おやぢの部屋2
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オープンリール
 きのうの「おやぢ」では、「オープンリール」などというものが登場していましたね。ジャケットの画像を探していたら、たまたまあんなものが見つかってしまって、本当に驚いてしまいましたよ。確かに、1970年代の「4チャンネル」ではレコード(LP)だけではなく、テープによって販売されていたものがあったことは知っていましたが、その現物の写真を見たのは初めてだったものですから。もちろん、テープでは4つのチャンネルをそのまま録音できますから、LPのように面倒くさくて、性能もいまいちのやりかたとは格段の成果が体験できたはずです。
 ただ、「4チャンネル」ではなく、「4トラック」のオープンリールでしたら、私でも持っていました。それを再生するテープデッキと、LPと同じ音源が入った録音済みのテープでした。そういうものがあったのですよ。「おやぢ」に書いたように、LPのA面、B面を、それぞれテープの「行き」と「帰り」に録音していたのですね。つまり、そのあとの規格の「カセットテープ」のように、テープの上下をひっくり返して、1本のテープで2本分の再生ができるようになっていました。オープンリールの場合、その録音トラックは、
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 このように4つのトラックを一つ置きに「行き」と「帰り」に振り分けていたんですね。カセットテープでは、それぞれのチャンネルが隣通しになって、この図だと上から「←L」、「←R」、「R→」、「L→」となっていました。
 ですから、「4チャンネル」を録音するときには、
オープンリール_c0039487_23561913.jpg
 このように、4本のトラックを全部使いますから、一方向だけしか録音・再生できないようになっていました。ということは、普通のステレオの倍の長さのテープが必要だったのですね。価格も倍になっていたのか、ということまでは、私には分かりませんけど。
 ただ、このように普通に販売されていた録音済みのテープは、さすがにマスターテープと同じクオリティというわけにはいきませんでした。普通のプロ用のレコーダーは、使うテープそのものは幅が1/2インチで全く同じものなのですが、その走行スピードが違います。録音済みテープは毎秒7 1/2インチですが、プロ用はその倍の毎秒15インチ、そして、トラックも2トラックと、1つのトラックの幅が2倍になっています。つまり、同じ時間にヘッドを通過する磁性体の面積が4倍になっているので、それだけ高密度になって、よりクオリティの高い録音・再生ができるのです。15インチというのは38センチですから、この規格は「2トラサンパチ」と呼ばれていましたね。
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 これが代表的なプロ用のレコーダーですが、この右手前のふたを開けると、
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 このように、「30 IPS」と、「サンパチ」の倍まで使うことができるのですね。
 これは、2チャンネル・ステレオの場合ですが、マルチトラックの録音では24チャンネルとか32チャンネルが必要になってきて、そうなるとこのテープではトラックあたりの幅があまりに狭くなってしまうので、2インチ幅という、ワカメのようなテープが使われていました。
 もちろん、現在ではほぼすべての録音がDAW(Digital Audio Workstation)で行われていますから、そんながさばるものは必要なくなりました。しかし、音質自体はハイレゾのデジタルよりも、テープによるアナログ録音の方が優れているのは間違いありません。
 ただ、アナログ録音では、音を磁性体に磁力として記録するので、必然的に経年変化で磁力が低下して音が劣化するのは避けられません。実際、1960年代のマスターテープはもはや使い物にならなくなっていますから、「マスターテープからリマスタリング」などと言っても、実際はひどい音のものがありますから、注意が必要ですよ。
by jurassic_oyaji | 2020-01-12 23:57 | 禁断 | Comments(0)