おやぢの部屋2
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FANTASIE | SONATE/Music for flute & Piano
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Miriam Terragni(Fl)
Catherine Sarasin(Pf)
COVIELLO/COV91730


ミリアム・テラーニという、初めて名前を聞いたスイスのフルーティストのアルバムです。ジャケットの写真を見た限りではかなり若い方のようですね。さらに、ブックレットの中の写真を見てみると、これは・・・ほとんど「ギャル」じゃないですか。
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でも、油断をしてはいけません。彼女の公式サイトに行ってみると、こんな写真もありましたよ。
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これだと、しっかり「おばさん」になってますね。いったい、どちらが現物に近い写真なのでしょうか。もちろん、どこを探しても彼女の生まれた年を見つけることはできませんでした。
ここで、彼女とピアニストのキャサリン・サラシン(というのが代理店の読み方。でも、たぶん別な読み方でしょう。これだと「サラ金」みたい)が取り上げている曲目を見て、軽い驚きがありました。それは、とてもこんなケバい「ギャル」には似合わない、恐ろしく渋い曲ばかりだったのです。ここには7人の作曲家の名前がありますが、知っているのはワーグナーとブーランジェだけでした。ワーグナーは有名ですが、ここで演奏されているのは全く知らない曲でしたし。
ということで、このCDでは、もはや音楽史に名前も残っていないようなロマン派周辺の作曲家の珍しい作品が演奏されていたのでした。もちろん、ほとんどのものが世界初録音です。
まずは、1850年生まれのマックス・マイヤー=オルバースレーベンという人が作った「ファンタジー・ソナタ」です。この方はフランツ・リストの弟子だったそうですね。この曲は、今でも楽譜が容易に入手でき、コンサートでも演奏されることもあるのでこれが初録音ではありません。ドイツ語で「Lebhaft(いきいきと)」、「Ständchen(セレナード)」、「Bacchanale(バッカナーレ)」という表記のある3つの楽章で出来ていて、演奏時間は20分以上かかります。
これは、なかなか聴きごたえのある充実した作品で、確かにこの時代には極端に少なくなっているフルートのレパートリーとしては、とても貴重なものになるでしょう。楽章ごとのキャラクターがはっきりしていますし、超絶技巧が要求されるメカニカルな部分と、しっとり歌い上げる抒情的な部分が程よく調和しています。
ところが、です。このフルーティストの演奏からは、おそらくこの作品、いや、この時代のすべての作品に必要なはずの「ロマンティック」な「ファンタジー」が全く感じられないのですよ。確かに、彼女のテクニックは完璧、どんなに難しいパッセージでも軽々とすべての音をきちんと出すことが出来ています。ですから、たとえば第1楽章のような元気な部分では胸のすくような「技」が披露されていて、そういう意味での快感を味わうことは可能です。しかし、そのような場面でも、たとえばフレーズの最後の音があまりに無神経にバッサリ切られたりすると、いったいこの人はこれまでどんな姿勢で音楽に立ち向かっていたのかな、という疑問が湧いてきてしまいます。
ですから、しっかりとした「歌心」が必要な第2楽章は悲惨です。ここに来て長めの音が出てくるときには、あのシャロン・ベザリーのような、音を真ん中でふくらますというとてもみっともない吹き方が彼女の癖であることが分かります。さらに、ピッチが微妙に悪くて、それが旋律線の方向性を失わせることになっているのですね。最後に高音のピアニシモで伸ばす箇所では、常に低めの音になっていますし。
ですから、もうこの1曲を聴いただけで十分な失望感は味わってしまい、それ以降は聴いても無駄だな、とは思ったのですが、せっかくの「世界初録音」ですのでそれら、アウグスト・ヴィルヘルミ、レオン・モロー、ルイ・マソン、ヴィクトル・アルフォンス・ドゥヴェルノワといった作曲家の曲も聴いてみましょうか。なんせ、ムラマツの楽譜検索でも、ドゥヴェルノワ(曲集の中)以外には楽譜すら見つかりませんからね。
この中では、モローの「Dans la forêt enchantée(魔法の森で)」という曲が、様々な情景の描写が盛り込まれた素敵な魅力を持っていました。

CD Artwork © Coviello Classics

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by jurassic_oyaji | 2018-06-14 20:42 | フルート | Comments(0)