おやぢの部屋2
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2018年 07月 21日 ( 1 )
音楽業界の動向とカラクリがよ~くわかる本[第4版]
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大川正義著
秀和システム刊
ISBN978-4-7980-5136-9


秀和システムから数多く出版されている「よ~くわかる本」というハウツー本のシリーズの一環で、こんなものを見つけました。なにやら、音楽業界の最新の情報が詳しく分かりそうなタイトルですね。しかも「第4版」というのですから、改訂を重ねてより新しい事項を盛り込もうという著者の熱意も感じられます。調べてみると、「第2版」は2010年、「第3版」は2013年、そしてこの「第4版」は2017年に刊行されていますから、それだけこの業界の変化は激しいのでしょう。
ただ、普通の「音楽ファン」が知りたいような情報は、ここにはあまり見当たりません。これはあくまで音楽産業という「ビジネス」の世界での話がメインになっている本で、正直ちっとも面白くありません。
そんなガチの業界本だと思っていると、ところどころに著者のレコーディング・エンジニア時代の体験談とかそれに関したスナップ写真などが現れます。ただ、この本の流れから行くと、そういうコンテンツにはとてつもない違和感を抱かざるを得ません。経営者としての視点と、現場の職人としての視点がごっちゃになっているんですね。
そんな、とんちんかんな感覚が如実に表れているのが、最後あたりの「補足」での「音楽業界の主な職種」というコーナーです。そこには、「音楽業界に就職しよう!」という見出しのもとに、「就職先」が語られているのですが、そこに「作詞家」、「作曲家」、「アーティスト」などという項目があるのですよ。そこに、「就職先として考えるのは無理があります」なんてコメントがあるんですから、完全に矛盾してますよ。
その「補足」の「資料編」というところをさらに読み進んでいくと、こんなページがあったのには本当に驚いてしまいました。
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なんと、これはまさに2000年2月29日に発行された「かいほうげん」のNr.116に掲載されていたものではありませんか。ということは、著者はこれを目にしたことがあったのでしょうか。いやぁ、可能性として考えられないこともありませんが、これはそのまま「ジュラシック・ページ」のコンテンツとしてこちらにアップしてありますから、それを見てパクったというのが正解なのでしょうね(作った者としてはパニクってしまいます)。
その行為自体はけっこう嬉しかったりもしますが、著者が作り直したこのチャートには問題がありすぎます。まず、右の上の方に「1895年 米国 ベルリーナ・グラフォフォン設立」というのは、「ベルリーナ・グラモフォン」の間違いです。どうせコピペするのなら、きちんと元の資料に忠実にやってほしいものです。年号も微妙に違っていますが、まあこれは諸説あるので許しましょうか。
そして、ここでは、「かいほうげん」にはない項目が追加されています。「かいほうげん」ではあくまでEMIに限ってのチャートを作っていますから、「世界のメジャーレコード」というからにはそれ以外のレーベルを追加しなければいけません。そこでまず、「1962年 英国 米デッカレコード買収」という箱を追加しています。これは主語がないという不思議な文章、しかも「英国」ではなく「米国」の話です。この年に、かつては英デッカの子会社から独立したレーベルだった米デッカが、MCAに買収されたということを書きたかったのでしょう。それと、ここではEMIはユニバーサルミュージックに吸収されたような書き方がされていますが、これもクラシックに関しては間違い、現在ではほとんどのクラシックのアイテムは、ユニバーサルではなくワーナーからリリースされています。
こんなデタラメなものが「かいほうげんをもとに作成」などと言われるのは、非常に迷惑です。その前に、「本書の全部または一部について、出版元から文書による承諾を得ずに複製することは禁じられています」と言っている「出版元」が、「かいほうげん」(あるいは「ジュラシック・ページ」)の作成者の承諾を得ようとしなかったのには、笑えます。

Book Artwork © Shuwa System Co., Ltd.

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by jurassic_oyaji | 2018-07-21 20:54 | 書籍 | Comments(0)