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2018年 07月 03日 ( 1 )
RAVEL/Orchestral Works・1
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Leonard Slatkin/
Orchestre National de Lyon
NAXOS/NBD0030(BD-A)


だいぶ先の話ですが、ラヴェルの「スペイン狂詩曲」などというものを、実際に演奏しなければいけないことになりました。頭がおかしくなって死んでしまうほど大変な曲なので(それは狂死曲)、しっかり下準備をしなければいけません。スコアを見るとただ聴く分にはすんなり通り過ぎてしまうようなところが、実際はリズムも取れないほどに入り組んでいたりするんですよね。これこそが、ラヴェルのオーケストレーションの「魔術」なのでしょう。がんばらないと。
そこで、そんな細かいところまできちんと聴こえる音源がないものかと探してみたら、こんなサラウンド音源が見つかりました。これは、2011年にスラトキンが音楽監督に就任したばかりのリヨン国立管弦楽団と録音したラヴェル全集の最初のものでした。そのスラトキンも、今年のシーズンでこのオーケストラの音楽監督ではなくなり、桂冠指揮者になってしまうのだそうですね。NAXOSもこのオーケストラとの録音は積極的に行っていて、しっかりサラウンドで録音して、こんなBD-Aまで出していたというのに、今後はどうなっていくのでしょう。
そのBD-Aも、このアルバムがリリースされた頃には「これからはサラウンドだ」みたいな流れがあって、普通の2トラック・ステレオもサラウンドのミックスをそのまま使っていたので変なバランスになっていた、などということもあったようですね。でも、どうやらこのレーベルのBD-Aに対する熱は、今ではすっかり冷めてしまったようです。というのも、去年の11月ごろにこちらの「ジークフリート」をリリースした後は、新しいBD-Aは全く出ていないのではないでしょうか。これは品番では69枚目、おそらく、この続編の「神々の黄昏」を今年の終わりに出して、もはやこのフォーマットからは手を引いてしまうのではないか、というような気がするのですが、どうでしょう。たった70枚で撤退してしまうなんて。
このアルバムでは、サラウンドの設定では特に楽器の配置が変わって聴こえるわけではなく、ごく普通にオケ全体はフロントに定位し、残響が全体に広がっているという感じです。ただ、やはり2チャンネルでは味わえないそれぞれの楽器の立体的な存在感はしっかり感じることが出来ますから、そこからは奏者の息遣いのようなものまでも伝わってきます。
最初に聴こえてくる「道化師の朝の歌」では、にぎやかなオーケストレーションの妙味がたっぷり味わえます。特に、オーケストラがトゥッティになった時に打楽器がくっきり浮かび上がってくるのはさすがですね。この曲では頭からトランペットやフルートがトリプル・タンギングを駆使する難しいパッセージが出てきますが、そんなのは軽くクリアしているプレーヤーたちも素敵です。
お目当ての「スペイン狂詩曲」では、ハイレゾのダイナミック・レンジの広さを十分に考慮しての、余裕を持ったレベル設定がなされています。まずスコアの指示通りにとても小さな音(ppp)のヴァイオリンで始まります。そして、盛り上がってきたところでの音圧は十分なものがありました。管楽器のソロなどは特に強調されていることはなく、あくまでオーケストラ全体の響きを捕えているという、自然なバランスの中でも、ソロ楽器の音像ははっきりしています。
ソロの管楽器たちの演奏からは、やはり感覚的にラヴェルの音楽へのシンパシーはとても強く感じられ、スラトキンはそのあたりをとても上手に掬い上げて爽快な演奏に仕上げているな、という印象を持ちました。
最後に収録されている「ボレロ」では、そんなソリストたちの個性も垣間見えますが、なんと言っても続けて出てくるそれぞれの楽器の音色がきっちり合わせられているのがちょっとすごいことです。それと、真ん中あたりでピッコロ、フルート、ホルンと一緒にチェレスタがメロディに加わるところがありますが、そのチェレスタがこんなにくっきり聴こえてくるものには、なかなか出会えません。

BD Artwork © Naxos Rights International Ltd

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by jurassic_oyaji | 2018-07-03 22:35 | オーケストラ | Comments(0)