おやぢの部屋2
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2018年 07月 19日 ( 1 )
GOUNOD/Saint François d'Assise
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Stanislas de Barbeyrac(Ten), Florian Sempey(Bar)
Karine Deshayes(MS), Deborah Nemtanu(vn)
Laurence Equilbey/
Accentus
Orchestre de Chambre de Paris
NAÏVE/V 5441


このCDは、輸入代理店であるキングインターナショナルのインフォによれば、「2011年に発見されたグノーの『アッシジの聖フランチェスコ』の世界初録音」なのだそうです。そんな珍しいものが聴けるというのであれば、何をおいても買ってみなければ。
それを入手してブックレットを見てみると、その作品はほんの22分ほどの短いものでした。それだけでは足らないので、リストの宗教曲もカップリングされているのですが、それを含めてもトータルで40分というのは、CDの収録時間としては異例の短さです。
そのブックレットには、当然この作品の成り立ちなども書いてありました。それを読んでみると、確かにこれは「世界初録音」には違いないのですが、「2011年に発見された」などということはどこにもありませんでした。ブックレットの内容は、以下の通りです。
曲が完成したのは1891年の1月で、同じ年の聖金曜日(3月27日)と、翌日の聖土曜日に、パリ音楽院管弦楽団の「コンセール・スピリチュエル(宗教的演奏会)」でグノー自身の指揮によって初演されました。この間に、グノーは友人の画家カロルス=デュランに肖像画を描いてもらっていて、自分がその演奏会で使っていたスコアの自筆稿を、この画家にプレゼントします。画家は、それを受け取った後、きちんと製本してしまっておきました。しかし、いつしかこの自筆稿は行方不明になってしまっていたのです。
それから100年以上経ったころ、フランスのFestival de musique d'Auvers-sur-Oise(オーヴェル・シュル・オワーズ音楽祭)の創設者のピアニスト、パスカル・エスカンドが、たまたまさる女子修道院の慈善団体の幹部の人と話をしている時に、その団体の蔵書の中になにかグノーの自筆稿のようなものがあることを知らされます。調べてみると、それがこの「アッシジの聖フランチェスコ」だったのです。
そこで、エスカンドは、この音楽祭のスタッフの手によってこのスコアのパート譜を作成、さらに、合唱用のヴォーカル・スコアをレイモン・アレッサンドリーニという作曲家に作らせ、出版します。そして、1996年6月20日にポントワーズのサン・マクルー教会で105年ぶりの「再演」が行われました。
さらに、その20年後、2016年6月22日に行われた、ポントワーズ教区の50周年の年の第36回オーヴェル・シュル・オワーズ音楽祭の一環のパリのフィルハーモニーでのコンサートでこの曲が演奏され、その録音がこのCDとなって全世界の注目を浴びることとなったのです。

どうです?「2011年に発見」なんて、どこにもないでしょ?
このアルバムは、お馴染み、エキルベイ指揮の合唱団、アクサンチュスがメイン・アーティストとなっていますが、このグノーの作品では合唱の出番はほとんどありません。1曲目は、まるでプレーン・チャントのような敬虔なテーマによるオーケストラの前奏で始まります。それは、次第に少し俗っぽい美しいメロディに変わっていきます。そこに、テノールが聖フランチェスコとなって、小部屋の中の十字架に向かってとても心に染みる歌を歌います。そこには、時折ダイナミックな情感も加わります。
と、そこにイエスとしてのバリトンが現れ、フランチェスコの祈りにとても穏やかな歌で応えます。その奇跡に、フランチェスコは沈黙するしかありません。その後に奏されるオーケストラの音楽は、ハープも加わったいかにもグノーらしいとことん甘いものでした。
2曲目はフランチェスコの死の場面。暗い前奏に続いて、死の床にあるフランチェスコが周りの人たちに向かって語りかけます。そして、やっと登場した合唱が弟子たちや天使たちの歌を歌うことになります。しかし、それは、いつもながらの緊張感に欠けるこの合唱団の、上っ面だけで全く心に届かない貧しい歌でした。
これは、合唱ではなく、あくまで澄み切った音で穏やかな情感を伝えてくれるオーケストラと素晴らしいソリストを聴くべきアルバムなのでしょう。

CD Artwork ©c Naïve, A Label of Believe Group

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by jurassic_oyaji | 2018-07-19 20:55 | 合唱 | Comments(0)