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BEETHOVEN/Symphoniy No.3 'Eroica'
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Maxim Emelyanychev
Nizhny Novgorod Soloists Chamber Orchestra
APARTE/AP191



1988年生まれ、まだ30歳になったばかりのロシアの指揮者、マキシム・エメリャニチェフのCDです。ジャケットの写真を見ると、なにかエキセントリックな感じがしますね。なんとなく、あのギリシャのカリスマ指揮者、テオドール・クレンツィスとよく似た雰囲気を持ってはいないでしょうか。
確かに、このエメリャニチェフはクレンツィスとは浅からぬ因縁がありました。というか、実際にその演奏を聴いたことだってあったのです。彼は指揮者であるとともにピアニストとしても活躍しているのですが、クレンツィスが録音したモーツァルトの「ダ・ポンテ三部作」ではフォルテピアノで参加していました。その中の「フィガロ」では、そのフォルテピアノについても言及していましたね。
もちろん、指揮者としても、彼はクレンツィスの教えを受けていますし、それ以前にはロジェストヴェンスキーにも師事していたのだそうです。そして、すでに世界中のオーケストラとの共演を果たし、今年の春にはなんと日本で東京交響楽団にも客演したのだそうですよ。
そんなエメリャニチェフが、去年の9月に、ニジニ・ノヴゴロドで録音したのが、この最新アルバムです。ベートーヴェンの「交響曲第3番」と、ブラームスの「ハイドンの主題による変奏曲」が収録されています。オーケストラは、その街のニジニ・ノヴゴロド・フィルのメンバーによって組織された「ニジニ・ノヴゴロド室内管弦楽団」です。
その名前の通り、メンバー表などは付いていないので正確な人数は分かりませんが、ここではかなりの少人数の弦楽器で演奏されていることがはっきり分かります。一瞬、それらはピリオド楽器を使っているのかと思ってしまいますが、どうやら使われているのはモダン楽器のようでした。ピッチもモダンピッチです。ただ、弦楽器は徹底したノン・ビブラートで演奏していますし、奏法やフレージングも限りなくピリオド楽器に近くなっているようです。
管楽器も、ホルンあたりはモダン楽器のような気がします。それで、時折ゲシュトップなどを使って「ピリオドっぽい」テイストを加えているのでしょう。フルートは最後までもしかしたらトラヴェルソかな、とも思ったのですが、やはり終楽章のソロを聴けば、モダンフルートに間違いないでしょう。それにしても、音色はとてもまろやかですから、少なくとも木管の楽器には違いないでしょうね。
そして、エメリャニチェフの指揮ぶりは、とても颯爽たるものでした。1楽章から3楽章まではもうまるで他の指揮者と速さを競っているのでは、と思えるほどのものすごいスピードで駆け抜けます。ただ、それは例えばカラヤンあたりがやっているように、フレーズの切れ目を、まるで映画の編集のように細かく切り詰めて否応なしに速さを感じさせるという手法ではなく、きっちりと自然の流れを保ったうえでのスピードアップですから、そこにはカラヤンのような「息が詰まる」感覚は全くありません。それは、まさに至芸のひと時でした。
フィナーレになると、テンポはぐっと落ち着いてきます。ただ、テーマが終わって最初の変奏になった時に、とてつもないサプライズが待っていました。エメリャニチェフは、その44小節目からの弦楽器を、それぞれ「一人で」弾かせていたのです。同じようなことをやっていたのは、こちらの、ベーレンライター版が出始めたころのデヴィッド・ジンマンですが、それはあくまでその楽譜に指示のあった(他のパートですが)その次の変奏(60小節目アウフタクトから)からの話ですから、こんなことをやったのはエメリャニチェフが初めてなのではないのでしょうか。
カップリングのブラームスでは、おそらく弦楽器の人数も増やしているのでしょう、ベートーヴェンのような鋭角的なサウンドではなく、もっとロマン派寄りのまろんやかなサウンドに変わっていました。これもすごいことです。

CD Artwork © Aparte Music

by jurassic_oyaji | 2018-12-06 20:04 | オーケストラ | Comments(2)
Commented by ベアベア at 2019-01-03 08:01 x
おやぢさんのブログは以前から拝見しておりました。HDx2のモツレクのことなど、共感できる点が多いです。

このアルバム、ハイレゾ版をダウンロードして聴いたのですが、おっしゃる通り素晴らしいですね。この名前を覚えられない指揮者(笑)、今季からスコットランド室内管の常任指揮者に就任しています。まだ30前なのに大したものです。

SCOは結構録音の多いオケですので、いろいろな曲の斬新な演奏が期待できそうです。
Commented by jurassic_oyaji at 2019-01-03 08:46
ベアベアさんコメントありがとうございました。
確かに、これから目を離せない人ですね。
楽しみです。