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KORNGOLD/Violin Concerto, BERNSTEIN/Serenade after Plato's "Symposium"
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Liza Ferschtman(Vn)
Jiří Malát/
Prague Symphony Orchestra
Christian Vásquez/
Het Gelders Orkest
CHALLENGE/CC72755(hybrid SACD)


コルンゴルトとバーンスタインという、ともにクラシック音楽以外のジャンルでも活躍していた2人の作曲家のヴァイオリンとオーケストラのための作品がカップリングされているアルバムです。
ここでは、どちらの作品にも深い愛情を持って接しているオランダのヴァイオリニスト、リザ・フェルシュトマンが演奏していますが、このようなカップリングでコンサートを行ったわけではなく、それぞれ別の機会に開かれた、別の指揮者とオーケストラとのコンサートを録音して、1枚にまとめたものです。もちろん、録音会場も別々です。
コルンゴルトの「ヴァイオリン協奏曲」の方は、2017年の11月にドイツのホールで、イルジー・マラート指揮のプラハ交響楽団との共演です。とてもよく響くホールのようで、ソリストはかなり前に出ている位置に定位していて、細かい表情までしっかり聴き取れますし、オーケストラのそれぞれの楽器もくっきりと聴こえてきます。
コルンゴルトの音楽は、西洋音楽が一つのピークを迎えた後期ロマン派を正当に受け継ぐものでした。それはハリウッドでさらに磨きをかけられ、より豊饒さを増して「クラシック」の世界へ戻ってきました。
しかし、その時にはヨーロッパではもはや「ロマンティック」な音楽は完全に時代遅れになっていたのです。いや、あるいは彼の音楽はそんな「先進的」な音楽を超えた普遍性を持っていたのかもしれません。その頃作られた「ヴァイオリン協奏曲」は、もはや作曲家の独りよがりによる難解な音楽などは見向きもされない今の時代だからこそ、多くの人の共感を得ることになったのでしょう。
このチェコのオーケストラは、創設された時には映画音楽を専門に演奏していたのだそうですが、それはまさにコルンゴルトにはぴったりのサウンドを提供してくれています。まさにジョン・ウィリアムズあたりが取り入れたオーケストレーションの妙味の「本家」の味が、ここからはほとばしってきます。
一方のバーンスタインは、おそらくその時代の最新の音楽技法、ロマンティシズムからは背を向けたちょっとクールなネオクラシカルな手法を武器にしていたのでしょう。コルンゴルトの「ヴァイオリン協奏曲」のほぼ10年後に作られた「セレナード」は、まさにその時代の王道を行く音楽となっていました。タイトルの「セレナード」も、「窓辺で恋人に向かって歌う歌」というロマンティックな意味合いではなく、モーツァルトあたりが量産した「多くの楽章を持つ管弦楽作品」という古典的な意味ととるべきでしょう。
5つの楽章からできているこの作品は、正式タイトルは、上にあるように「プラトンの『饗宴』による」という但し書きが付いています。自作自演じゃないですよ(それは「狂言」)。ですから、それぞれの楽章には「アリストファネス」とか「ソクラテス」といった、ギリシャの聖人たちの名前が付けられていますが、それと音楽とがどのように関連付けられているかはよく分かりません。それよりは、気の利いたリズムと、キャッチーなメロディを用いたクールな曲、というイメージが全体を覆っています。
楽器編成はヴァイオリン独奏にハープと打楽器が加わった弦楽合奏という、管楽器が入っていない渋いものですから、サウンド的にもかなりクール、そんな中で4つ目の楽章の異様な静けさは、とても魅力的です。さらに、最後の楽章も始まりはまるでショスタコーヴィチかと思えるほどの重さを持っています。しかし、後半はジャズ風のスイングなどが登場し、明るい場面に変わります。
このあたりの雰囲気が、この3年後に作られることになる「ウェストサイド・ストーリー」の冒頭のテイストを感じさせてくれます。
こちらはオランダのホールでの同じ年の6月の録音、ソロがあまり目立たないのは、ホールのせいなのでしょうか。どちらも最後の拍手が収録されていますが、その響き方も全く違っています。

SACD Artwork © Challenge Classics

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by jurassic_oyaji | 2018-09-08 20:45 | ヴァイオリン | Comments(0)