おやぢの部屋2
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2018年 05月 30日 ( 1 )
音楽は全部で1時間
 今、秋の定期に向けて練習しているのは北欧の曲ばかりで、その中にデンマークに帰化したドイツの作曲家、クーラウの「妖精の丘序曲」というのがあります。指揮者の新田さんが提示されたもので、もちろん団員でこの曲を知っている人は誰もいませんでした。練習指揮者も「きっとそのうちYさん(私のこと)があらすじとか紹介してくれるでしょう」なんて言い出す始末ですからね。
 確かに、私はそんな痒いところに手が届くようなサービスを、今まで数多く提供してきました。もちろん、それは「かいほうげん」のネタになることを見越してのことですから、なかなかやりがいのある作業ではありましたね。でも、この「妖精の丘」は、あまりにも資料が少なすぎました。ネットでもこの話のあらすじを書いたものは、非常に不完全なものが1つあるだけでしたからね。
 ただ、一応「全曲盤」のCDは出ているようでした。NMLでそれは聴けるので、まあ参考にはなるでしょうが、あいにくブックレットまでは見ることはできません。
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 そこで、現物を入手しようと思いました。でも、リリースが1996年ですから、もう廃盤になっている可能性は高いのですが、HMVに注文したらそれはすぐに届いてしまいました。今でも「2-3日以内に入荷予定」とあるので、きっと代理店の倉庫にはまだ在庫があるのでしょう。
 そして、そのブックレットを見てみたら、お目当てのものがしっかりありました。それは、とても詳細にこの曲が出来た背景から、それぞれの幕のプロットと、そこで使われている音楽を解説してくれていたのです。
 そこで分かったのは、これは「オペラ」ではなかった、ということです。これは、コペンハーゲンの王立劇場が当時の国王フレデリク6世からの委嘱を受けて制作したお芝居(戯曲)で、1828年の11月に予定されているフレデリク6世の娘のヴィルヘルミーネ・マリーと、後にフレデリク7世となる王子との結婚式の時に上演することが決まっていました。その話があったのはその年の5月、劇場側はあわてて台本作家を探し、有名なヨハン・ルーズヴィ・ハイベアという人が引き受けることになりました。そのお芝居には序曲や劇中歌も必要とされていて、その音楽を作ったのがクーラウだったのです。
 そこでは、もっぱら昔から伝わる伝承歌、「バラード」と呼ばれるものが素材として使われています。それらは、おそらくは専門の歌手ではなく俳優が歌ったのでしょう。素朴なメロディで出来た短い歌が、歌詞を変えて何番も歌われるという形がとられています。ニューフィルが演奏する「序曲」には、そんな歌のメロディが何曲か引用されています。それについては、「かいほうげん」で細かくご説明する予定です。
 ここでは、そのお話のあらすじを簡単にご紹介するつもりです。・・・と思ってCDのブックレットを読み始めたのですが、登場人物の関係がとても入り組んでいて、理解するのにはかなりの時間がかかってしまいました。でも、なんとか作りあげたのが、この「相関図」です。

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 ご覧のように、登場人物の名前には「原語」を使っています。デンマーク語の発音はちょっと変わっているのでたとえばNielsenは「ニールセン」ではなく「ニルセン」になりますね。もっとすごいのだと、有名なAndersenは「アンデルセン」ではなく「アナスン」ですからね。ですから、ここでも真ん中の「Agnete」という人も、「アグネテ」ではなく「アウニード」となるそうなので、いろいろ面倒くさくなってこんな風にしてみました。
 ということで、この相関図をご覧いただくと、なんだか複雑な男女関係があることが分かりますね。近々村の近くのホイストルプ城でEbbesenとElisabethの結婚式が行われるのですが、新郎新婦はそれぞれ別に好きな人がいるのですよ。まだ結婚はしていないので「ダブル不倫」ではありませんが、そもそもなんでこんな結婚話が持ち上がったかということが、ブックレットのあらすじでは分からないのですね。
 しかも、この物語には、この相関図には登場していないもう一人のキャストがいるのです。それは、劇のタイトルにもなっている「妖精の丘」に住む妖精の王です。しかし、彼は実際に劇には現れず、登場人物の話の中にしか出てきません。それはどういう話かというと、両親が亡くなったために国王が名付け親となり、Waklendorffの城で育てられていたElisabethは、幼少のころにこの妖精の王に誘拐されていたのです。Walkendorffは、探すのをあきらめ、自分の姪をElisabethとして育てることにします。しかし、結婚式が近づいて彼女が国王から命名式のプレゼントにもらった指環をしていないことに気が付いて、焦っているんですね。
 なぜか、その指環をはめた幼い女の子は、かつて妖精の丘に捨てられていました。それをKarenが見つけ、Agneteと名付けて自分の娘として育てることにしたのです。その時に、女の子(つまりElizabeth)が身に付けていた指輪や宝石は、壺に入れ丘の中に穴を掘って埋めておいたのです。
 そのことを、結婚式の日にKarenはAgnete(つまりElizabeth)に打ち明け、Mogensとともに壺を掘出しに行きます。そこに国王も現れて、出てきた指環とAgnete(つまりElizabeth)を連れて城に向かい、全ては丸く収まってめでたしめでたしとなるのです。
 と、自分で書いていてもなんだかわけがわからないところがありすぎ。実は、このお芝居は2015年に日本で実際に上演されていて、その写真集とあらすじを「国際クーラウ協会」のサイトで見ることが出来ます。しかし、このあらすじが、今まで書いてきたこととかなり違っているんですよね。おそらく、あちらもあまりの煩雑さに、分かりやすく手直しをしていたのではないでしょうか。
 でも、このお芝居、本国ではとても親しまれていて、王立劇場だけでも今までに1000回近く上演されているのだそうですよ。もっとも、この劇で祝福を受けたカップルは、10年も経たないうちに分かれてしまいましたけどね。原因はもちろん夫の浮気。
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by jurassic_oyaji | 2018-05-30 21:57 | 禁断 | Comments(0)