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BRAHMS/Symphony No.4, DVOŘÁK/Symphony No.9
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Jakub Hrůša/
Bamberger Symphoniker
TUDOR/1744(hybrid SACD)



バンベルク交響楽団の首席指揮者だったジョナサン・ノットが2016年にスイス・ロマンド管弦楽団の首席指揮者となるのと入れ替わりに、5代目の首席指揮者に就任したのが、ヤクブ・フルシャです。
彼は、チェコ人としては初めて、この、チェコに起源をもつオーケストラの指揮者となったのですね。彼自身は、チェコ国内のオーケストラとは深い関係にありましたが、それと同等の頻度で世界中、ヨーロッパからアメリカ、さらには日本(東京都交響楽団)でのポストも手に入れていました。ですから、彼がこのレーベルで最初に録音したのが、スメタナの「わが祖国」だったとしても、それは単にチェコのナショナリズムではなく、もっとグローバルな、音楽の本質に迫った演奏となっていたのではないでしょうか。
そんなフルシャが次にこのレーベルで開始したのが、ブラームスの4つの交響曲と、ドヴォルジャークの後期の4つの交響曲をカップリングしたアルバムの制作でした。彼は、この二人の偉大な作曲家の間に、ナショナリズムとグローバリズムとの両方の要素を見出したのでしょう。自己陶酔と野蛮さですね(それはナルシシズムバーバリズム)。
その第一弾となるのが、今回のSACD、それぞれの作曲家の最後の交響曲がカップリングされています。ただ、「カップリング」とは言っても、合計の演奏時間は86分33秒で、CDレイヤーでは収録可能時間ギリギリとなっているために、1枚には収められず、2枚組です。DSDの2チャンネルと5.1サラウンドだけだったら、おそらく1枚になったのでしょうがね。
そういう事情だと、例えばRCOレーベルあたりだと2枚組でも1枚分の価格で提供されていたりしたのですが、このTUDORレーベルはしっかり2枚分の価格設定になっています。このあたりは、指揮者の思いとは異なっているのではないでしょうかね。
もちろん、このようなカップリングはアルバム制作時のコンセプトで、実際にこの組み合わせでのコンサートを行ったわけではありません。さらに、この2曲は同じセッションではなく、ブラームスは2017年の5月、ドヴォルジャークは同じ年の10月に録音されています。
ブラームスの方は、それこそこのオーケストラの「伝統」を受け継いだ、まるでカイルベルトあたりが演奏しているような重厚な音楽が伝わって来るものでした。音色もとても渋く、フルートのソロなどはまさに「いぶし銀」といった感じの音色でした。
それが、ドヴォルジャークになると、ガラリとその様相が変わります。それはもっと重心の高い、何かワクワクさせられるような演奏でした。フルートは音色も歌い方も全然違っていたので、ブラームスとは別の人だったのでしょう。
使われている楽譜は、両方とも「Breitkopf & Härtel」というクレジットがありました。ブラームスの場合は、この楽譜はHenle版のクリティカル・エディションのリプリントですから、最新の情報が盛り込まれているものです。ドヴォルジャークでは、1990年にやはり独自のクリティカル・エディションが出ているようです。現物は見たことが無いのではっきりしたことは分かりませんが、それはおそらく、有名なプラハ版(Editio Supraphon Praha)と同じような内容なのではないでしょうか。
そこで、特に注目すべきは、第3楽章のトリオでの木管の音符の長さが、しっかりとクリティカル・エディションのものになっていることでしょう。

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↑初版のパート譜(1番フルート)

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↑プラハ版のパート譜(1番フルート)

プラハ版が出版されたのは1955年とだいぶ前のことなのですが、確実にこのような楽譜を使っているはずの指揮者(たとえばシャイー、アーノンクール、ノリントンなど)でも、なぜかこの部分だけは初版楽譜のように「短い音符」で演奏しているのですね。NMLで片っ端から聴いてみたのですが、「長い音符」で演奏している指揮者はネルソンス、ウルバンスキ、インマゼール、ダウスゴー、ティチアーティぐらいしか見つかりませんでした。
このティチアーティ盤は、2013年、彼がバンベルク交響楽団の首席客演指揮者だった時のTUDORへの録音です。

SACD Artwork © Tudor Recording AG

by jurassic_oyaji | 2019-01-05 21:37 | オーケストラ | Comments(0)