おやぢの部屋2
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2018年 05月 24日 ( 1 )
POLARITY
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Jan Gunnar Hoff(Pf)
Anders Jormin(Bas)
Audun Kleive(Dr)
2L/2L-145-SABD(BD-A, hybrid SACD)


この、超弩級の録音を誇る2Lレーベルは、もっぱら合唱曲や器楽曲といったクラシックのレパートリーで制作を行っていますが、ほんの少しジャズのアルバムもリリースしています。それは、自国ノルウェーのジャズ・ピアニスト、ヤン・グンナル・ホフのアルバムです。これまでに、4枚ほどのアルバムが出ています。
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これが、録音会場の写真。今回は、ホフにとっては初めてとなるトリオの編成でのセッションです。ベースはアンデシュ・ヨルミン、ドラムスはアウドゥン・クライヴェ、いずれも北欧圏では最高と言われているミュージシャンだそうです。そして、ホフはここではピアノの他に、チャーチ・オルガンとシンセサイザーも演奏しています。おそらくこれはオーバーダビングで重ねているのでしょう。彼の右手にあるのがシンセサイザー。これは往年の名器、「プロフェット6」です。6声のアナログ・ポリフォニック・シンセですが、この前の5声の機種「プロフェット5」は、あのYMOも使っていて一世を風靡しましたね。もう1台、左手にあるオルガンはドローバーが付いているのでハモンドっぽいのですが、こんな一段鍵盤の機種はないはずなので、別のメーカーの製品でしょう。
それと、この教会でのセッションでは、楽器や録音機材以外にいろんなものが見えますね。ドラムスの後ろには、無数の座布団が敷かれていますし、この3人の間にはなんと多量の薪が撒き散らされていますよ。これは、なにか音響的な意味があるのでしょうね。特に木材は良い影響を与えるはずです。
もちろん、このレーベルですからこれはハイ・クオリティのサラウンド録音です。そのためのメイン・アレイがさっきの薪のそばにありますから、再生される時はその位置での音場が感じられるはずです。たしかに、正面の左寄りにピアノ、右寄りにベース、そして後ろからはドラムスが定位しています。
この3人が奏でる楽器たちの音はあくまでクリアでナチュラルでした。ピアノは刺激的なタッチは全くなく、暖かいハーモニーが柔らかく漂っています。ベースもなんというリアルな聴こえ方なのでしょう、時折登場するアルコによるフラジオレットには、この世のものとは思えないほどの妖艶さが漂っています。そして、ドラムスの驚異的なテクニック。基本、使っているのはノーマルなドラムセットなのですが、そこから奏でられる様々なテクスチャーは、まるで魔法のように全体の音色を操作しています。そう、このドラムは「歌って」いるのですよ。
ここで演奏されている曲は、ホフのオリジナルが12曲、それぞれに英単語一つのシンプルなタイトルが付いています。曲調はバラードあり、アップテンポあり、さらにはもろインプロヴィゼーションというハードなものありという多彩さですが、いずれもキャッチーなテーマが使われているのでとても親しみがわくものばかりです。ホフという人は、稀代のメロディ・メーカーなのではないでしょうか。
中でも、なにかとても懐かしい思いに誘われる北欧感のようなものが漂っている曲が、印象に残っています。最初に演奏されている「Innocence」あたりが、そんなテイストの曲。まるであの「Frozen」のテーマ曲のようなイントロで始まるとてもかわいい曲です。最後の「Home」という曲も魅力的ですね。まるでコラールのようなテーマが何度も繰り返され、その間に全く別のテイストのフレーズが入りますが、最後にはそのコラールに戻ってくるあたりが「Home」なのでしょうか。「Sacred」という曲では、ピアノは全く登場せず、オルガンだけになっていました。これも意味深。
これをサラウンドBD-Aで聴くと、いつまでもこんな音に浸っていたいという至福の時間が過ぎていきます。ところが、同じ音源をSACDで聴くとそんなアナログ感満載のソフトな雰囲気が全くなくなり、なにかとげとげしい感じの音になってしまいます。改めて、SACDのスペックの不十分さが体験できてしまいました。

BD & SACD Artwork © Lindberg Lyd AS

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by jurassic_oyaji | 2018-05-24 20:21 | ポップス | Comments(0)