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2018年 02月 01日 ( 1 )
KOKKONEN/Requiem, Complete Works for Organ
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Suvi Väyrynen(Sop), Joose Vähäsöyrinki(Bar)
Jan Lehtola(Org)
Heikki Liimola/
Klemetti Institute Chamber Choir
TOCCATA/TOCC 0434


シベリウス以後の最も重要な作曲家の一人とされている、ヨーナス・コッコネンという、1921年に生まれて1996年に亡くなったフィンランドの作曲家の「レクイエム」とオルガン作品が収録されたCDです。ラフランスみたいな名前ですね(それは「洋梨」)。
コッコネンは、この世代の多くの作曲家のように、「新古典主義」から始まって「12音」の波に揉まれたのち、「ネオ・ロマンティック」の路線に乗る、という、ありがちな作風の変遷を経ることになります。
とは言っても、コッコネンの場合、どっぷりとその「ネオ・ロマンティック」とやらに浸かっているわけではないことは、この「レクイエム」を聴けば感じることが出来ます。
「レクイエム」は、親友の指揮者ウルフ・ソダーブロムの勧めによって構想を練り始めた「ミサ曲」が母体となっています。しかし、その作曲が遅々として進まない中、1979年に彼の最初の妻のマイヤが亡くなってしまいました。そこでコッコネンは、ミサ曲ではなく、彼女に捧げる「レクイエム」を作ることを宣言します。
ところが、もうすでに初演の手配も始まっているというのに、彼は亡き妻のために何を作っていいか分からなくなってしまうような極度のスランプに陥ってしまいました。それを救ったのが、後に彼の2度目の妻となる女性の励ましだったというのは、なんとも皮肉な話です。
それでも1980年の秋ごろからは、少しずつ出来上がってきた楽譜を使っての合唱のリハーサルも始まり、1981年9月17日にソダーブロムの指揮で初演を迎えることになりました。オーケストラはヘルシンキ・フィル、合唱はアカデミック・コラール・ソサエティです。
今回の録音では、オーケストラのパートをオルガン用に編曲した、ヨウコ・リンヤマ(男性です!)によるリダクション版で演奏されています。
「レクイエム」は、演奏時間が36分という、たとえばフォーレの作品のような適度な長さを持っています。それは、テキストがほぼフォーレと同じサイズで、他の作曲家の作品では必ず入っている長大な「Sequentia(Dies irae)」がカットされているためです。ただ、フォーレと違うのは、「Libera me」が入っておらず、普通はあまり使われることのない「Tractus」が使われているのと、「Requiem aeteruam」の後半が、これも普通は使われない「Graduale」の後半に置き換わっている点です。曲順も、「In paradisum」の後に、「Lux aeterna」が入り、全体の締めくくりとなっています。
ソリストも、やはりフォーレと同じようにソプラノとバリトンの2人が参加しています。ただ、彼らはあまり「ソロ」の形で歌うことはなく、合唱と一緒になって登場する場面が多くなっているのも、一つの特徴でしょう。
ですから、曲の冒頭で不安げで瞑想的なオルガンの前奏に続いていきなり合唱がバリトン・ソロと一緒に現れた時には、ちょっと戸惑ってしまいました。それは、そのバリトンがあまりに合唱とは相いれない歌い方だったからです。実際には、ソロと合唱との呼び交わし、というシーンなのでしょうが、ソリストはとても熱く歌っているのに、合唱がなんとも醒めているのですね。しばらく聴いていると、それはこの合唱団の資質なのではないかと思えるようになってきます。はっきり言って技術的に未熟なために、的確な表現が出来ないようなのですね。
ですから、作品自体はとても興味深いものなのですが、その真の姿がまるで表現できていないもどかしさが、最後まで付いて回ります。後半の「Agnus Dei」以降などは本当に美しい音楽ですし、最後の「Lux aeterna」のエンディングで、合唱だけがホ長調の和音で「lux」と歌うところは感動的ですらあるのに、残念です。
余白に4曲のオルガン・ソロの作品が演奏されています。これが、コッコネンが作ったすべてのオルガンのための作品です。これらも、程よく刺激的な和声の中で、確かな安らぎが与えられる秀作です。「レクイエム」と同じ時期に作られた「Iuxta crucem」の、オルガンらしからぬppには惹かれます。

CD Artwork © Toccata Classics

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by jurassic_oyaji | 2018-02-01 20:48 | 合唱 | Comments(0)