おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
GUBAIDULINA/Sonnengesang
c0039487_23092202.jpg


Christian Schmitt(Org), Ivan Monighetti(Vc)
Philipp Ahmann/
NDR Chor
Elbtonal Percussion
BIS/SACD-2276(hybrid SACD)


2016年にBISからリリースされたSACDですが、制作は2011年と2012年、北ドイツ放送(NDR)によるものです。ですから、録音フォーマットも24bit/48kHzとちょっとしょぼくなっています。そこからDSDにトランスファーされ、いちおうサラウンド・ミックスもされています。実際に聴いた感じは、2011年に録音されたものはやはりちょっと物足りない気がしますが、2012年に録音されたものはいつものBISのSACDと比べても何の遜色もありません。
このアルバムには、1931年にかつてのソ連のタタール自治共和国、現在のロシア連邦タタールスタン共和国に生まれ、現在はドイツを拠点に活躍しているソフィア・グバイドゥーリナの合唱曲が2曲と、オルガン曲が1曲収録されています。
最初に演奏されているのが、合唱とオルガンのための「Jaucht vor Gott(神の前に歓喜せよ)」という、詩篇66からのドイツ語のテキストによる曲です。1989年に、彼女とは縁の深いヴァイオリニスト、ギドン・クレーメルからの委嘱で、ロッケンハウス音楽祭のために作られました。実際には、その年にはロッケンハウスのオルガンが使えなかったので、初演はケルンで1990年に行われています。それはなぜかずっと録音されることはなく、20年以上も経て2012年に初めて録音されたものを今回聴くことが出来るようになりました。
これが、とても素晴らしい録音、最初のア・カペラの合唱が、とても瑞々しい響きですし、合唱団のメンバーによるソロもとっても美しく聴こえてきます。始まりはシンプルな聖歌のようなものだったのが、次第に「崩れて」いっていかにもその当時の音楽を反映した不安定なものに変わるのが聴きどころの一つ。そして、そこに絡むオルガンも、意外性を多分に秘めた登場の仕方には驚かされます。最初のうちはオルガンはまともにオスティナートなどを流していますが、やがて訪れるクライマックスでは合唱と一緒になってのカオスの応酬、これはものすごいインパクトを与えてくれます。陳腐な喩ですが、そこにはペンデレツキの「スターバト・マーテル」とリゲティの「レクイエム」の残渣さえ感じることができます。そして最後は、また「聖歌」が戻って来て、ソプラノ・ソロ(「ケイコ」さんとありますから、日本人?)のロングトーンで静かに終わります。
次に、2011年に録音された、これも聴くのは初めとなる彼女のオルガン・ソロのための作品「Hell und Dunkel(明るさと暗さ)」です。これが、楽器も録音時期も前の曲とは違うということもありますが、ちょっと平板な音にしか聴こえないのが少し残念でした。タイトルのように2つの要素が対比される面白さにはとても惹かれるものがあります。高音が「Hell」で低音が「Dunkel」なのでしょうか。ただ、その「Dunkel」の象徴であるペダル音には、前の曲ほどのサラウンド感がありませんでした。
タイトルとなっている1998年に作られた「Sonnengesang」は、一応合唱曲で、「The Canticle of the Sun」という英語のタイトルか、それを日本語にした「太陽の賛歌」として、割と広く知られている作品です。これは1998年にあのロストロポーヴィチの委嘱で作られたもので、彼の演奏によるCDもありますからね。ただ、これはメインはあくまでチェロのソロで、そこに合唱と打楽器が色を添える、と言った趣の曲ですから、「合唱曲」というにはちょっと無理があるような気もしますが。
ここでのテキストは、アッシジの聖フランチェスコの「太陽の賛歌」です。そのフランス語の歌詞に乗って、延々とチェロの瞑想的なソロが40分間続くのを体験すると、おそらく精神的になにか「浄化」されるようなことが起こるのでじょうか、その結果、心地よい眠りに誘われるというのは、致し方のないことです。最初にチェロに現れるテーマが、なんとなくシュトラウスの「ドン・キホーテ」に似ているのは、単なる偶然でしょう。2011年のライブ録音ということもあるのでしょうか、なんか合唱の肌触りが鈍く感じられます。

SACD Artwork © BIS Records AB

[PR]
by jurassic_oyaji | 2018-06-12 23:13 | 合唱 | Comments(0)