おやぢの部屋2
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ストコフスキーがミッキーと握手をしていました
 来週のニューフィルの練習は、前半は「第9」、そして後半は次の定期演奏会のレパートリーの前半2曲の「初見大会」となります。そのうちの「魔法使いの弟子」では、私は「幻想」とともに1番を吹くことになっているので、一生懸命にさらっているところです。昨日も今日も、パフォーマンス広場がオープンと同時にいつもの穴倉に入って、たっぷり練習してきましたよ。この時間だと、あのやかましいブレイク・ダンスのやつらがまだ来ていないので、伸び伸び吹くことが出来ました。お昼近くになると、そろそろやってきたので、こちらは退散です。あいつらは、私が行くときには必ずいましたから、休日は毎日来ているのでしょうかね。別にダンスは構いませんが、あんな暑苦しい大音響は犯罪的です。あれに比べれば、ピッコロの音なんてかわいいもんですよ。
 しかし、このデュカスが書いたフルートのパートも、ある意味犯罪的と言ってもいいほどの大変さです。私は今まで数多くのオーケストラのパートを吹いてきましたが、これほど面倒くさいのは初めてです。これに比べると、マーラーだってもう少しマシだと思えてしまいますからね。
 せっかくそんな曲を練習しているのですから、これに関したトークも今度の「かいほうげん」に載せてみようと思っています。その一部はすでにこちらにアップしてますが、それだけではちょっと内容が薄いので、もう一品考えているところです。それで、スコアを見ながらこの曲を聴いていると、あれほど面倒くさいフルートのパートは、ほとんど聴こえてこないんですよね。悪戦苦闘して吹いているのに、結局お客さんに聴こえないなんて最悪ですよ。
 ですから、フルートにとっておいしいのは、最初の部分でしょうね。もっとも、ここは確かに聴こえはするでしょうが、かなり難易度が高いので、うまく行かなかった時の悲惨さも相当なものがありそうですから、やはりいやですね。
 今調べているのは、この曲が出来る時に作曲家が参考にしたゲーテのバラードです。これはオリジナルのドイツ語のテキストも、それを日本語に訳したものもネットにありますから、簡単にその内容は知ることが出来ます。
 そうすると、前のトークに登場したディズニーのバージョンは、必ずしもこのゲーテのプロットに忠実に作られているわけではないことも分かりました。まず、オリジナルでは「魔法使い」はオープニングではすでにどこかへ出かけてしまっているのですが、ディズニーには最初から登場して、
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こんなあくびをしていますから、たぶん昼寝でもしに行くのでしょう。この時に流れているのが、こんなフルートのソロです。
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 いかにも、眠気を誘うようなメロディには聴こえます。
 しかし、ゲーテのオリジナルにはそんなシーンはありません。このあたりで音楽が付けられる元になった描写と言うと、たぶん「水の精霊」のような気がするのですけど。つまり、ここで「弟子」が魔法をかけるのは、「ほうき」だけではなく、その前に「水の精霊」を呼び出して、水を湧き出させているのですね。それを、「ほうき」が汲みに行く、という段取りなのですよ。
 まあ、音楽による物事の描写なんて、そんなものですよ。いくら作曲家がそのつもりで作っても、それが伝わらないことの方が多いのではないでしょうかね。ディズニーの「あくび」は、とてもこの音楽にはマッチしていますからね。
 もう一つの相違点は、オリジナルでは「ほうき」はまさかりで「2つ」に砕かれるだけなんですね。決してディズニーのように粉々にされて、それぞれがまた全部再生されるという大げさなものではないのですよ。
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 でも、ここはやはりこのぐらいの「ほうき」が出てこないことには、インパクトは半減しますよね。
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by jurassic_oyaji | 2018-11-04 20:15 | 禁断 | Comments(2)
Commented by 犍陀多 at 2018-11-06 10:13 x
あの日以来、「魔法使いの弟子」という作品に、福島第一原発事故と、その後の気の遠くなるような汚染水対策についての未来の終結までの顛末を連想するようになりました。ひょっとすると、マーラーの諸傑作に肩を並べるくらい重いテーマを内包した作品かもと、聴いていてぞっとしてしまう瞬間があります。
フルート・パートも、犯罪的と言ってもいいほどの大変さなのですね。その技術的困難さも、示唆的な作品ならではなのかも、などと、一人勝手に・・・。
Commented by jurassic_oyaji at 2018-11-06 23:07
> 犍陀多さん
なるほど、そういう見方も出来ますね。ゲーテは未来を見据えていたのでしょうか。