おやぢの部屋2
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2018年 05月 08日 ( 1 )
RAVEL/Ma mère l'Oye, Le Tombeau de Couperin, Schéhérazade
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François-Xavier Roth/
Les Siècles
HARMONIA MUNDI/HMM 905281


ロトとレ・シエクルによるラヴェル・アルバムの第2弾です。前作「ダフニスとクロエ」は2016年の3月から6月にかけての各地でのコンサートのライブ録音を編集したものですが、今回は「マ・メール・ロワ」が同じ年の11月、序曲「シェエラザード」が2017年の5月と9月、「クープランの墓」が2017年の8月に、やはりコンサートでライブ録音されたものです。各地の異なるホールでの録音ですが、違いが全く分からないのがまずすごいですね。
ブックレットには、いつもの通りオーケストラ全員の名前が載っています。それを、この2枚のアルバムで比較してみると、首席奏者はほとんど変わっていませんが、その他のプレーヤーは半分ぐらい別の人になっていました。ということは、彼らはシーズンごとにメンバーが入れ替わっていることになりますね。おそらくこのオーケストラは、コア・メンバーは固定されていても、それ以外はその都度集めるという体制なのでしょう。実際、彼らの公式サイトでの2017/2018年のシーズンのメンバー表では、さらに別のメンバーに変わっていますから。
そのメンバー表(ブックレットの方ですが)では、弦楽器以外はきちんと使われている楽器の情報が分かるようになっています。それが、前回は打楽器でも全てメーカーなどがしっかり記されていたのに、今回は全くなくなっているのはなぜなのでしょう。つまり、打楽器奏者の名前だけが記されているだけで、彼らが使っている楽器については何の情報もないのです。
というのも、前回の「ダフニス」では、鍵盤で演奏するグロッケンの「ジュ・ド・タンブル」が、ちゃんと「ミュステル製」と書いてあったのですが、今回はそれが使われているのかどうかすらも分からないのですね。この楽器は、「マ・メール・ロワ」の最後に派手に出てきますから、ぜひその存在を明らかにしてほしかったものです。もしかしたら普通のグロッケンを使っていたのかもしれませんからね。
今回ロトが取り上げたラヴェルの作品は3曲ですが、その中の「シェエラザード」は初めて聴いた作品でした。いや、同じラヴェルの歌曲集にそういうタイトルの曲はありますが、これは歌が入らないオーケストラだけの作品です。確かに、この曲は録音もあまりありませんが、それもそのはず、作られたのはラヴェルの若いころ、1898年ですが、出版されたのは1975年ですからね。サブタイトルが「おとぎ話のための序曲」とある通り、「千夜一夜物語」を原作にしたオペラを作るつもりだったものが、結局序曲を作っただけで未完に終わったというものです。ラヴェルはこれを「なかったものにしたい」と思ったのでしょうが、後に楽譜が発見されてしまって、出版までされたといういわくつきの作品です。
でも、なんだか後の「ダフニスとクロエ」を髣髴とさせるオーケストレーションが面白いですね。ただ、いかにもなオリエンタル風のシンコペーションのテーマはちょっと陳腐かも。
聴きなれた「マ・メール・ロワ」と「クープランの墓」は、これまでラヴェルでは必要不可欠だと思われていた「フランスのエスプリ」がほとんど感じられないことにちょっと面喰います。それは、楽器全般がとてもくすんだ音色に聴こえてきたことによるのかもしれません(フランスのくすぶり)。
面白いのは、「美女と野獣」で出てくる野獣をあらわすコントラファゴットが、特に低音が全く迫力のない薄めの音色だったことです。これは、楽器リストでは「1920年に作られたビュッフェ・クランポンのコントラバソン」とあるので調べてみたら、まさにその年に作られた楽器の画像が見つかりました。
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左が普通のコントラ、右が1920年のコントラです。今のコントラより背が高くなっていたようですね。この音だと、「野獣」という感じが全然しません。
もしかしたら、こういうものが本当の「エスプリ」なのかもしれません。今までのラヴェルに対するイメージを変える必要が出てくるかもしれませんね。

CD Artwork © harmonia mundi musique s.a.s.

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by jurassic_oyaji | 2018-05-08 22:57 | オーケストラ | Comments(0)