おやぢの部屋2
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AHO/Wind Quintets 1 & 2
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Berlin Philharmonic Wnd Quintet
BIS/SACD 2176(hybrid SACD)


「ベルリン・フィル木管五重奏団」の最新アルバムです。メンバーは、1988年の創立時から変わらない5人でしたが、やはり年を重ねれば「定年」というか「引退」ということを考えなければいけない人も出てくるので、2010年にはついにファゴットのパートがメンバーチェンジをすることになりました。下の写真の右端の人ですね。
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その後任者としてこのグループに参加したのは、オリジナルメンバーの娘ぐらいの世代のマリオン・ラインハルトという女性でした。「紅一点」というか、「美女と野獣たち」というか。
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彼女は、ベルリン・フィルには1999年に入団しました。そして、2010年にこのポストを得るのですが、その後2012年にはミラノのスカラ座のオーケストラにコントラファゴット奏者として転職してしまいます。ですから、もはや彼女は「ベルリン・フィル」の団員ではないのですが、このグループから脱退することはありませんでした。まあいいじゃないですか。あの「キングズ・シンガーズ」だって、最近ではグループ名の由来の「キングズ・カレッジ」の出身者なんてたぶん誰もいませんからね。
今回の彼らのレパートリーは、このレーベルではおなじみのフィンランドの作曲家、カレヴィ・アホの2曲の木管五重奏曲です。「第1番」は2006年にフィンランドのトゥルク・フィルの木管五重奏団のために作られました。そして、「第2番」はベルリン・フィル木管五重奏団の委嘱で2014年に作られ、翌年彼らによって初演されています。おそらくこれが初録音となるのでしょう。
アホの作品は、コンチェルトのような編成のものを結構聴いています。なんでも彼はオーケストラのすべての楽器のためのコンチェルトを作っているのだそうですし、「テルミン」という、普通のオーケストラではまず使われることのない楽器まで、しっかり起用していますから(器用なんですね)、もうどんな楽器に関しても、その使い方は熟知しているのではないでしょうか。
ですから、この「木五」のような室内楽でも、それぞれの楽器の勘所をしっかり押さえているようです。いや、それは単にその楽器「らしい」ところを見せつけるというのではなく、「らしくない」ところさえも強調して、その楽器の知られざる一面まで表に出す、という、ちょっといやらしいところにまでに至っているのです。
その結果、これらの「木五」は、およそ「木五」らしくないものに仕上がりました。「1番」の場合にはそれが顕著、最初にその冒頭を聴いた時には、金管アンサンブルではないかと思ってしまったほどですからね。実際は、それは単にホルンとファゴットで演奏していただけだったのですが、そこからは「木管」という感じは全く消え失せていました。ただ、それはその楽章の前半だけのこと、後半になるといとも穏やかな、それこそ「木五」らしい穏やかな響きが聴こえてくるのですが。
おそらく、この曲では、そのような「対比」を前面に押し出していたのではないでしょうか。それぞれの楽章では全く異なる音楽が同居しているという潔さです。そして、最後の第4楽章になると、さっきのホルン+ファゴットチームとフルート+オーボエ+クラリネットチームが、それぞれ別の場所で演奏するようになります。つまり、楽章の前と後でこのチーム同士がステージの上とオフステージで移動するように作られているのですね。これをサラウンドで聴くと、そんな位置関係がはっきりしてこの作曲家の「仕掛け」により浸ることが出来るようになります。それにしても、オーボエの超高音は、ほとんど「いじめ」。
「2番」になると、そんな危なげな関係は維持しつつも、それぞれの楽器に対する接し方にほんの少し愛情のようなものが加わってくるようです。持ち替えによって楽器の種類も増え、ピッコロやコールアングレのソロなどもふんだんに盛り込まれて、演奏家は「苦行」から少しは解放され、音楽の喜びを伸び伸びと伝えられるようになってきたのでは。

SACD Artwork © BIS Records AB

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by jurassic_oyaji | 2018-06-09 21:19 | 現代音楽 | Comments(0)