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TURNAGE/Concerto for two Vn & Orchestra, BERLIOZ/Symphonie fantastique
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Vadim Repin, Daniel Hope(Vn)
Sascha Goetzel/
Borusan Istanbul Philharmonic Orchestra
ONYX/ONYX 4188


日本にはたくさんのプロ・オーケストラがありますが、その運営は決して順調とは言えません。まともなオーケストラである「16型」の編成で常時コンサートを開けるような団体は、バックに強力なスポンサーが付いているほんの一握りのところだけ。そうでない地方のオーケストラなどは、「14型」を続けることさえままならず、存続のためには「12型」に縮小して経費を削減するしかありません。
最近注目を集めているトルコのオーケストラ、「ボルサン・イスタンブール・フィル」は、頭に「ボルサン」という名前が付いているように、トルコの大財閥「ボルサン」が後ろ盾になっていますから、経営的には何の問題もなく、しっかり「16型」の編成で活動を続けることが出来ています。
これと同じような設立過程を持つオーケストラは、マレーシアあたりにもありましたね。そこも、石油企業が惜しみなく資金を投じて、世界に通用するオーケストラを作ってしまいました。ただ、そこでは、優秀な人材を集めるために、世界中の演奏家に対して門戸を開いた結果、メンバーの大半が「外国人」になってしまっていましたね。
ところが、この「ボルサン」の場合は、メンバー表の名前を見る限りほとんどの人がトルコ系の人のように見えます。これはかなり重要なことなのではないでしょうか。本当はどうなのかは分かりませんが、このスポンサーはやみくもにオーケストラのレベルを上げるのではなく、しっかり国内の人材を育てることに腐心しているようには感じられないでしょうか。まあ、それは単なる想像でしかありませんから、いずれスポンサー不信が明らかになったりするのかもしれませんが。
現在の芸術監督・首席指揮者は、2009年からこのポストにある、ウィーン生まれでかつてはウィーン・フィルのヴァイオリン奏者だったサッシャ・ゲッツェルです。2013年から2017年までは神奈川フィルの首席客演指揮者を務めていましたから、日本のファンに対する知名度は高い人です。
オーケストラとしては彼らの4枚目となるこのアルバムは、2017年10月にウィーンのムジークフェラインザールで行われたコンサートのライブ録音です。このコンサートは、前半に演奏されているターネジの新作の世界初演がイスタンブールで行われたのを受けて敢行された、ヨーロッパ各地でのツアーの一つです。それは、ヴァディム・レーピンとダニエル・ホープという二人の巨匠をソリストに迎える豪華版でした。
「Shadow Walker」と名付けられたこのドッペル・コンチェルトは、ターネジがあのバッハのコンチェルトをモデルにして作ったのだそうです。ただ、それはバッハの時代の様式を模倣するといったような安直なものではなく、あくまで精神的な意味で、ということのようですね。
全体は4つの短めの楽章で出来た作品で、偶数楽章にゆっくりの音楽が配置されています。なかなか真摯に向け合える作品ですが、面白いのがここでのソリスト二人が、全く異なるキャラクターを示している、ということです。おそらく向かって左がレーピン、右がホープなのでしょうが、同じようなフレーズの掛け合いでは、レーピンは繊細で端正に聴こえますが、ホープはかなりパワフルでダイナミックに聴こえます。オーケストラにはトルコの打楽器なども加わっています。
そして、後半はベルリオーズの「幻想交響曲」です。それがなんとも上品で繊細な演奏だったのには、一応「トルコのオーケストラ」ということで聴く前に抱いていた先入観が完全に覆されてしまいました。一つ一つのフレーズがとても丁寧に表情づけされているんですね。第2楽章のワルツなどは、ほとんどウィンナ・ワルツかと思えるようなリズムでしたし。そのウィーンのホールの響きと素晴らしい録音にも助けられて、このオーケストラは極上のサウンドを届けてくれていました。ヴァイオリンが対向配置だったのも、新鮮な体験でした。

CD Artwork © Borusan Sanat

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by jurassic_oyaji | 2018-06-16 20:56 | オーケストラ | Comments(0)