おやぢの部屋2
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BEETHOVEN/Works for Flute・1
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瀬尾和紀, Patrick Gallois(Fl)
児玉光生(Fg)
瀬崎明日香(Vn)
小峰航一(Va)
NAXOS/8.573569


このレーベルからは2000年にホフマンのフルート協奏曲でデビューしたフルーティストの瀬尾和紀さんですが、その後も何枚かのアルバムをリリース、最近ではモシェレスチェルニーと、フルートの作品に関してはほとんど知られていない作曲家のアルバムも作ってきていますね。
デビュー当時にご本人と所属するアマチュア・オーケストラとの共演があったのですが、その時のまだ20代で初々しかった瀬尾さんも、ブックレットにある最近の写真を見ると、もはや40代、押しも押されもせぬ貫録が漂ってきましたね。
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この写真を見ると、最近は楽器を今までのゴールドから木管に替えたようですね。これはここでも共演しているパトリック・ガロワご愛用の「エイベル」というアメリカの楽器でしょう。
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今回瀬尾さんは、フルートの作品なんかあったの?と普通の人は思ってしまう大作曲家、ベートーヴェンの作品集を録音しました。しかも今回は「1」ですから、次は「2」もあるのでしょうね。
確かに、かつてはあのランパルが1964年にLP3枚分の「ベートーヴェン全集」を作っていますから、探せばCD2枚分ぐらいの曲はあるのでしょう。でも、実際に演奏されて耳にしたことがあるのは、「セレナード」と「フルート・ソナタ」しかないような気がします。しかも、「ソナタ」の方は今では完全に偽作とされていますから、そうなるとベートーヴェンのフルートのためのまともな作品は「セレナード」しかないのでは、と思ってしまいます。
このアルバムでは、その「セレナード」の他に、偽作の可能性がある3曲のクラリネットとファゴットのための二重奏曲を、フルートとファゴットのために編曲したものと、これは真作のフルート2本のための「アレグロとメヌエット」が演奏されています。
まずは、最近何かと縁のある「セレナード」から聴いてみましょう。フルート、ヴァイオリン、ヴィオラという珍しい編成の三重奏です。低音楽器がないので、いかにも軽やかなサロン風の作品に仕上がっています。全部で6つの楽章(最後の楽章は、ゆっくりした曲が序奏になっていて、それがアタッカでアレグロにつながっています)からできていますが、第2楽章の「メヌエット」と第4楽章の「ヴァリエーションを伴うアンダンテ」では、3人の奏者がそれぞれに技巧的なソロを披露する場面がありますから、フルートだけでなくすべてのメンバーが脚光を浴びられるようになっています。
瀬尾さんは、木管を使っているせいでしょうか、なにか音色にきらめきのようなものがあまり感じられませんが、それはアンサンブルとして他の二人をしっかり立てているからなのでしょう。先ほどのゆっくりとした楽章では、繰り返しでとても鮮やかな装飾を入れたり最後の楽章のアタッカの前で趣味のよいアインガンクを挟んだりして(この手があったか)、この曲の軽やかで瀟洒な味を強調していましたね。
それが、ファゴットとの二重奏になると、もっと音楽がアグレッシブなものに変わり、音色もきらめきが戻ってきたような気がしました。全く初めて聴いた曲で、確かにベートーヴェンの真作とは思えない陳腐なところはありますが、この二人の丁々発止のスリリングな演奏で聴くととても魅力が感じられます。
そして、師と仰ぐガロワとの共演による「アレグロとメヌエット」は、スリリングという点ではそれ以上のものでした。ここではおそらくガロワも瀬尾さんも同じ楽器を使っているのでしょうが、左チャンネルから聴こえてくる1番のパートは、そののびやかな音といい、音楽の自由度といい、2番のパートとは全く別物のフルートだったのですよ。そこでは、1番が仕掛けた装飾などに、2番が必死になって付いて行っているようなほほえましいところもあって、もう耳を離せなくなってしまいます。
さあ、この曲ではいったい誰がどちらのパートを吹いていたのでしょう。

CD Artwork © Naxos Rights US, Inc.

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by jurassic_oyaji | 2018-05-31 23:33 | 禁断 | Comments(0)