おやぢの部屋2
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PARK/Choral Works
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Stephen Layton/
The Trinity College Cambridge
HYPERION/CDA68191


イギリスの作曲家オワイン・パークは、1993年生まれという若さにもかかわらず、多くの有名な合唱団から作品を委嘱されている売れっ子です。彼の作品は殆どが合唱関係のもの、その次に多いのがオルガン・ソロのための曲です。それ以外には室内楽の作品がいくつかと、今のところオーケストラの作品は小さな「ファンファーレ」1曲しかないようですから、基本的に合唱曲がメインの作曲家ということになるのでしょう。
彼自身も、実際にソリスト、あるいは合唱団のメンバーとして歌っていますし、もちろん指揮も行っています。さらに、オルガニストとしても活躍しています。
彼の合唱作品は、これまでも多くのアルバムの中に収録されてきました。最近聴いたものでは、こちらのポール・マクリーシュとガブリエリ・コンソートのアルバムの中での、「Ave maris stella」がありました。さらに、ナイジェル・ショートとテネブレのアルバムでも「Footsteps」という曲が紹介されていたはずです。
そして早くも彼の「ソロ・アルバム」がレコーディングされました。これまでに彼に多くの作品を委嘱してきたスティーヴン・レイトンとケンブリッジ・トリニティ・カレッジ合唱団が、「もうそろそろ作ってもいいだろう」と思ったのでしょうね。
彼の公式サイトによれば、2014年からレコーディング時の2017年までに作られたア・カペラの合唱作品は23曲ありますが、その中の14曲がここで演奏されています。
そんな、ほとんど「アンソロジー」とも言うべきこのアルバムで、彼の作品をまとめて聴いてみると、そこからはなにかこの作曲家が他の人とは完璧に異なる感性をもっているな、という思いがこみ上げてきます。正直、これらの作品には、今の作曲家にありがちな「美しいメロディ」などはほとんどありません。しかし、彼の作品には、そんな上っ面なキャッチーさには頼らなくても、真の「美しさ」を伝える術が備わっているのではないか、と強烈に感じられる瞬間が、確かにあるのですよ。
それは、たとえば独特な和声感。それは「~風」と呼んでしまうにはあまりにも独創的なものです。つまり、ここではほとんど「フランス風」と言っても構わないようなふわふわした和音は登場するのですが、それらはメシアンやプーランクの作品には現れるものとは微妙に異なっているのですね。それはまさに「パーク風」でしかないのです。
もう一つの彼のユニークさは、過去の作曲家の作品、あるいはその時代の音楽の巧みな引用です。長い歴史の中に埋もれずにまだ影響力を持っている素材に、彼が手の内にした独特の技法を施して、得も言われぬ美しさを作り上げる、そんなことがいともたやすくできる人なのでしょう。
最後の「The spirit breathes」という曲だけは、合唱はオルガンと共演しています。このオルガン・パートが、合唱とは別の意味でとても秀逸、そこでは、「美しさ」をあえて封印してまで、オルガンの機能を全開にさせて刺激的に迫る、パークの音楽に対する別のアプローチを体験することが出来ます。彼のポテンシャルは無限なのでは、とさえ思えてきます。最後にオルガンで「Happy birthday to you」のメロディが引用されているのは、この作品がさる教会の225周年とともに、新しいオルガンが「誕生」したことを祝うために委嘱されたことに対する、彼なりのジョークなのでしょうか。
そんな「すごい」人なのですが、このアルバムではその「肉声」を聴くことが出来ます。彼は実はこの合唱団のメンバーで、ベースのパートを歌っているだけではなく、「Trinity Fauxbourdons」という曲の中の「Nunc dimittis」ではソロを歌っているのです。それは、とても包容力のある暖かい歌声でした。
彼の名前は、この合唱団の前作、2017年1月に録音された「ロ短調ミサ」のメンバー表にも見られますから、その頃に参加したのでしょう。自作を録音する時に、よく作曲家が立ち合うことがありますが、彼の場合はメンバーとして立ち会っていた、というのが、やはりユニークですね。

CD Artwork © Hyperion Records Limited

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by jurassic_oyaji | 2018-09-12 00:23 | 合唱 | Comments(0)