先週の「サンデーソングブック」で、山下達郎の今年のツアーの初日が延期されるという告知がされていましたね。なんでも、キーボードの難波さんが病気で入院するので、初日には出演できなくなり、やむなく延期にした、ということだそうです。
普通、こんな「事件」がおこると、テレビなどでは大騒ぎになるのでしょうが、今回は知る限りでは特に報道された様子もありませんでした。ネットを検索してみても、単に事実を述べているだけで、特にネガティブな意見などは見かけませんでした。まあ、達郎の場合は、そのあたりはしっかり理詰めで説明していますから、特に反感も買わないのでしょう。というか、これまでにも途中で声が出なくなったので振替公演を行ったというようなことがありましたが、それで非難されることはまずなく、お客さんは淡々とそれを受け入れていたようですね。このあたりの危機管理に対する達郎の対応は、見事としか言いようがありません。
ラジオで言っていたのは、「替えがきかない」ということでしたね。長年一緒にやっているメンバーなので、一人が欠けても演奏自体が成立しないというほどに、個人としての責任が決定的に重要になっているのでしょう。つまり、達郎のツアーに関しては、誰かが出演できなくなった時には、そのコンサートは即中止、という選択肢しかないのでしょうね。
ただ、もちろん、全てのアーティストが達郎ほどのこだわりを持っているとは限りません。大昔にYMOのライブに行ったときに、キーボードは当然矢野顕子だと思っていたら、「産休」で橋本一子がエキストラで入っていたので腹が立ったことがありましたが、まあ演奏自体は特にクオリティが落ちていたということはありませんでしたからね。そのあたりは、音楽のタイプによっても違うでしょうね。ジャズなどでは、かなり自由度は高いのではないでしょうかね。
クラシックの場合はというと、これは決まった楽譜を使って演奏するのですから、オーケストラではどこかのパートの人が急に代わったところで何の影響もないはずです。卑近なところでは、ニューフィルの場合、管楽器の人が病気で出られなくなったので、コンサートを延期した、なんてことは決して起こりませんでしたからね。一度だけ、オーボエの1番が急に出られなくなったということがありましたが、その時には急遽仙台フィルの人に来てもらって、事なきを得ましたからね。
でも、中には、例えばフルートの首席が2人いるオーケストラだったら、どちらか一人の人の方で聴いてみたいな、ということはありますよね。ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートでは、ローテーションで必ず毎年別な人が吹くようになっていますが、やはり今年のシルヴィア・カレッドゥよりは、カール=ハインツ・シュッツの方が「お得感」がありますからね。
劇団四季あたりだと、そもそもダブル、あるいはトリプルキャストをとっていますから、人が代わるのは日常茶飯事です。ただ、それが当日劇場に行くまで誰が出るのかわからないというのは、はっきり言って大問題です。劇団側は「誰が出演しても満足できるようなクオリティを維持している」と言っていますが、そんなことはそもそもあり得ませんからね。お客さんにも「選ぶ権利」があるはずです。
10月には仙台で5日間「エビータ」の公演があるんですって。