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WESTERHOFF/Viola and Flute Concertos
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Barbara Buntrock(Va)
Gaby Pas-Van Riet(Fl)
Andreas Hotz/
Symphonieorchester Osnabrück
CPO/777 844-2


クリスティアン・ヴェスターホフという、おそらく誰も聴いたことのない名前の作曲家のアルバムです。この方は1763年に北ドイツのオスナブリュックという街の音楽家の家に生まれました。今回のCDで演奏しているのが、そのオスナブリュックのオーケストラ、さらに、これを制作したレーベルもオスナブリュック(Classic Produktion Osnabrück)という、「オスナブリュックづくし」のアルバムということになります。大体女性ですが(「オスのブリッコ」はあまりいない?)。
ということで、ヴェスターホフは、最初は父親から音楽の手ほどきを受け、1786年頃にはブルクシュタインフルトの宮廷楽団にトゥッティのヴァイオリン奏者とソロ・コントラバス奏者として加わります。しかし、1790年にはそこを辞め、ソリスト、作曲家として活躍、1790年代後半にはビュッケブルクの宮廷楽団に、コンサートマスター、ヴァイオリン奏者、ヴィオラ奏者として雇われ、1806年にその地で亡くなります。
彼が作ったヴィオラ協奏曲は全部で4曲残されていますが、それらはいずれも出版はされていません。おそらく、それは彼自身がソリストを務めて演奏されたものなのでしょうが、その楽譜にはヴィオラ奏者ならではの「企業秘密」みたいなものが書き込まれてあったので、あえて公表はせずに自分だけにものにしていたのかもしれません。あるいは、その楽譜にはおおざっぱなプランしか書かれてはおらず、本当の超絶技巧のようなものは彼の頭の中にしかなかったのかもしれませんね。このアルバムに収録されている「第1番」と「第3番」のヴィオラ協奏曲では、カデンツァが一切演奏されていないことからも、そのような事情が覗えます。
とは言っても、ここで聴かれる彼のヴィオラ協奏曲には、技巧的なフレーズが充分に盛り込まれていました。「第3番」の最後の楽章などは民謡調のとてもシンプル(「幼稚」と言ってもいいかも)なテーマが堂々とした変奏曲に仕上がっています。
これらは、どちらも弦楽合奏に2本のフルートと2本のホルンが加わったというあっさりとしたオーケストラがバックに用いられています。おそらく弦楽器の人数もそれほど多くはないのでしょう。ここでのソリストは一時ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の首席ヴィオラ奏者を務めたこともあるバルバラ・ブントロック、彼女の音は適度の存在感を持って聴こえてきます。
音楽としては、もろに同時代のモーツァルトの様式を反映したものですが、長調の曲の中にさりげなく短調のフレーズを忍ばせるなど、なかなかのセンスも見られます。
そして、もう1曲、フルートのための協奏曲も入っていました(というか、これがお目当てでした)。こちらはしっかり出版もされて、「作品6」という作品番号も与えられていますから、間違いなく他人が演奏することを想定して作られたものなのでしょう。ただ、これはヴィオラ協奏曲と比べるとずいぶん力が入っているのだなと感じてしまいますね。オーケストラの編成にティンパニとトランペットが入っていて、これが第1楽章と第3楽章でとても華々しく活躍しているんですよね。例えばモーツァルトの協奏曲では、たまにピアノ協奏曲でこの二つの楽器が入っているものはありますが、管楽器やヴァイオリンの協奏曲ではまずこんな派手な楽器は使われてはいませんから。
驚くべきことに、そんなありえない編成なのに、フルート・ソロにはそれに十分に応えられるほどの華やかさとスケールの大きさが備わっているのです。もちろん、そのように感じられるのはここでのソリスト、リエトの卓越したテクニックと輝かしい音色によるところが大きいはずです。
彼女は1983年からSWRシュトゥットガルト放送交響楽団の首席奏者を務めていましたが、どうやら現在では引退しているようですね。でも、彼女のここでの存在感は、共演しているこの田舎オケの現役のフルート奏者とは雲泥の差です。

CD Artwork © Classic Produktion Osnabrück

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by jurassic_oyaji | 2018-05-17 20:22 | フルート | Comments(0)