おやぢの部屋2
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さすがにHD DVDは再生できません
 前回の「禁断」では「リゲティのレクイエムはほぼすべての音源を持っている」と豪語していましたね。この作品は、初演は1965年3月14日にストックホルムで、ミヒャエル・ギーレン指揮のスウェーデン放送管弦楽団と合唱団によって行われました。あいにく、この音源は今のところ公にはなっていないようですので入手は出来ません。そして、最初にレコードとしてリリースされたのが、同じギーレンの指揮で、フランクフルト放送交響楽団と、バイエルン放送合唱団によって1968年11月に録音されたWERGO盤でした。
 しかし、それ以前の1967年12月15日に、フランシス・トラヴィス指揮のバイエルン放送交響楽団と合唱団によってこの曲が演奏され、それがラジオでドイツ全土に放送されたそうなのです。この音源を、スタンリー・キューブリックが「2001年」のサントラに使用したのですね。このあたりの経緯はこちらと、そのあたりのリンクで詳しく述べられています。
 ただ、この音源はサントラ盤などには収録されていますが、単独でリリースされたことはありません。でも、私はそのCD-Rを持ってます。
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 これはかなりの「お宝」なのではないでしょうかね(「1968年」と書いてあるのは、間違いでしょう)。指揮者のトラヴィスのウェブサイトというのがあって、そこにメールアドレスも明記されていたので、ダメモトでそこにメールを出してみたら(もちろん、英語で)しばらくしたらこのCD-Rと彼の直筆のメッセージが届いてしまったのですよ。そこには、確かに「キューブリックがこの音源を映画の中で使った」と書いてありましたね。
 それ以降のものがリリースされるようになるのは、21世紀に入ってから。2002年録音のジョナサン・ノット指揮のベルリン・フィルによるTELDEC盤、2006年録音のフリーダー・ベルニウスの指揮によるCARUS盤、2008年録音のペーテル・エトヴェシュ指揮のケルン放送交響楽団のBMC盤と続きます。私が持っているのはのこの3種類だけですが、もしかしたら、他にもあるのかもしれません。
 この中のエトヴェシュ盤は、なんと2枚組になっていて、普通のCDの他に、今は亡きDVDオーディオが入っているのですよ。それを入手した時には、そんなフォーマットのソフトを再生できる環境になかったのでそのDVDオーディオは聴けなかったのですが、今回改めてそのパッケージを取りだしてみた時には、そんなソフトでも再生できる最強のプレーヤーを入手していましたので、さっそく再生してみましたよ。
 もちろん、これは私にとっては「DVDオーディオ初体験」となるものでした。ですが、やはり「初めて」の時はいろいろ不都合が起きるもので、これもカウンターは動いているのにモニターには何の画像も出ないし、音も全然出てきませんでした。やはり、さすがのマルチプレーヤーも、こんな落ちぶれたフォーマットには対応できないのかな、とあきらめかけましたが、リモコンのメニューあたりをいじってみたらやっとメニュー画面が現れました。そこには、音声フォーマットもきちんと「5.1サラウンド」が選べるようになっていたので、それを指定して再生を始めると、もうまぎれもないサラウンドで迫ってきましたよ。おそらく、最初からサラウンドでの録音を想定しての配置で演奏していたのでしょうね。合唱などはしっかりサイドから前面までを覆うかたちで半円状に定位しています。それで、あのリゲティのポリフォニーがそれぞれのパートから発せられるのをそのまま聴き取ることが出来るのですから、それはものすごいインパクトです。もうすっかり圧倒されてしまいました。
 これは、もしかしたら生の演奏より生々しい音が聴けるものかもしれませんね。よくぞこんなものを作っておいてくれたものです。
 でも、やっぱり「生」は聴いてみたいものです。
by jurassic_oyaji | 2018-11-18 20:58 | 禁断 | Comments(0)