おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
MENDELSSOHN/Symphony No.2"Lobgesang"
c0039487_21523146.jpg

Anna Lucia Richter(SopI), Esther Dierkes(SopII)
Robin Tritscheler(Ten)
Andrew Manze/
NDR Chor, WDR Rundfunkchor
NDR Radiophilharmonie
PENTATONE/PTC 5186 639(hybrid SACD)


メンデルスゾーンの「交響曲第2番(賛歌)」は、まるでベートーヴェンの「交響曲第9番」のような形を取っていますね。堂々とした第1楽章、軽快な第2楽章、しっとりとした第3楽章に続いて、最後の楽章には合唱と独唱が入るのですからね。
でも、外見は似ていても、ベートーヴェンとメンデルスゾーンがそれぞれの作品で目指したものはかなり違っていたはずです。ベートーヴェンはあくまで「交響曲」の進化した形を作ろうとしたのでしょうが、メンデルスゾーンの場合は交響曲の最後の楽章の代わりに「カンタータ」をはめ込んだということですからね。そもそも、2009年に発表されたラルフ・ヴェーナーの作品目録(MWV)によれば、この曲はもはや「交響曲」ではなく「大編成宗教的声楽作品」としてカテゴライズされているのですからね。
実際、楽譜では「交響曲」としての最初の3つの「楽章」の部分はひとまとめで「Sinfonia」となっていて、その後に「No.2」から「No.10」まで、それぞれ編成の異なる曲に番号が付けられています。これは、最初に「シンフォニア」があって、その後にレシタティーヴォやアリア、重唱、さらには合唱のための曲が続くという、「カンタータ」の構成とまったく同じものですよね。つまりここで言う「Sinfonia」は、文字通り「序曲」にあたるものなのですよ。
それは、3つの部分から出来ている、かなり長~い「序曲」だったのでした。しかも、最初の部分の最後にはクラリネットのカデンツァがあって、休みなく次の部分につながるようになっていますし、最後の部分との間も、ほとんど休みなしに演奏するようになっていますから、これ全体は完全に一つの曲と受け取ることができます。
そうなると、この曲はますます「交響曲」とは呼びづらくなってしまいますね。このSACDのライナーノーツには、だから、「Eine Sinfonie-Kantate」というタイトルが付けられているのです。
マンゼは、2016年から始めたメンデルスゾーンの「交響曲」の録音を締めくくる形で、2017年の6月にこの曲を録音しました。このツィクルスの流れでは、指揮者とオーケストラとの関係はどんどん良くなっていくように感じられていましたが、ここに来てそれは完璧な親密さを見せるようになったのではないでしょうか。
それは、決して自分のやり方をオーケストラに強いるものではなく、あくまで自発的に求める表現が出てくることを辛抱強く待っている、という姿勢のような気がします。
今回は、そこにさらに合唱が加わりました。それは、このオーケストラの所属するNDR(北ドイツ放送)の合唱団だけではなく、WDR(西ドイル放送)の合唱団も一緒になった、総勢60人を超える大合唱です。その合唱は、もちろんプロフェッショナルなメンバーの集まりで、よく訓練されていますが、マンゼはそこからとても自然で暖かい音楽を引き出しています。オーケストラの中の合唱というと、とかく張り切りすぎて細かい表情がおろそかになりがちなのですが、ここではそういうことは全くありません。ア・カペラのコラールはあくまでソフトに迫り、そしてトゥッティのオーケストラとの演奏ではきっちりとコントロールされたフォルテシモを提供してくれているのです。
ソリストたちも、かなりの節度を持って演奏に向き合っているようです。これもアリアなどはオペラティックに歌いたくなるような面もあるのでしょうが、あえてそれは避けて、真摯に歌うことを心掛けているのでしょう。その結果、最も出番の多いテノールには少し物足りなさを感じてしまいますが、ソプラノ1の可憐さは光ります。さらにほんの少ししか出番のないソプラノ2が、とても深みのある声で魅力的です。
このオーケストラとの録音は、NDRのスタッフが行っているようですね。派手さはないものの、バランスの良い録音です。ただ、合唱が入ったトゥッティでわずかに歪むところがあるのは、ライブならではの疵なのでしょうか。ほとんど気づかないかもしれませんが。

SACD Artwork © PENTATONE Music B.V.

[PR]
by jurassic_oyaji | 2018-09-01 21:55 | オーケストラ | Comments(0)