おやぢの部屋2
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BIZET/Carmen
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Marilyn Horne(Carmen), James McCracken(DJ)
Tom Krause(Escamillo), Adriana Maliponte(Micaëla)
Leonard Bernstein/
Manhattan Opera Chorus(by John Mauceri)
The Metropolitan Opera Orchestra & Children's Chorus
DG/483 5191(BD-A)


バーンスタインが1973年にニューヨークのスタジオで行った「カルメン」の全曲録音では、当時開発されたばかりの「4チャンネル・ステレオ」のフォーマットが採用されていました。しかし、ご存知のようにこの「4チャンネル」は規格の林立に阻まれて世界的に普及することなどは不可能でしたから、数年でこの世から消えてしまいました。DGでも、その形でLPなどをリリースした形跡はありません。
それが、2014年になってPENTATONEからオリジナルの「4チャンネル」をマルチチャンネルとして収録したSACD(こちら)がリリースされました。ただ、当時はサラウンドを聴ける環境にはなかったので、このSACDは2チャンネル・ステレオのみでしか聴いていませんでした。
それと同じ音源が、今回は本家のDGからBD-Aとなってリリースされました。こちらももちろん2チャンネルとサラウンドの両方のミックスが選択できるようになっています。
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ジャケットの右下には、このように、UNIVERSALからリリースされたBD-Aでは初めて、「SURROUND SOUND」という文字を見ることが出来ます。ところが、裏返してみると、
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このように、今までの2チャンネルだけの商品と同じように「LPCM2.0」という表記しかないので、一瞬焦ってしまいました。しかし、モニターでは「4.0 Surround」の文字もありますし、音もしっかりサラウンドだったので一安心、肝心なところでボケてくれたものです。というか、ネット上のこのBD-Aのインフォには、サラウンドという言葉はどこにもありませんからね。
いずれにしても、DGとしては録音されてから45年も経って本来の姿で再生できる製品をリリースしたことになるのです。
このDGのBD-Aを、PENTATONEのSACDと比較してみると、なぜかトランスファーされた時のレベルがかなり低いので、最初は戸惑ってしまいます。DGの方が、ダイナミック・レンジに余裕を持たせていたのでしょうか。ですから、ボリュームを合わせて聴いてみると、DGの方がより細かいニュアンスを感じることが出来ます。マリリン・ホーンが歌う「ハバネラ」の最後の部分などは、背筋が凍りつくような表現がもろに伝わってきますよ。
サラウンドのリマスタリングは、双方ともオリジナルに忠実に行っているようで、定位などに変わったところはないようです。ですから、この録音の際に、このフォーマットの可能性を信じてその特性を目いっぱい盛り込んだ定位を設定していたスタッフの意気込みも、やはりストレートに味わうことが出来ます。まずは、前奏曲でフロントの打楽器の残響が対角線上のリアからリアルに聴こえてくることで、スタジオ録音ならではの密集した音場を感じることが出来ます。そして、その直後の子供たちの合唱では、予想通りその合唱を動かしていましたね(右後⇔左前)。
第1幕の後半でカルメンがホセを誘惑して歌う「セギディーリア」の歌詞の中に出てくる「リリアス・パスティアのお店」が、次の幕での舞台となるのですが、そこでまずその「リリアス・パスティア」その人の「だんな、もうそろそろお店を閉めたいんですが・・・」という情けない声が突然左後から聴こえてくるのが、ちょっとしたサプライズ。バーンスタインは当時はまだあまり使われていなかったオペラ・コミーク版の楽譜を使っていますが、そのセリフの部分がそんな感じでとても生々しく録音されています。
あるいは、第2幕の「闘牛士の歌」などでは、オーケストラの金管を合唱と一緒にリアに配置したりして、スペクタクルな効果を発揮させていましたね。
このDG盤には、その合唱の指揮や、バーンスタインのアシスタントとして参加していたジョン・マウチェリの書き下ろしのライナーノーツが掲載されていて、録音当時の現場の様子を知ることが出来ます。それによると、バーンスタインがここで目指したのは、「ミュージカル」としての「カルメン」を作り出すことだったようですね。前奏曲のテンポが異常に遅いのも、そのための伏線だったのでしょう。

BD Artwork © Deutsche Grammophon GmbH

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by jurassic_oyaji | 2018-07-17 22:53 | オペラ | Comments(0)