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MOZART/Serenade No.10 for Winds 'Gran Partita'
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LSO Wind Ensemble
LSO LIVE/LSO5075(hybrid SACD)


モーツァルトの「グラン・パルティータ」は大好きな曲なので、新しい録音が出れば聴きたくなってしまいます。今回はSACDのマルチ・チャンネルで5.1サラウンドのミックスが聴けるので、この曲のサラウンド初体験となりました。
ライブ録音となっていますが、客席ノイズはほとんど聴こえてこないので、リハーサルの時のテイクがほとんどなのでしょうか。それぞれの楽器がとてもクリアに聴こえて、木管楽器は横一列に定位しているのが分かります。後列には真ん中にコントラバス、それを挟んで左右にホルンが2本ずつという配置でしょうか。面白いのは、前列が左からオーボエ、バセットホルン、ファゴット、クラリネットという順に並んでいることです。これはもしかしたら、クラリネットとバセットホルンというよく似た楽器の違いを、はっきり知ってもらいたいという配慮だったのかもしれませんね。
バセットホルンというのは、クラリネットの仲間とされていて、今の楽器では普通のクラリネットとバス・クラリネットの中間的な形をしていますね。
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しかし、この楽器の元の形、つまり「ピリオド楽器」としてのバセットホルンは、こんな奇妙な形でした。
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本体は途中でかなりの角度で折れ曲がっていますし、先の方には四角い箱のようなものがあって、その先にラッパが付いています。なんでも、こういう形になる前はもっと曲がっていて、それこそ「ホルン」のように、ほぼ半円形だったので、こんな名前が付いたのだそうですね。
この楽器は、結局クラリネットのように普通にオーケストラやブラスバンドの中で使われたりすることはなく、そのまま姿を消してしまう運命にあったのですが、モーツァルトがその音色にいたく惚れ込んで自分の曲の中に使ったために、かろうじて現在まで生きながらえることが出来ました。なんたって、最後の作品である「レクイエム」と「ティトゥスの慈悲」で、華々しい活躍の場を与えられていますからね。
この曲の第2楽章のメヌエットにはトリオが2つありますが、第1トリオがクラリネットとこのバセットホルンだけで演奏されるようになっています。これを聴くと、それぞれの楽器の場所が離れているので、その違いをはっきり聴き取ることが出来ますよ。そして、第2トリオになると、今度はクラリネットがお休みですが、バセットホルンはそのまま使われていて、オーボエとファゴットの間で絶妙な橋渡しを演じています。
第6楽章の変奏曲は、後にフルート四重奏曲のために編曲されています。かつてはフルート四重奏曲の方が先に作られていたと言われていましたが、今ではそれは完全に否定されているようですね。しかも、編曲を行ったのはモーツァルト以外の人だとも言われています。やはり、オリジナルのこの木管合奏の形を聴くと、ここには全く無駄なところがなく、それぞれのパートが過不足なくそれぞれの役目を果たしているな、という感じがしますよね。
その第5変奏では、後半の16小節目からオーボエのソロでとても美しいメロディが現れます。それを聴いて、なんだか今まで聴いてきたものとは違うような気がしました。この曲は、新全集でかなりの訂正が行われているのでここもそういうところかな、と思ったのですが、新全集でもこんな譜割りです。
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つまり、楽譜通りに吹くと、こんな風になるはずです。これが聴きなれた形。
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ところが、ここではこのように吹いているのですね。
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これは、要するに最初の「付点八分音符+十六分音符」という骨組みを「複付点八分音符+三十二分音符」という「イネガール」で演奏しているということなんですよ。農家の娘じゃないですよ(それは「稲ガール」)。確かに、調べてみるとホグウッド、アーノンクール、ブリュッヘンといった人たちは、このように演奏させていましたね。ただ、ヘレヴェッヘはやっていないので、必ずしも古楽の人たちがすべて励行しているわけではありません。まあ、趣味の問題ですね。

SACD Artwork © London Symphony Orchestra

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by jurassic_oyaji | 2018-07-31 23:23 | 室内楽 | Comments(0)