おやぢの部屋2
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2018年 02月 03日 ( 1 )
MÉHUL/Symphony No.1, BEETHOVEN/Symphony No.3
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Christoph König/
Solistes Européens, Luxembourg
RUBICON/RCD 1020


このアルバムのテーマは「ナポレオン」、彼とは密接な関係にある2つの交響曲が収録されています。まずは、実際にナポレオンから作曲の依頼を受けていたフランスの、エツィエンヌ=ニコラ・メユールという暗い名前の作曲家(それは「滅入~る」)の「交響曲第1番」です。
演奏しているのは、1989年に設立されたルクセンブルクのスーパーオケ、「ソリスツ・ヨーロピアンズ・ルクセンブルク(SEL)」です。創設以来指揮をしていたジャック・マルティン・ヘンドラーの後任として、現在はクリストフ・ケーニッヒが首席指揮者と音楽監督を務めています。ここには世界中のオーケストラのコンサートマスターを始め数多くの名手が参加しており、ヨーロッパの多くのオーケストラで首席奏者を歴任された日本人の渡辺克也さんも首席オーボエ奏者を務めています。
指揮者ケーニッヒは1968年にドレスデンに生まれ、ドレスデン音楽大学で指揮法などを学びます。2003年にマルモ交響楽団の首席指揮者に就任した後にいくつかのオーケストラを経て、2010年から現在のポストに就いています。彼のレパートリーは古典から現代曲まで幅広く、さらにオペラの分野での活躍も目覚ましいものがあります。
ベートーヴェンが生まれる少し前、1763年に誕生したメユールは、フランスのオペラ作曲家として活躍しましたが、それ以外のジャンルでも多くの作品を残し、交響曲は完成された4曲の他に、未完の1曲があります。
ここで演奏されている「交響曲第1番は」1808年に作られ、翌年に出版されています。アレグロ・アンダンテ・メヌエット・フィナーレという標準的な4つの楽章から出来ているト短調の曲です。
第1楽章は、そんな短調の憂いを込めた、しかし躍動感もある第1主題で始まります。それに対して、第2主題は伸びやかで爽やかな感じ、この2つのテーマの対比がまず印象的です。
第2楽章は、変奏曲になっています。かなり技巧的な変奏では、アグレッシブに迫ってくるものがあります。それほど緩徐楽章という感じがしないのは、この演奏のせいなのでしょうか。
第3楽章は、弦楽器だけのピチカートで始まるかわいらしいメヌエット、チャイコフスキーの「交響曲第4番」の第3楽章みたいですね。間に挟まるトリオでは、木管楽器の細かいスケールの絡まったアンサンブルがスリリングです。このオーケストラの木管セクションの超絶技巧が冴えわたります。
そして、フィナーレで執拗に聴こえてくるのは、まさにベートーヴェンの同じ短調の「交響曲第5番」の第1楽章のテーマ、「ン・タ・タ・タ・ター」ではありませんか。この曲をメンデルスゾーンが指揮をしたライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の演奏で初めて聴いたシューマンも、同じことを感じたのだそうです。ベートーヴェンのこの交響曲が作られたのも同じ1808年、出版されたのも翌年というのも、不思議な偶然、いや、もしかしたら何らかの関連性があったのでしょうか。
カップリングはそのベートーヴェンの「交響曲第3番」。当初はナポレオンに献呈するために作られたというのは、よく知られた話です。そのために「英雄」などという大仰なタイトルで呼ばれていますが、ここでのSELの演奏は、そんな名前から受ける先入観を、気持ちよく裏切るものでした。
第1楽章などには、そんな重厚さとは無縁の爽やかさがあふれていて、とても気持ち良く聴くことが出来ます。オーケストラのアンサンブルも、きっちり合わせるというのではなく、お互いに聴きあいながら自由に自分のパートを主張している様子がはっきり分かります。第2楽章のオーボエ・ソロは渡辺さんが吹いているのでしょうか。たっぷりと歌いこんで朗々と響き渡るオーボエは、とても魅力的です。第3楽章のホルンのトリオの前でポーズが入ったのには驚きました。
ちょっとバランスの悪いライブ録音なので、終楽章のフルート・ソロはあまり目立ちません。

CD Artwork © Rubicon Classics Ltd.

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by jurassic_oyaji | 2018-02-03 22:07 | Comments(0)