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2018年 08月 19日 ( 1 )
KARG-ELERT, KRONKE, FRÜHLING, REGER, REINECKE/Works for Flute & Piano
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Christiana Fassbender(Fl)
Florian Wiek(Pf)
PROFIL/PH18005


いわゆる「ロマン派」の時代の5人の作曲家によるフルートとピアノのための作品を集めたCDです。この中でマックス・レーガーだけは普通のクラシック・ファンにはよく知られている(?)作曲家ですが、カール・ライネッケはかなりマイナー、そして、フルート関係者だったら知っているかもしれないジークフリート・カルク=エラート以外は、おそらく誰も知らないエミール・クロンケとカール・フリューリンクという人たちです。
この中ではライネッケだけが19世紀の前半に生まれていて、それ以外の4人はその50年ぐらい後の生まれ、中にはライネッケの教えを受けた人もいます。そう、ライネッケはライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の指揮者であるとともに、ライプツィヒ音楽院の教授でもあったのです。
アルバムの構成としては、最初と最後に大きな「ソナタ」、そしてその間に小品を挟む、といった形になっています。もちろん、「トリ」はこの時代、ほとんど唯一のフルートのためのソナタとして異彩を放っている、ライネッケの「ウンディーヌ」です。
このようにロマン派の時代にフルートをソロ楽器として使った作曲家が少なかったのには、楽器自体の未熟さも一つの要因になっていました。ロマン派の作品では、多彩な表現を追求するために、複雑な転調が用いられていましたが、その当時主流だった楽器ではムラのない半音を出すことは難しく、そのような転調に的確に対応することが出来なかったのです。しかし、1850年ごろにテオバルト・ベームが完成させた新しい楽器は、そのような欠点を見事にクリアした、まさにロマン派特有の表現にも十分に耐えうるものでした。ライネッケもそのベーム・フルートの可能性を信じて、細かい転調を用いたこのソナタを作ったのです。
ただ、この曲を献呈された、当時のゲヴァントハウス管弦楽団の首席奏者ヴィルヘルム・ベルゲは、まだベーム・フルートは使ってはいなかったので、初演を行ったのはベルギー生まれのフルーティスト、アメデ・ドゥ・フロエでした。
このCDのフルーティストで、ベルリンのコミッシェ・オーパーの首席奏者などを務めたこともあるクリスティーナ・ファスベンダーは、そんなライネッケの思いを、時には想定以上のパッションを込めて演奏しています。そして、第2楽章の中間部の「ビブラートをかけないで」という指示にも、かなりきちんと従って、幻想的な味を出しています(こういう指示があるのは、当時でもビブラートをかけるのが普通だったということなのですね)。
アルバムの頭の、3つの楽章から成る15分ほどの「ソナタ」を作ったカルク=エラートは、ライプツィヒ音楽院でライネッケの弟子でした。そして、自身もそこの教授となったのです。彼の作品はロマン派末期ならではの、ドビュッシーの印象主義や、シェーンベルクの12音技法までもが感じられる幅広さを持っています。
このソナタは、まるで同世代のR.シュトラウスのような華やかなパッセージ満載の第1楽章の最後に、低音のピアニシモでロングトーンが伸ばされ、そのままゆったりとした第2楽章に続くという粋な構成を持っていました。こういう低音のロングトーンで倍音を抜いて空ろな音を出すのが、このフルーティストは上手です。その楽章は、無調っぽいパッセージも交えながらゆったりと進み、さらに軽やかなワルツ風で名人芸が随所に秘められた第3楽章に続きます。
カルク=エラートのライプツィヒ音楽院での前任者が、レーガーです。ここでは「アレグレット・グラツィオーソ」と「ロマンツェ」というかわいらしい2曲が演奏されています。この演奏はちょっと力み過ぎのような気がします。
クロンケとフリューリンクの作品も、なかなか魅力的でした。特にフリューリンクの「ファンタジー」は、演奏時間が13分という大作、全音音階も交えた新鮮な和声感が印象的ですし、中間部のテーマもとても美しいメロディが光ります。

CD Artwork © Profil Medien GmbH

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by jurassic_oyaji | 2018-08-19 20:26 | フルート | Comments(0)