく当たり前のようにそこにはあるのですからね。
この合唱団は、オクセンハウゼンにある国立音楽アカデミーの中のプロフェッショナルな室内合唱団として2005年に設立されました。メンバーは世界中から集まっているのだそうです。それぞれがソリストとしても活躍できるほどの力を持った人たちばかりなのでしょう。
それ以来、この合唱団は多くの著名な合唱指揮者と共演し、さらには多くの作曲家の作品の初演も行ってきました。このアルバムの中の曲も、これが世界初録音となるものが多く含まれています。
そして、このアルバムがユニークなのは、その合唱にアメリカ生まれのヴァイオリニスト、イダ・ビーラーが加わっていることです。ここで演奏されているのは、全てヴァイオリンと合唱が共演する形で作られた作品ばかりだったのです。確かに、サブタイトルは「ソロ・ヴァイオリンが加わった合唱作品集」となっていますね。
実際、合唱とヴァイオリンという組み合わせの作品は、すぐには思い浮かばないほど珍しいものなのではないでしょうか。普通のパートナーであるピアノのようにきちんと伴奏をするのはちょっと無理がありますから、ヴァイオリンが入ったとしてもそれはせいぜい単なるオブリガートのような使い方が無難なところでしょうね。
しかし、ここで演奏されているものでは、もっと踏み込んだところでの合唱とソロ・ヴァイオリンとのコラボレーションが行われていました。全曲聴き終わってみると、それがかなり刺激的な体験だったことが分かります。
演奏順に聴いていくことにしましょう。最初は、有名なノルウェー出身のアメリカの作曲家でピアニストのオラ・イェイロの「O Magnum Mysterium」です。まるで中世やルネッサンスのような美しいハーモニーの静かな曲ですが、ここにヴァイオリンがさりげなくからみます。時には、多重録音でまるで弦楽合奏のような味わいも出しています。誰が聴いても間違いなく癒されることでしょう。
それとは対照的に、初録音のドイツの作曲家、ヴォルフラム・ブーヘンベルクの「Splendor paterne glorie」では、合唱とヴァイオリンがまさに対決の様相を呈しています。無調のテイストもあって、かなり激しい音楽です。
この中では唯一の物故者、ノルウェーの有名な合唱音楽の作曲者クヌート・ニューステッドの「Ave Maria」は、ヴァイオリニストのピーラーが2004年に初めて合唱と共演した作品。これで、彼女はこの形態の魅力を知ったのでした。ここでは、合唱もヴァイオリンもそれぞれ独自に音楽を展開していながらも、一つのクライマックスを形作っています。
それ以降はすべて初録音、まずリトアニアのヴィタウタス・ミシュキニスのソロモンの雅歌による「In lectulo meo」は合唱のとてもメロディアスなテーマにヴァイオリンが寄り添うといったシーンとともに、ヴァイオリンのささやきを受けて合唱が同じテイストで歌い出すといった、お互いの相互作用がうれしいですね。
ドイツ生まれのヴァイオリニスト、グレガー・ヒューブナーが詩篇77のテキストで作った「Ich rufe zu Gott」は、前半はとても攻撃的な音楽ですが、後半はコラール風の穏やかなものに変わります。ヴァイオリンの長いカデンツァの後合唱が入ってくるところが、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲に似ているのが面白いですね。
最後のヨン・ホイビュはデンマークの合唱音楽界の重鎮。やはり詩篇の151の英訳をテキストにした「What a great blast」は、まさにジャズ・コーラスのテンション・コードやシンコペーションの中に、バロック風のパッセージがいきなり現れるという楽しい作品です。

CD Artwork © Carus-Verlag

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by jurassic_oyaji | 2018-05-02 21:11 | 合唱 | Comments(0)