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2017年 10月 24日 ( 1 )
KARAJAN/The Second Life
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Eric Schulz(Dir)
DG/073 4983(DVD)


半年以上前に録画だけしておいたものをチェックしていたら、NHK-BSで放送されたオペラの余白にこんなドキュメンタリーが見つかりました。これは、2012年に作られ2013年に放送されたものの再放送、同じ年にはDVDも販売されています。
タイトルの「セカンド・ライフ」というのは、カラヤンが引退した後のんびりと「第二の人生」を送っていたわけではなく(そんなものはカラヤンにはありませんでした)、この映像の中でいずれは自身も死を迎えることを悟った彼は、まだまだやり残したことがあるので、死んだ後も別の肉体を手に入れて、新たな人生を送りたい、と述べていたことに由来しています。
この映像の目玉は、DGのエンジニア、ギュンター・ヘルマンスがカラヤンと電話で交わした会話が聴けるということです。なんでも、ヘルマンス自身が録音していたそうなのですね。あのカラヤンと仕事をするのだったら、このぐらいの「保険」は必要だったことでしょう。それが、今となってはとても貴重な「資料」になりました。
おそらく、ここで初めて公になったこの会話録によって、今までうすうすとは感じていたカラヤンの録音のやり方が直接的に分かるようになったのは、何よりの収穫です。ヘルマンスは、この時期16チャンネルのマルチトラックで録音を行っていたのですね。それを駆使して、ミキシングの段階でカラヤンの思い通りのバランスを作り上げることが出来たのでしょう。
このあたりで、ドキュメンタリーの流れは、このようなプロセスで作られた音源を絶賛し、「生演奏の音よりも、録音された音の方が優れている」という立場から、カラヤンの業績をほめたたえるものになっています。「録音でなければ、作曲家の意図は完全には伝わらない」とまで言い切っていますからね。
ところが、後半に、EMIのエンジニア、ヴォルフガング・ギューリヒが登場すると、その流れが全く逆の方向に向かいます。カラヤンは1970年代にはDGとEMIとを二股にかけて録音を行っていましたが、確かにそのサウンド・ポリシーは明らかに別物でした。そもそも、ギューリヒはこのインタビューでは「生演奏の方が録音されたものより優れている」という考えを明らかにしていますからね。彼は、コンサートのサウンドに近づくために、ヘルマンスとは全く異なるマイクアレンジを採っていたのでした。
カラヤン自らがコンソールのフェーダーを操作して、編集を行っているという「貴重な」シーンも登場します。しかし、それより貴重なのが、休憩になってカラヤンがいなくなったら、残っていたエンジニアたちがそれを元に戻してしまっている場面です。
さらに、コンソールに向かって、カラヤンの右側にヘルマンス、左側にミシェル・グロッツという、ある時期の彼らの指定席の映像も見ることが出来ます。ここで大はしゃぎのグロッツの姿は、なにか異様、しかし、それは確実にカラヤンの信頼を勝ち取った男ならではの驕りきった態度のように見えます。それに続くDGのエンジニアたちのコメントは意味深ですね。
微妙なのが、オープニングの映像。そこには、カラヤンのLPで埋め尽くされたフィルハーモニーのステージが現れます。バックで流れるのはシュトラウスの「ツァラ」の冒頭部分、そこで目に入るのが、このカラヤンとベルリン・フィルがその曲を録音したLP(右上)です。さらに、その前にはキューブリックの「2001年」のサントラ盤も見えますね。
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しかし、確かにこの映画の中で使われている「ツァラ」を演奏しているのはカラヤンとウィーン・フィルですが、こちらにあるように、このジャケットのアルバムに入っている「ツァラ」は、カール・ベーム指揮のベルリン・フィルによる録音なのですよ。いや、同じアルバムにはカラヤンが指揮をしたもう一人のシュトラウスの「青きドナウ」も入っていますから、そちらの方だったのかもしれませんね。どなうもんでしょう。

DVD Artwork © Deutsche Grammophon GmbH

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by jurassic_oyaji | 2017-10-24 23:25 | 映画 | Comments(0)