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DOTZAUER/Flute and Oboe Quartets
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Markus Brönnimann(Fl), Barbara Tillmann(Ob)
Ulrike Jacoby(Vn), Murial Schweizer(Va), Anta Jehli(Vc)
(Ensemble Pyramide)
TOCCATA/TOCC 0421


「ドッツァウアー」などというツッコミみたいなユニークな名前(それは「ドッチヤネン!」)は、普通に生活を送っている人々ではまず聞くことはないでしょうが、チェロを学ぶ人だったら誰でも知っているのでしょうね。フルートを学ぶ人にとっての「ケーラー」とか「フュルステナウ」みたいなものでしょうか。そう、このフリードリヒ・ドッツァウアーという人は、チェロのための練習曲を作ったことでのみ音楽史に名前を残しているドイツの作曲家なのです。
彼が生まれたのは1783年、あのベートーヴェンが生まれた13年後ですね。小さいころから多くの楽器を学びますが、最終的に彼が選んだのがチェロでした。1801年には、弱冠18歳でマイニンゲンの宮廷管弦楽団のチェリストになり、その4年後にはライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団に入団します。1808年には、このオーケストラによるベートーヴェンの「トリプル・コンチェルト」の初演に、チェリストとして登場していましたね。
1810年には、ドレスデンの宮廷管弦楽団(現在のシュターツカペレ・ドレスデン)に移籍、1852年に引退するまでこのオーケストラの団員を務めました。そのかたわら、ソリストとしてもヨーロッパ中で活躍、引退の8年後の1860年に亡くなります。
そして、彼は作曲家としてもチェロのための曲だけではなく、オペラや交響曲といった「普通の」作品も数多く残しています。そんな中には、今回初めて録音された「フルート四重奏曲(Fl,Vn,Va,Vc)」や「オーボエ四重奏曲(Ob, Vn,Va,Vc))」などもあったのでした。
もちろん、これらは全て出版されていたものなのですが、現在ではもはや絶版になっているようですね。ムラマツの楽譜検索サイトでもドッツァウアーのフルートのための作品は全くありません。
1815年に作られた「オーボエ四重奏曲ヘ長調Op.37」は、ドレスデンのオーケストラの同僚、カール・クンマー(ワーグナーに「今まで会った中で最高のオーボエ奏者」と言われたそうです)の影響によって作られました。アレグロ、アンダンティーノ、メヌエット、ロンドという、古典派の型通りの4つの楽章から出来ていますが、第1楽章では最初のテーマが出てきてすぐに転調するという、もはやロマン派の作風が現れています。技巧的にも高いものが求められていて、オーボエには難しそうはハイ・ノートが頻繁に使われているのもスリリングです。第2楽章では、短調のテーマがオーボエによって奏でられますが、長調に変わった中間部ではオーボエは休みで弦楽器だけ、そのあとまた長調になって最初のテーマがやはりオーボエで変奏されます。第3楽章は、ベートーヴェンの「七重奏曲」とよく似たテーマが聴こえますし、最後のロンドはウェーバーのようなロマンティックな楽想です。
そして、ドッツァウアーはフルート四重奏曲を3曲作っていました。そのうちの最初の「イ短調Op.38」(1816年)と最後の「ホ長調Op.57」(1822年)がここでは演奏されています。この2曲を比べると、この6年間の隔たりでフルート・パートの技巧が桁外れに難しくなっていることがはっきり分かります。それは、この間の1820年にドッツァウアーが冒頭に書いた「フュルステナウ」と親友になったからです(アントン・ベルンハルト・フュルステナウは当時のドレスデンでフルートのソリストとして大活躍していて、彼の練習曲は最高難度を要求されるものです)。
Op.38はとてものびやかな感じで美しいメロディを歌い上げるようなタイプの曲だったものが、Op.57になると、大胆な跳躍や半音音階の進行など、華々しい技巧が全面に取り入れられるようになっています。楽譜が入手できれば、ぜひとも吹いてみたい曲です。
ここでフルートを演奏しているのは、ルクセンブルク・フィルの首席奏者のマルクス・ブレンニマンという人です。技巧の冴えは目覚ましく何の問題もないのですが、それだけに終わってしまっているもどかしさを感じないわけにはいきません。

CD Artwork © Toccata Classics

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by jurassic_oyaji | 2018-05-04 20:12 | フルート | Comments(0)