おやぢの部屋2
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2018年 02月 08日 ( 1 )
DOPPLER/The Complete Flute Music Vol. 1/10
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Claudi Arimany, János Bálint, Anrea Griminelli, 工藤重典(Fl)
Joan Espina(Vn),
Alan Branch, Márta Gulyás, Michel Wagemans(Pf)
Leonardo Martínez/
Orquesta Sinfónica Ciudad de Elche
CAPRICCIO/C5295


フランツとカールという5歳違いのドップラー兄弟は、それぞれに作曲家で、兄の方はオペラなども作っていましたが、ともにフルーティストとしても活躍していました。特に、この二人が共作した2本のフルートのための作品は、輝かしいフルートの魅力がいっぱいで、ヨーロッパ中で大人気を博したということです。
もちろん、現代でも彼らの作品は多くのフルーティストによって取り上げられていて、ソロのための「ハンガリー田園幻想曲」や、2本のフルートのための「アンダンテとロンド」や「リゴレット・ファンタジー」は彼らの重要なレパートリーとなっています。
とは言っても、その他の作品はかなりマニアックな人でないとまず演奏しないようなものばかりですから、ドップラー兄弟のフルートの作品の全容はなかなか知ることはできませんでした。
そんなところに、このジャンルのすべての作品を録音しようという人が現れました。それは、1955年生まれのスペインのフルーティスト、クラウディ・アリマニーです。いつも高いスーツを着ています(それは「アルマーニ」)。なんでも、あのランパルの弟子として、彼が使っていた楽器を譲り受けた方のようですね。免許皆伝、みたいなものでしょうか。
彼は、初版の楽譜や自筆稿を徹底的に研究して、まずはドップラーたちの作品のリストを作りました。それによると、フルートがらみの作品は80曲以上も存在することが分かりました。そして、それらをすべて、自ら演奏したものを録音して、10枚のCDとしてリリースすることにしたのです。一応、ジャケットには「2007年から2016年の間に録音」とありますから、丸10年かけて録音したのでしょうね。
もちろん、メインは二重奏ですから、その相手役のフルーティストも世界中から集めました。その中には、ウィーン・フィルの首席奏者の二人、ヴァルター・アウアーとカール=ハインツ・シュルツの名前もありますよ。さらに、マクサンス・ラリューなどという「レジェンド」まで参加しています。それよりも、すでに2000年に他界したはずのジャン=ピエール・ランパルまでいるのが、不思議です。もっとも、現在では10枚のうちの6枚までがリリースされていますが、その中にはランパルの名前はありませんから、7枚目以降に昔の録音をボーナス・トラックとして入れているのかもしれませんね。
今回は、ほぼ1年前にリリースされていた1枚目を聴いてみます。8曲収録されている中で、7曲までが世界初録音というのですから、それだけでこのシリーズの価値が分かろうというものです。
最初に演奏されているのは、その例外の1曲、割と有名な2本のフルートとピアノのための「ハンガリーのモティーフによるファンタジー」です。ここでの第2フルートが、日本人の工藤さんです。録音は、それぞれのパートを思いっきり離した音場になっていますから、アリマニーと工藤さんの音がきっちり分かれて聴こえてきます。それは、まさにランパルの弟子同士ならではの、とても息の合ったものでした。本当に細かいところまで、表現のセンスが同じなんですよね。それぞれがソロを取るところでは、アリマニーの方が幾分輝きに欠けるような気はしますが、二人で吹いている分にはその輝きは煌めくばかり。
そんなアリマニーがソロを吹いている曲が4曲ばかりありますが、そこでは彼の弱点が露呈されてしまいます。ご自慢の師から賜ったヘインズなのでしょうが、なにか鳴らし切れていないというか、音に伸びやかさが全く感じられないのですよ。
最後には、これも結構有名な「リゴレット・ファンタジー」のオリジナルの形、今のピアノ伴奏版の25年前に作られていたという、オーケストラ版です。こちらの相方はアンドレア・グリミネッリ。彼もランパルの門下生ですから、きっちりと先輩の欠点を補って、輝かしい演奏を聴かせてくれています。

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by jurassic_oyaji | 2018-02-08 20:53 | フルート | Comments(0)